現代では、高機能なスマートフォンの普及、AIの進化、回線の高速化など、続々と新しい技術が生み出され、私たちの生活は、益々便利になってきています。
当然ですがこのような時代に流れに乗った需要の高いサービス・プロダクトには、これらを提供している成長産業・企業が存在します。
しかし、一方でそのようなサービスやプロダクトに追い込まれる衰退産業も存在します。生活の利便性の向上は嬉しいですが、働く側としては、成長産業の会社で働きたいですよね。
今回は、2019年現在の「成長産業」と「衰退産業」をまとめてみました。
また、成長産業で働くメリットや、今後消滅してしまうかもしれない職業などについてもまとめてありますので、転職を検討されている方は、ぜひ本記事を参考にして会社選びをしてみてください。
これから成長が期待される8つの業界!
①IT業界
IT業界はこれまで急成長を続けており、今後も発展が続くでしょう。
IT技術には大きな期待があり、研究開発費への投資額も非常に大きく、これからも技術革新がなされていくことになります。
IT業界以外の業界でも、IT技術の導入は必須となっていることもあり、需要も増えていくことが予想されます。
例えば、AI(人工知能)・RPA(Robotics Process Automation)などの利用により、様々な単純業務がIT技術で効率化・代替化され始めています。
また、2016年は「VR元年」と呼ばれ、VRやARを活用した製品がどんどん生み出され、2017年ごろからはブロックチェーンや暗号通貨などを始めとするフィンテックの分野も発展が目覚ましく、IT技術はほぼ全ての業界が今後成長を続けていくにあたり、必須要素となっています。
これに伴い、IT技術に特化した人材の需要は急上昇しており、エンジニアやプログラマーなどの人材不足が深刻な問題となってきています。
そのため、エンジニアの平均年収は比較的高く、システムエンジニアだとおよそ500〜600万円程度になっています。
②インターネット広告業界
2017年の全世界のインターネット広告費は、テレビの広告費を上回ったと言われています。
1996年頃に新聞広告の売り上げを抜いたテレビ広告は、その後長らく最大の広告媒体となっていました。
しかし、2017年には、テレビ広告の占める割合が34.1%なのに対し、インターネット広告は37.6%までに拡大しています。
インターネット広告がこのような急激な成長を続けた最大の要因の一つに、スマートデバイスの普及があります。
もともと、インターネットが普及した時代から存在いていたネット広告ですが、昨今の高機能なスマートデバイスの普及や回線のさらなる高速化に伴い、スマートデバイス上での動画広告など、自由度が高まったことがシェアの上昇に大きく起因しているようです。
広告費のデジタルシフトは今後も継続するとみられており、2017年、2018年ともに10%以上の成長率を維持しています。
③モバイル業界
モバイル業界は、スマートフォンの普及が始まった平成22年ごろから急激に規模が拡大しました。
ここ最近では、高速通信も可能になり、ゲームやアプリだけでなく、スマホでネットショッピングを楽しむ人も増えてきました。
急激な発展を遂げているモバイル業界ですが、順位の入れ替わりが非常に激しい業界でもあります。
平成23年に首位だったGREEや平成24年に首位だったDeNAは、「コンプガチャ問題」やキュレーションメディア問題により苦戦を強いられています。
また、「パズル&ドランゴンズ」のガンホーや「ポケモンGO」も一時的に強烈なブームを生み出しましたが、それが去ると、ユーザー数が減少してしまっています。
このように、若年層を中心としたモバイル業界は、トレンドの移り変わりが早いのが特徴であり、急激にユーザー数、売り上げが上昇するものの、飽きられてしまうと業績が急降下する傾向にあります。
そのため、モバイル業界の企業は、常に話題性のあるサービスを提供し続ける必要があり、安定した経営を行うのが難しい業界と言えるでしょう。
しかし、IT業界の発展に伴い、モバイル業界としては拡大が見込めれているため、今後も成長の続く業界となることが予測されます。
④駐車場業界
転職などの際にはあまり候補にも上がりづらいかもしれませんが、近年、駐車場業界が拡大しています。
平成23年ごろまでは、欧州債務危機を背景とした世界経済の減速、中国経済の伸び悩みなど、先行きが不透明な状況が続いていました。
しかし、その後平成24年頃以降には、円安への是正、日経平均株価の上昇などにより、日本経済にも明るい兆しが見えはじめ、規模の拡大が続いています。
業界首位の「パーク24」は「タイムズ24」や「タイムズカーレンタル」を展開し、着実に売り上げを伸ばしています。
しかし、いずれは国内の駐車場数は頭打ちになることが予測されるため、高い経済成長率を維持している東南アジアなどに進出すると予測されます。
すでに「パーク24」はセキュア・パーキングを買収しており、海外への事業展開を進めています。
⑤医療・介護業界
日本の高齢化社会はどんどん進んでおり、医療・介護サービスの受給対象者は必然的に増加しているため、医療・介護業界は今後も規模の拡大が見込まれます。
オンライン診療システムや医療介護に特化した求人サイトを運営するメドレーなど、ヘルステック分野のベンチャー企業も増加しており、元医師の方が起業しているベンチャー企業も多く、政府が遠隔診療を報酬改定で評価するなど、今後の発展が期待される業界と言えるでしょう。
⑥人材派遣業界
少子高齢化が進行している日本では、大半の企業が慢性的な人材不足に陥っています。
このため、人材派遣業を含む人材業界は規模を拡大していくことが予想されます。
女性雇用者は近年増加しきており、男性を含め、「ワークライフバランス」を考慮した働き方を望む人が増えています。
正社員よりも自由度の高い働き方を実現することのできる「人材派遣業」は、今後高齢者が社会に多く参入してくることを踏まえて考えると、より規模の拡大の可能性は高いように思われます。
2020年にかけて、サービス職は105万人、専門職は43万人増加し、運輸通信職は323万人減少すると言われています。
しかし、働き手にとって、職種を変えることは容易なことではありません。
そのため、人材派遣においては、一般派遣や特定派遣のほか、紹介予定派遣といった形態も織り交ぜながら、求職者にとって最善のキャリアチェンジをサポートすることが期待されます。
⑦観光業界
2018年の観光庁の調査によると、2017年の日本の観光消費額は21.1兆円(前年比0.8%増)、日本人国内延べ旅行者数は、6億4,751人(前年比1.0%)と増加傾向がみられます。
また、日本は円安の影響、数々の世界遺産の認定、ジャパニーズカルチャー、そして、直近では東京オリンピック開催が決まり、訪日外国人がどんどん増えている状況です。
そして、政府が掲げる目標の訪日外国人2000万人をすでに超えてしまい、2020年には4000万人の訪日観光客を目指す状況となっています。
「民泊」の世界最大手の米国ベンチャー企業であるAirbnbは、最近日本でも普及しはじめ、現在では多くの人が利用しています。
日本に訪れる外国人も、価格の面などからAirbnbを頻繁に利用しており、訪日外国人が今後も増加していくことを考えると、Airbnbは今後も成長を続けていくことが予想されます。
また、国内企業に関しては、2018年6月にLINE株式会社が「LINEトラベル」をスタートし、『DMM TRAVEL』のリリースに加え、メルカリも旅行領域への参入を発表し話題となりました。
観光業界は、2020年に開催される東京オリンピックも追い風となり、数年先までも業績を伸ばす会社が増加することが見込まれます。
⑧エンターテイメント業界
エンターテイメント業界で特に期待されているのは、IR法(Integrated Resort)の成立によって日本でも本格的に導入整備が始まる、リゾート型の「スマートシティ」です。
「スマートシティ」とはカジノなどの大型施設などを伴う国際施設、遊園施設、ホテルなどの複合施設のことを指します。
複合施設内では、スマートフォンを連動させたデジタルサイネージへの広告・コンテンツ表示などのIoTを活用したマーケティングが予想されており、ここにエンタメ業界の大規模な市場が存在すると予測されています。
また、マクロな視点で考えれば、今後はAIやRPAにより代替可能な仕事が減少していくため、人々の可処分時間が増加することになり、その時間を当てると予想されるのが「娯楽」となります。
そうなれば、ゲーム・漫画・映画・音楽などの業界にこれまでよりもお金が落とされるようになり、エンターテイメント業界は成長を続けるでしょう。
成長業界で働くべき3つのメリット
①:給与が高い
やはり、成長業界の会社の給与は他の業界と比較すると高めの水準にあります。
会社の売り上げ、利益が順調であるため、社員に十分に還元されるのは当然ですね。
特に、インセンティブやボーナスは非常に高いことが期待できます。
②:若手にもチャンスが多い
景気の良い企業は、次々と事業を拡大しているため、基本的に人材不足状態に陥っています。
そのため、自分の実力以上の仕事を任されるチャンスがやってくる可能性が高く、年齢のわりに早く、高度なスキルをみにつけることのできる可能性があります。
難易度の高い仕事が降ってくるため、プレッシャーも相当なものになりますが、達成できれば自身の市場価値は飛躍的に上昇します。
③:成功体験を積みやすい
3つめには、成功体験を積みやすい点があります。
基本的に、景気の良い成長産業の会社のサービス・プロダクトの需要は非常に高く、売り上げをあげることが比較的容易です。
そのため、例えば営業の場合だと、成長業界の会社ではインバウンドも多く、新規開拓の比重が小さいかもしれませんが、衰退産業の会社では、ノルマの達成の難易度も高いでしょう。
衰退産業では、チーム、個人単位でのノルマを達成することが難しく、モチベーションの維持が難しい面がありますが、成長産業ではその心配がなく、気持ちの面でも正のスパイラルに入り、より自身の成長に繋がることが考えられます。
今後需要が見込まれる将来性のある職種とは?
ITエンジニア
経済産業省の調査によると、2020年でIT人材は37万人不足、2030年で79万人不足すると予測されています。
特に、「ビッグデータ」「人工知能」「IoT」「ロボット」を扱うエンジニアは深刻な人材不足になるでしょう。
その中で、今後需要が高まっていくと想定されているのは、「セキュリティエンジニア」「機械学習エンジニア」「クラウドエンジニア」「ブロックチェーンエンジニア」です。
これらの技術を持ったエンジニアは現状まだ少なく、今後は専門性の高いエンジニアの需要がますます高くなっていくとされています。
AIなどによりにより様々な職種が淘汰されていくと言われる中で、エンジニアが生き残るためには、上記のような専門分野に特化する他には、AIに代替されることのない、ヒューマンスキル的な部分、すなわち上流工程を担うことが重要です。
例えば、システム開発の企画立案や各種調整や折衝などのコミュニケーション業務など、エンジニアならではの人間にしかできない分野のニーズは、今後も非常に高い需要があるでしょう。
また、エンジニアとしての高い市場価値を維持するためには、常に最新のトレンドなどにアンテナを張りつつ、勉強を怠らないことが重要です。
データサイエンティスト
AIなどのブームなどの中で「データサイエンティストの仕事はAIに代替される」と言われることがあります。
しかし、実際にはデータサイエンティストの需要は、今後しばらくは高まっていくでしょう。
マッキンゼーが発表したリサーチによれば、高度な分析スキルを持つ人材は今後不足するとされており、実際に日本では、大学在学中に分析スキルを学んでいる学生は年間に4000人弱程度であるとされています。
そのため、データサイエンティストは世界中で不足が懸念されている職種の一つです。
日本国内では、平均年収も700万円弱程度で高水準となっており、修士や博士(Ph.D)持ちの学生に需要があります。
今後、データサイエンティストの一部の業務がAIに代替される可能性はありますが、専門知識を活かし、データを活用してビジネスがどのように解決できるか、という点まで落とし込むことのできるビジネススキルを兼ね備えたデータサイエンティストの高需要は継続するでしょう。
今後衰退が予測される業界・職種
業界①:出版業界
日本の出版販売額は年々減少を続けています。
インターネットの普及に伴い、活字離れが加速しており、今後も出版物の売り上げ低迷が続くことが予想されています。
雑誌などの売り上げ低迷や、電子書籍の不発などの課題があり、電子コミックは売り上げが伸びているものの、トータルでは苦戦を強いられている状況です。
今後は、コミックが8割を占めている電子書籍分野の拡大が大きなポイントとなるでしょう。
業界②:テレビ業界
高速通信回線の普及により、インターネットのメディアとしての台頭がめざましく、テレビ業界は苦戦を強いられています。
『全国個人視聴率調査』(NHK放送文化研究所)によると、1週間あたりのテレビ視聴時間は、平成18年が3時間58分であったのに対し、平成28年は3時間41分でした。
年々、わずかではありますが視聴時間が減少していることが分かります。
しかし、収入の大半が広告費であるテレビ業界ですが、日本の広告費(電通)によると、平成27年のテレビメディア広告費は前年比+0.9%の増。わずかではありますが、昨年に続き前年比増加を記録しています。
とはいえ、若年層のテレビ離れは年々進行しており、将来のテレビ業界の先行きは非常に厳しいものになると考えられます。
職種①:銀行の融資担当者
銀行の融資担当者は、企業への資金の貸し出しにあたり、万が一にも貸し出し先が倒産し、資金の回収が不可能にならないかを判断する仕事です。
それに際し、貸し出し先企業の財務状況等を見る必要がありますが、このような精緻なオペレーション作業はAIの得意分野です。
銀行のメイン業務である、融資や審査が全てAIに代替されてしまう日もそう遠くないかもしれません。
職種②:スポーツの審判
最近は高機能カメラなどによりスローモーションの制度が上がり、かつてよりも正確な判断ができるようになってきました。
新聞等でも審判の誤審が取り上げられることもあり、審判の信用性が危ぶまれています。
もし審判を全てAIに代替することが可能になれば、誤審による選手・観客の不満も解消されます。
どのような形でAIが導入されるという点については、まだまだ遅れている部分がありますが、将来的に消滅する可能性の高い職業の一つということができるでしょう。
職種③:受付担当者
受付にタブレット等の導入がされているのを見たことがある人もいらっしゃると思います。
すでに、大型ショッピングモールなどの受付の機械への代替化は進んでいますが、さらにより拍車がかかることが想定されます。
職種④:電話オペレーター(コールセンター)
電話オペレーターの仕事は今後AIに代替される可能性が非常に高いとされています。
すでに、電話対応にAIを導入している企業が増えてきています。
AIの「IBM Watson」を導入している企業には、大手携帯キャリアのソフトバンクもあり、顧客の電話内容を「IBM Watson」が分析し、適切な対処をしています。
「IBM Watson」を利用した電話対応の正答率は94%を超えており、今後も精度が上がっていくことが見込まれています。
このように、顧客からの電話対応はAIに代替され、需要がなくなっていくと思われますが、一方で営業の電話などのアウトバウンド系の電話対応の需要はしばらくはなくならないでしょう。
職種⑤:弁護士助手(パラリーガル)
AIの台頭の中で、「士業」が今後なくなる可能性が高いと言われることがあります。
しかし、実際には、ヒューマンスキル的な部分や代替不可能な部分も多々あり、直近で完全消滅する可能性は低いでしょう。
しかし、弁護士助手の仕事はなくなる可能性が危惧されています。
弁護士助手の仕事には「受任した案件関連の判例の収集」「法的な書類の作成」「出来上がった書類のリーガルチェック」などがあります。
現在のAIの進化により、日本の判例をすべてデータベース化してしまえれば、依頼主の条件を入力するだけでマッチングした判例が出るため、それに付随する必要書類は自動で印刷して出すことができます。
そのため、最終的にはパラリーガルの仕事がAIに代替され、弁護士のみで完結してしまう可能性があるのです。
今後どのような業界でも求められるスキルとは
語学スキル
AIや機械学習、RPAなどの発展により、単純作業の効率化、仕事の消滅は発生します。
しかし、人間同士のコミュニケーションは消滅することはなく、よりグローバルな社会になっていく中で、語学スキルはより重要性を増していくでしょう。
外資系企業に勤めるのであればもちろん、日系企業でも海外進出をしている会社は多く存在し、語学が堪能な社員は非常に重宝されています。
専門技術
今後、単純作業やデータ管理などの仕事がAIに代替されていく中で必要なのは専門技術です。
専門技術の中でも代替される部分はありますが、その他の領域の人々が必要とする専門知識や技術を兼ね備えることで、今後しばらくは需要の高い職業となるでしょう。
最たる例はエンジニアで、一部のエンジニアの仕事も消滅すると言われることもありますが、現時点ではそもそも人材が不足しており、エンジニアを必要としている会社は非常に多くあります。
どのような分野にいても、常に最新の情報にアンテナをはり、勉強を継続することで、AIを利用する側になることがベストだと言えます。
これから伸びる業界を見極めて、キャリアアップに繋げましょう!
今回は、これから伸びる業界・衰退が予測される業界について解説してきました。
やはり、会社員として年収アップを望むのであれば、成長産業の会社で働くことが一番です。
しかし一方で、人材の流出が激しい衰退産業ではポジションが空いている可能性もあり、業績が回復した時に給料が飛躍的に上がるかもしれません。
ぜひ本記事を参考にして、今後の各業界について知ることで、転職活動の参考にしてみてください!