日本の食卓に欠かせない「味の素」をはじめ、「Cook Do」「コンソメ」など数々のヒット商品を生み出してきた味の素株式会社。
そんな味の素への転職を考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、本当に転職を目指す場合、企業HPや採用情報ページの情報だけではなく、業界全体の動向・競合他社との比較情報等、複数の観点でその企業を知ることが大切です。
そこで、今回は第三者の視点から味の素の企業情報についてまとめてみました。
味の素の事業内容・売上、営業利益をはじめ、残業時間や企業文化といった情報まで網羅しています。
また、競合他社比較や業界全体の動向も載せてありますので味の素へ転職を考えている人はぜひ参考にしてください。
味の素株式会社の会社概要!従業員数や売上高は?
項目 | 詳細 |
本社所在地 | 東京都中央区京橋1-15-1 |
代表者 | 西井孝明 |
設立 | 1925年 |
事業内容 | 日本発の食品企業・先端バイオ・ファイン技術を持つ |
従業員数 | 連結34,452名 |
売上高 | 1兆1,502億円 |
創業は1909年の調味料国内最大手の企業です。
主力商品は「味の素」「ザ・チャーハン」といった調味料や加工食品の製造販売です。海外の家庭用食品売上を拡大させ、今では海外売上比率が5割に達しました。
また、食料品事業だけでなく、アミノ酸技術に強みを持ち、飼料・医薬の事業も行い多角化を図っています。
現在は積極的なM&Aを実施し、2020年には食品メーカー世界トップ10入りを目指して事業展開中です。
働き方改革にも積極的に取り組み、実際にここ数年で社員の労働時間が短縮されました。
味の素株式会社の事業内容まとめ
事業内容①:食品調味料の開発・販売
「Eat Well, Live Well」のキャッチコピーにも表れているように、「おいしく食べて健康づくり」のため、100年以上前に生み出したうま味調味料「味の素」を筆頭に、多くの食品調味料を販売しています。
販売は、国内だけでなく海外にも及びます。
「開拓者精神」のもと、1917年のニューヨーク事務所開設以来、海外進出を続け、現在は世界30ヵ国・地域に拠点を持ち、130を超える国と地域で販売されています。
最近のヒット商品としては、「鍋キューブ」があります。「一人前一粒」としたことで、お一人様から大家族まで、様々なシーンで使用されています。
これは、主婦へのリサーチと味の素の高い技術力によってなされた業です。
お客様が本当に喜ぶことは何かを追求した商品開発を行い、10年後のおいしさ+αの価値を考え、その製品によって一つの食文化が当たり前になるような新しい商品を提供することを大きな目標としています。
事業内容②:アミノ酸をコアにした食品事業とサイエンス事業
味の素といえば食品調味料というイメージが強いと多いますが、実は食品以外にサイエンス事業も展開しています。
具体的には、アミノ酸をベースとした研究に取り組んでおり、これまで培ってきた独自の先端バイオ・ファイン技術を軸にアミノサイエンスの事業を展開しています。
アミノ酸とは、うま味成分であり、あらゆる生物の”いのち”の素です。
アミノ酸研究の歴史は100年前にさかのぼります。味の素は1908年に、アミノ酸の一種であるグルタミン酸の塩の味である「うま味」成分を発見しました。
これは、当時すでに知られていた「甘味、塩味、酸味、苦味」の4つの味だけでは説明できないもう一つの味として広く認知されるようになりました。現在では日本初の国際語”umami”として世界中で使われています。
現在、味の素は、アミノ酸研究で世界的なリーダーシップを発揮しています。
アミノ酸は、うま味以外にも、飼料・肥料、化粧品、スポーツサプリメント、健康食品をはじめ、先端医療、電子材料と様々な分野で可能性を広げています。
この中で特に有名なものが、血液中のアミノ酸でガンのリスクを評価する「アミノインデックス」とう技術です。
ガン健診の受診率が低い傾向にある日本において、がんを早期に発見し、リスクから命を守るために開発されています。
味の素株式会社の経営成績は?売上高、営業利益は?
2017年の売上高・営業利益の落ち込みが目立ちます。売上高では前年比約8%の落ち込となっています。
これは、円高による影響が大きいとみられています。また、医薬品製造受託の契約にかかる引当金を特別損失に計上したことも響きました。
2018年に売上高が回復したのは、ブラジルやフィリピンなどの新興国で家庭用調味料が伸びているためです。
今後も縮小する国内市場を上回る勢いで、海外での売り上げを伸ばす必要がありそうですね。
味の素株式会社の年収、平均年齢、勤続年数、残業時間は?【競合他社と比較】
食品業界大手5社と比較してみました。
平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 残業時間 | 有休日数 | |
味の素 | 945万円 | 43.1歳 | 19.6年 | 22.7時間 | 17.4日 |
明治ホールディングス | 967万円 | 43.0歳 | 19.1年 | 15.0時間 | 11.3日 |
不二製油グループ | 965万円 | 45歳1ヶ月 | 17年 | 19.5時間 | 9.8日 |
日本ハム | 870万円 | 42.5歳 | 18.8年 | 27.5時間 | 10.5日 |
日清製粉グループ | 862万円 | 42.4歳 | 17.4年 | ー | 12.2日 |
味の素の年収は、食品業界の中でも同業他社に比べて高い水準です。
また、平均勤続年数が同業他社に比べても長く、新卒を大切にする風土のある会社であると考えられます。
残業時間自体はそれほど短いわけではありませんが、有給取得日数では同業他社を大きく上回っています。
味の素の社長、取締役はどんな人?
味の素の社長の経歴・プロフィール
現在の味の素株式会社社長は、西井孝明氏です。簡単に経歴をまとめてみました。
西井 孝明
1959年に奈良県で生まれる。
1982年に味の素に新卒で入社。
家庭用事業部や人事部長を歴任。
2011年に人事部長として執行役員になる。
2013年にはブラジル味の素社の社長に就任。
ラテンアメリカ本部で、サンパウロの事務所長も経験。
2015年に社長に就任(現任)。
新卒入社からブラジル支社社長、そして日本本社の社長という経歴なんですね。
実は西井社長は、創業家を除き、味の素歴代最年少となる55歳で社長に就任しました。
ブラジル勤務時代に、ブラジルの従業員がメリハリの利いた時間管理をしていた体験から、社長就任時には、社員一人当たりの総労働時間が1950時間という点に問題意識を持ちました。
女性を含む優秀な人材を日本はもとより世界中から採用していくために、「働き方改革」を進めようと決意したそうです。
実際、2018年度までに、
従業員の年間総労働時間を1800時間にするという目標が労使で合意されています。
中途入社の取締役の割合は?
味の素には、取締役が5人いますが、5人中1人が中途入社です。中途でも取締役になる門戸が開かれています。
ちなみに、現在中途入社で取締役になっているのは、取締役常務執行役員の木村毅氏です。
彼は1984年に米国国立衛生研究所入所後、1989年に味の素に入社し、品質保証部長を経て執行役員になり、研究開発企画部長を経て現職の取締役に2013年に抜擢されました。
味の素株式会社の口コミ情報まとめ!福利厚生や残業の実態は?
口コミ情報サイトは、退職者の書き込みが中心のためどうしてもネガティブ情報が集まりやすいです。そのまま鵜呑みにするのではなく参考程度に留めておきましょう。
給与・ボーナスは?
口コミサイトvorkersに寄せられた意見では、27歳〜32歳で各種手当込みで年収700万程度が相場のようでした。
なお、課長昇格後は年収1,000万を超えた人もいるようです。
同じ食品業界の平均年収564万円と比べると、若いうちから高い年収を貰える体制であることが分かりますね。
固定給に対してボーナスの比率が高く、同業他社に比べて年収1.5倍〜2倍程度もらえているという意見もありました。
基本的には年功序列にのっとった給与制度体系のようですが、最近では成果主義を取り入れる動きもあるとのことです。
組織体制や企業文化は?
非常に古い体質であり、良くも悪くも日本企業の典型という意見が多いです。
また、プロパー社員中心で、中途入社の場合、社内の暗黙の了解を知ることが非常に重要だとする中途組の声がありました。
複数の部署を経験した社員の口コミによると、会社のメイン事業である食品分野はやや硬直的ですが、それ以外の分野ではしがらみは少ないそうです。
また大企業ということもあり、事業を通じた社会貢献やコンプライアンスに対する意識は高いと感じる社員も多いようです。
社会貢献という点では実際に、ゼロエミッションや2050年までにフードロスを半減させる目標を掲げています。
福利厚生や労働時間、休日は?
現社長の方針で、この2年間で労働環境は劇的に変化したことがよくわかる記載が多く見られました。
定時が7時間30分から7時間15分に短縮され、社長はさらに7時間にまで短縮することを目指しています。
また、スーパーフレックス制の導入で、5:00~22:00の間であれば自由に勤務することが可能とのことです。
時期によりますが、18時に退社できる環境になっているようです。しかし、休日に必ず休めるというわけではないという声もありました。
転職前後のギャップはある?
海外への販売強化が想像以上という声が多かったです。味の素が積極的に海外売上比率を高めている影響だと思われます。
一方で、海外に勤務できるのは、成果を出した一部だけとする記述もありました。
口コミの中には、中途社員はまず営業に回されることが多く、始めのうちはキャリアの選択権はないという意見も見られました。
味の素株式会社が属する食品業界の動向、今後の課題は?
食品業界を取り巻く現状は?
食品業界は国内市場は少子高齢化を背景に縮小傾向にあります。
そのため、各社とも好採算品を充実させようとしています。
特に、消費者の健康志向の高まりは、食品業界にとってビジネスチャンス。食品メーカー各社から健康志向の商品が数々提供されています。
例えばチョコレートでは、カカオポリフェノールの健康・機能性に注目が集まり売上が増加しました。また、ヨーグルト市場でも、乳酸菌に注目が集まり一気に拡大市場となっています。
機能性の高い製品は高単価で売れることもあり、最初に開発に成功し、マーケティングが成功すれば一気に会社の主力商品になることも可能です。
味の素では「アミノエール」という機能性食品が有名です。
ロイシン40%配合アミノ酸を含む商品です。このロイシン40%配合必須アミノ酸は、加齢によって衰える筋肉をサポートする機能があります。
主に歩行能力の改善に効果的です。ここでも味の素ならではのアミノ酸技術が活用されていますね。
食品業界の今後の課題は?
少子高齢化により人口が減少していく日本では、食品市場も縮小することが予想されています。
人口の減少による市場の縮小を、各社とも海外進出で埋め合わせようとする動きが活発になっています。
今後も日本の食品会社が海外進出を続けていくためには、現地の食文化や宗教をしっかりと理解した製品の開発が必須となっています。
また、家庭用冷凍食品市場の市場規模は2018年度に過去最高を更新しました。
共働き世帯、単身世帯が増加したことが要因のようです。食は社会の変化と密接に関係するため、社会の動きを読んだ戦略が必要になってくるでしょう。
食品業界の平均年収、売上高、営業利益ランキング!味の素株式会社は何位?
平均年収ランキングTOP3
第1位 明治ホールディングス 967万円
第2位 不二製油グループ 965万円
第3位 味の素 945万円
味の素は年収では、3位にランクインしています。
この年収上位3社の平均年齢は、明治ホールディングスが43.0歳、不二製油が45.1歳に対し、味の素は43.1歳です。
同じ平均年収でも、平均年齢が低い方が社員一人当たりの年収が高い傾向にあるため、明示ホールディングスの年収が業界内では最高という認識でいいでしょう。
売上高ランキングTOP3
第1位 日本ハム 1兆2,692億円
第2位 明治ホールディングス 1兆2,408億円
第3位 味の素 1兆1,502億円
食品業界の中で味の素の売り上げは第3位にランクインしました。各社とも国内販売は頭打ちのため、海外での販売に力を入れて売上増を目指しています。
営業利益ランキングTOP3
第1位 明治ホールディングス 946億円
第2位 味の素 910億円
第3位 日本ハム 492億円
営業利益では、味の素は第2位にランクインしました。各社とも利益を多く出すため、付加価値の高い商品の開発を目指しています。
味の素株式会社の採用状況は?
2018年11月現在、中途採用の募集はありませんでした。
新卒中心の会社ということもあり、あまり積極的に中途採用を行っていないようです。
職種としては、事務系の場合は、営業・商品開発マーケティング・販売マーケティング・海外への赴任も含む海外事業・人事・広告・広報など様々です。
技術系の場合は、基盤研究・応用研究・商品開発・生産技術開発を中心に、各人の技術的な専門性を活かせるテーマに携わります。
ジョブローテーションを通して、様々な活躍のフィールドがある中で、任された仕事そのものを通じて自らの強みを作っていくキャリア開発になりそうです。
おわりに
味の素は現在、働き方改革を進めており、働きやすい環境の会社であり、競合他社と比較した場合にも給与水準が高いということが分かりました。
しかし、まだ中途採用の数が多いというわけではないため、中途で入社を目指す場合は、転職エージェントの力を借りながら転職活動をするのもおすすめです。
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