女性が妊娠した際、今の仕事やパートをいつまで続けるべきか悩みますよね。
出産が近くにつれて楽しみが増えていく一方、妊娠による体調不良やつわりなどで仕事に支障をきたらどうしようと不安を抱えている妊婦さんも多いのではないでしょうか。
会社に妊娠報告をしたいけど出産何ヶ月前まで働くことにすればいいんだろう、妊娠中でも快適に働くためのコツってある?気を付けるべきことは?など、色々な疑問や悩みが湧きますよね。
今回は、働く妊婦さんへ「仕事をいつまで続けるべきか」「出産前に仕事をする上で気をつけるべきこと」「仕事中の体調管理方法」などを解説しています。
法律では出産6週間前まで働ける
出産予定日の6週間前(多胎妊娠(双子以上)の場合は14週間)から、産前休業を取得することができます。
そのため、法律的には出産予定日の6週間前までは原則働くことが可能です。
また、6週間前を過ぎても、妊婦本人に働く意思があり、医師の許可を受けている場合にはそれ以降も働くことが可能です。
一方で、産前休業は出産予定日の6週間前に設定されていますが、本人の体調次第では、それ以前から休みを取ることを医師から推奨される場合もあります。
つまりは、産前休業の時期に関係なく、本人の体調次第でいつまで働くかを決定する必要があるのです。
妊娠中の仕事を辞めるタイミングは?周期毎のポイント紹介
妊娠の初期・中期・後期など周期ごとに現れやすい体調変化をまとめました。仕事を続ける際の目安にしてください。
妊娠初期(1ヶ月〜4ヶ月)
妊娠初期は、つわり(悪阻)の症状が出始める頃です。
つわりの症状や重さは人それぞれですが、食事が取れない、急な貧血が起こるなどの症状がある場合には注意してください。
また、この時期は流産の可能性が最も高い時期ですので、下腹部の張りや出血などがある場合には休みをとった方が良いでしょう。
吐き気がひどく、全く食事を取れない場合には妊婦健診の際に医師に相談しましょう。
妊娠中期(5ヶ月〜7ヶ月)
妊娠中期には、悪阻の症状も安定してくるため、無理をしてしまい体に負担をかけてしまいやすい時期でもあります。
体重管理をしっかりと行う必要があり、体重増加の目安としては、1ヶ月1kg程度にしてみてください。
また、妊娠中期からは切迫早産、流産、破水、上位胎盤早期剥離といった危険性がでてきます。
妊娠初期以上に体に負荷のかかることは避けなければならないため、体力仕事をされている人は休みをとる、もしくは仕事内容の変更を考えましょう。
妊娠をしている女性に対して、負担軽減のために会社が対応することは当然であり、法律でも認められている権利ですので、安心して会社に申し出ましょう。
もし業務負担が減らないようであれば、会社を辞めて安静に過ごすことも必要かもしれません。
妊娠後期(8ヶ月〜10ヶ月)
この時期は、いつ赤ちゃんが生まれてもおかしくない時期です。中には、臨月まで働き続けるといった女性もいますが、切迫早産、流産、破水、常位胎盤早期剥離のリスクは継続してあるため、引き続き注意することが大切です。
また、妊娠後期ともなれば、お腹もかなり大きくなってきていると思いますので、お腹をぶつけたり転倒したりしないように気をつけましょう。
この時期まで問題なく仕事を継続されているママの場合は、いつ仕事をやめようか悩んでいらっしゃると思います。
もし、本当に体調や仕事内容に問題がないようであれば、「出産手当金」を貰える産前42日前まで勤務してもいいかもしれません。(出産手当金の詳細は次の章で解説します。)
出産手当金は、正社員・契約社員・派遣社員ともに1年以上会社の健康保険に加入していることが条件です。出産予定日の42日前から出産翌日56日間が支給の対象期間となります。
退職前に確認したい妊婦・ママが受け取れる手当・給付金まとめ
出産手当金
出産手当金とは、会社で加入する健康保険から支給される手当金です。
「出産育児一時金」と混同してしまいやすいですが、これとは全く別の目的の制度です。
出産一時金は、出産にかかる費用の負担軽減を目的とされた制度ですが、出産手当金は、出産によって収入が減少してしまう女性に対する休業補償であり、生活を支援することを目的とされています。
出産手当金は、出産する本人が勤務先の健康保険に被保険者として加入していることが受給条件となっています。
また、支給額に関しては、出産する会社員の給与額をもとに算出(支給開始日以前12ヶ月の標準月額報酬の3分の2)されるため、各自の給料に応じて支給されます。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、従業員が育児休業中に申請することでもらうことのできる給付金のことです。
受給条件は、以下になります。
- 1歳未満の子供がいる
- 雇用保険に加入している
- 育休前の2年間で、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
- 育児休業期間中の各1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月の賃金の8割以上が支払われていない
- 育児休業期間中に就業している日数が各1ヶ月に10日以下である
育児休業給付金は、2ヶ月毎に支給されます。子供が生まれてから8週間は育児休業期間に含まれないため、初回支給日は、出産から3ヶ月程度かかることを想定しておきましょう。
また、支給額は「労働者の育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%」となっています。
受け取り期間は、原則として子供が1歳になるまでとされていますが、子供の入園できる保育園が見つからないなどの理由がある場合には、2歳まで支給期間の延長を行うことができます。
社会保険料(健康保険料・厚生年金・雇用保険等)
産前・産後休業期間、育児休業期間については、社会保険料の支払いが免除されます。
社保の免除を受けるためには、産休中に勤務先に届け出を出す必要があるため、会社にしっかりと連絡し、免除申請をしてもらうように呼びかけましょう。
産休・育休期間中は、社会保険料は免除されますが、免除期間も保険料を納めたものとして扱われるため、将来の年金額や健康保険の給付などには一切影響しないので安心してください。
パート主婦でも手当は受け取れる?【補足】
パートタイマーや契約社員などの雇用期間が定められている従業員であっても、条件を満たせば育休取得や手当を受けることは可能です。
育休や育休手当の取得・受給条件が存在するため、確認してみましょう。
確認しておきたいこととしては、以下のような条件があります。
- 今勤めている会社に1年以上継続的に雇用されている
- 子供が1歳になった後も雇用されることが見込まれる
- 子どもの2歳の誕生日の前々日までに契約が満了して、更新されないことが育休申し出時点で明らかになっていないこと
- 育児休業を取得する前2年の間に、雇用保険の給付基礎日数11日以上ある月が12か月以上あること
特に、④などについては、病気等で月に11日以上勤務していないこともあるかもしれませんので、注意して確認しておきましょう。
以上の条件を持たすことで、パート主婦や派遣主婦の方でも育児休業給付金の取得が可能です。
妊娠中に仕事をする上での4つの注意点
①:身体的負担が大きい仕事は引き受けないようにしよう
立ち仕事や接客業など、肉体的負荷の大きい仕事をしている人は、業務内容の変更を会社に相談するなどの対策をしましょう。
転倒することなどがあってしまっては、赤ちゃんへの危険がありますし、そもそもご自身が疲れすぎてしまうのもよくありません。
会社によっては業務内容の変更がすぐには難しい場合もあるかと思いますので、早めに上司に相談すると良いでしょう。
②:通勤で負荷がかからないように会社に相談しよう
人によっては、非常に混雑した電車で長い時間をかけて通勤されている方もいらっしゃると思います。
混雑した電車は、赤ちゃんへの危険がありますので、避けた方が良いでしょう。
また、つわりなどの急な体調の悪化が混雑した電車内で起きてしまっては大変です。
フレックスタイム制を導入している企業であれば、通勤時間を遅くし、混雑する時間帯を避けましょう。
導入していない場合でも、会社に相談することで出社時間を遅めに対応してくれる可能性があります。
また、通勤の際にマタニティマークをつけることで、具合が悪くなったりした時に周囲の人が気づき、助けてくれることもあります。
③:タイミングを見て会社の上司・同僚に妊娠報告をしよう
妊娠が発覚したら、まずは会社の上司、その後に同僚に報告しましょう。
タイミングとしては、妊娠12週目前後が一般的だと言われています。
しかし、先ほども述べましたが、自分の体調、仕事内容などの状況を考慮して、早めに伝えることを忘れないようにしてください。
④:母性健康管理指導事項連絡カードを取得しよう
「母性健康管理指導事項連絡カード」は働いている妊婦さんが、医師から通勤緩和や時短勤務などの指導を受けたときに、その指導内容を勤務先に正確に伝えるために作られたカードです。
たとえば「つわりの症状が重く、勤務時間を考慮したほうが良い」と医師が判断した場合、その内容が記載された母健連絡カードを勤務先に提出すれば、時短勤務など妊産婦さんの体調に配慮した対応をとってもらうことができます。
母健連絡カードを受け取った企業は、カードに記載された内容の措置を取る必要があり、法律で定められています。
母健連絡カードの提出により、会社から不当な扱いをされるのではないかと心配する方は多いですが、妊娠・出産を理由にした解雇や降格など働く女性に不利益になる行為は法律で禁止されています。
職場でのつわり(妊娠悪阻)の対処法5つ
①:食べ物を常に携帯する
胃のムカムカを感じ、気分が悪くなってしまうか方も多くいらしゃると思います。
お腹が空き胃が空になると、胃に胃酸が多く生成され、ムカムカの原因になります。
また、食事の間隔が空いてしまうと、血糖値が下がり、吐き気を催すことがあります。
食べるものとしては、タンパク質や複合炭水化物が良いと言われており、主食と言われる、米やうどん、パン、パスタなどが該当します。
②:ニオイ対策をする
妊娠中は、かすかなニオイで気分が悪くなってしまうことがあります。
マスクを常備したり、職場の空気を歓喜するなどの対策をして見てください。
また、キシリトールのガムや飴も効果的かもしれません。
③:適度に運動をする
マタニティヨガやストレッチをすると、筋肉の緊張がほぐれ、悪阻の不快症状が改善され、むくみ対策にもなります。
妊娠期間中は運動不足になりがちですので、体調不要にならない範囲で、適度な運動をすることを心がけましょう。
朝の起床後や夜の就寝前に習慣にすることで、無理なく継続することができます。
④:体調が悪い時には休憩を取る
業務中に職場で急に体調が悪くなってしまうことはあると思います。
そのような時には、無理をせずに休憩を取りましょう。
事前に上司や同僚に妊娠報告をしておけば、理解を示してくれるはずです。
⑤:緩めの服を着る
ゆったりとした、緩めの服を選びましょう。
体を締め付けるような服を長時間着ていると、気分が悪くなってしまいます。
職場の雰囲気や仕事内容にも寄るかもしれませんが、リラックスすることのできる服がおすすめです。
いつまで仕事を続けるかは、自分の体調と相談しながら。
妊娠前は当たり前に出来ていたことが、妊娠生活中はうまく行かなかったり、自分が想像していた以上に精神的・身体的につらくなってしまうことがあります。
遅刻・欠勤・早退等で会社に迷惑をかけまい頑張ることも大事ですが、疲れを少しでも軽減できるように周囲に理解をしてもらうのも大切です。
また、場合によっては、マタハラ(妊婦への嫌がらせ)・パワハラ被害に合うケースもあるかもしれません。もし会社に相談窓口がある場合はすぐに相談しにいきましょう。
今の仕事を早めに辞めて、在宅ワーク等の自宅でできる仕事に切り替えてもいいかもしれませんね。
妊娠期間中に意識した方がいいことや注意点はありますが、人によって健康への影響や感じるストレスは大きく変わってきます。ご自身の体調の様子をみつつ、職場の人や旦那さんに手伝ってもらいながら無理のない範囲で働いてくださいね。