製薬業界の大手の一つ、第一三共株式会社は、国内のみならず世界でその名を羽ばたかせている会社です。
今回は、第一三共への転職を考えている人のために、第一三共の企業情報・採用情報・口コミ情報を一挙にご紹介します。
また、企業情報だけではなく、製薬業界全体の動向やトピックスもまとめました。
製薬メーカーとして名前は知っていても、詳しい事業内容や仕事内容はいまいち分からないという方も多いのではないでしょうか?
本記事の内容を皆さんの転職活動に役立てて頂けますと幸いです。それでは、早速見ていきましょう!
第一三共株式会社の会社概要!従業員数や売上高は?
項目 | 詳細 |
本社所在地 | 東京都中央区日本橋本町3-5-1 |
代表者 | 中山讓治 |
設立 | 2005年 |
事業内容 | 医薬品の研究開発、製造、販売等 |
従業員数 | 14,446名 |
売上高 | 9,601億円 |
大手製薬会社として国内シェア第3位に位置する株式会社第一三共株式会社。
2007年4月に三共と第一製薬が経営統合し、第一三共となりました。海外には25のグループ会社をもち、売上割合は日本が58%、北米が28%、欧州が8%となっています。
第一三共の一番の強みは、ガン領域の研究・開発です。
2025年へのビジョンとして、「がんに強みを持つ 先進的グローバル創薬企業」を掲げました。がん領域を重点的に強化するために、2013年には、抗がん剤の開発で活躍するアメリカのバイオベンチャー「プレキシコン」を買収しました。
日本のグループ企業としては、以下のような企業があります。
- 第一三共エスファ株式会社
- 第一三共プロファーま株式会社
- 第一三共ケミカルファーマ株式会社
- 第一三共RDノバーレ株式会社
- 株式会社ビジネスアソシエ株式会社
- 第一三共ハピネス株式会社
- 北里第一三共ワクチン株式会社
第一三共株式会社の事業内容、特徴は?
多様な医療ニーズに応える4つの事業領域と主要製品
第一三共は、国内において多様なビジネスモデルを持ち、それぞに主要な製品があります。
①イノベーティブ医薬品(新しい成分の医薬品による治療)
リクシアナ(抗凝固剤)、オルメテック(高血圧症治療剤)、メマリー(アルツハイマー型認知症治療剤)など
②ジェネリック医薬品(高品質な医薬品をより安価にする)
ドネペジル(アルツハイマー型認知症治療剤)、レボフロキサシン(広範囲経口抗菌製剤)
③OTC医薬品(セルフメディケーション)
ロキソニンS(解熱鎮痛薬)、新ルルAゴールドDX(総合風邪薬)、ミノン(低刺激洗浄料)
④ワクチン(病気の発症を予防)
アクトヒブ(インフルエンザ菌b型による感染症予防小児用ワクチン)、ロタリックス(乳幼児ロタウイルス胃腸炎予防ワクチン)
第一三共が最も注力している分野「がん領域」
第一三共では「2025年ビジョン」において、がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業というのを掲げています。がん事業の立ち上げ・確立に向けて取り組んでいて、がん事業を中核事業にすると定めています。
次世代領域の
- 疼痛
- 中枢神経系疾患
- 心不全・腎障害
- 希少疾患
において、先進的新薬の創出を目指しています。
グローバルに提供されている第一三共の製品
「クラピット」という薬を1993年に発売して以来、多くの感染症に対して有効な薬剤として、現在では世界120カ国以上で販売されています。「オルメテック」は世界100カ国で、「プラスグレル」は世界70カ国で販売されています。
第一三共の薬はグローバルに認められ、世界中の人々の生活を支えています。
第一三共の主なグループ会社は59社。そのうち44社が海外にあります。
第一三共の研究開発戦略は?
新薬開発における研究開発の成功確率は30,000分の1です。
その確率を上げるため、第一三共では、毎年売上高の約20%を研究開発へと投資しています。
欧米、アジアのグループ会社と一体となって新薬開発に取り組んでいます。
優れたパートナー企業と共に新薬の開発を行うことで、2007年から2016年にかけて8年連続で10%前後の営業利益という高い比率で推移できているため、十分に研究開発へと投資ができるのです。
第一三共株式会社の売上高、営業利益は?
第一三共の売上高は安定しているようですが、営業利益に関しては年によって変動があります。
2015年から2016年には約2倍になり、そこから直近2年間は減少傾向にあるようです。
薬価制度改革に伴う薬価の大幅な引き下げの影響を直接受けていることが要因かと思われます。
第一三共の年収、平均年齢、残業時間は?【競合他社と比較】
ここでは大手製薬会社の武田製薬やアステラス製薬といった競合他社と比較してみます。
平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 残業時間 | 有給日数 | |
ソレイジア・ファーマ株式会社 | 1,576万円 | 48.4歳 | 3.7年 | ー | ー |
シンバイオ製薬株式会社 | 1,195万円 | 49.9歳 | 4.4年 | ー | ー |
第一三共株式会社 | 1,103万円 | 42.5歳 | 18.5年 | 14.8時間 | 11.1日 |
そーせいグループ株式会社 | 1,087万円 | 46.5歳 | 4.3年 | ー | ー |
アステラス製薬株式会社 | 1,079万円 | 43.2歳 | 17.8年 | ー | 13.6日 |
武田薬品工業株式会社 | 1,038万円 | 40.8歳 | 14.5年 | 16.1時間 | 12.5日 |
競合他社と比べて、第一三共の平均年収はシンバイオ製薬についで第3位という結果になりました。
平均勤続年数年数は上記の表の中でも1番長く、それだけ働きやすい環境であるのではないかと考えられます。
平均年齢も業界の中では低く、高年収で平均勤続年数も長いので生涯賃金で考えるとトップクラスの収入がもらえると言えるでしょう。
第一三共株式会社の社長はどんな人?
第一三共の社長は、2017年1月31日に代表取締役副社長執行役員から代表取締役社長兼COOへと移動しました。
ここでは、現社長の眞鍋淳氏の経歴などについてまとめます。
眞鍋 淳
1954年8月5日生まれ 香川県出身
1977年3月 東京大学農学部卒業
1978年4月 三共㈱入社
2005年7月 同社安全性研究所長
2007年4月 当社安全性研究所長
2009年4月 当社執行役員研究開発本部プロジェクト推進部長
2011年4月 当社執行役員グループ人事担当兼グループCSR担当
2012年4月 当社執行役員戦略本部経営戦略部長
2014年4月 当社常務執行役員日本カンパニープレジデント兼事業推進本部長
2014年6月 当社取締役常務執行役員日本カンパニープレジデント兼事業推進本部長当社取締役専務執行役員国内外営業管掌
2015年4月 当社取締役副社長執行役員総務・人事本部長兼メディカルアフェアーズ本部長
2016年4月 当社代表取締役副社長執行役員総務・人事本部長兼メディカルアフェアーズ本部長
2017年4月 当社代表取締役社長兼COO社長執行役員(現任)
第一三共はがん事業を強みに持っています。
これまで、研究開発予算の多くをがん事業へと注いできました。今後もがん事業へ集中していく意思を示し、眞鍋氏がその理由を化学工業日報のインタビューで語りました。
Q.がん分野への資源集中をさらに強めた理由は?
A.米国の疼痛事業がうまくいかず、日本も厳しい状況になってきた。一方、がん分野は想定以上の進捗が出ている。手持ちのパイプラインが充実し成功確率も高くなってきた。ここで投資をして勝負するなら『がん』だろうと。将来のインフラを含めて今は投資を優先すべきという判断にいたった
また、向こう5年間で研究開発投資を2000億円増やし、2025年にはがん領域の売り上げを5000億円にすることを目指しています。
今後さらなるがん分野での活躍が期待できそうです。
第一三共株式会社の口コミ情報まとめ!福利厚生や残業の実態は?
口コミ情報サイトは、退職者の書き込みが中心のためどうしてもネガティブ情報が集まりやすい傾向があります。情報をそのまま鵜呑みにするのではなく参考程度に留めておきましょう。
給与・ボーナス、福利厚生は?
給与・ボーナスに関する不安を抱いているという意見はあまり見られませんでした。
特に住宅手当に関して手厚く感じている人が多いようです。しかし、部署に賞与に関しては部署による差があると感じている人もいました。
組織体制や社風は?
年功序列が根強く残る企業文化のようです。
社員も真面目の人が多く安定志向の強い会社だという人も多かったです。そのため、長く働くには適しているかもしれません。
年功序列の影響で、上司によってそれぞれの部署の雰囲気が異なることもあるようです。
第一と三共が合併してできた会社でもあるので、いまだに”第一”と”三共”の間に派閥があるという意見も多く見られました。
労働時間や休日、残業は?
会社全体では、ワークライフバランスに取り組んでいて、ノー残業デーといったものも設定しているようです。
それによりプライベートや会社内での付き合いが充実しているという人も多く見られました。
有給は管理職経由で取るよう推奨されており、取得しやすいという意見が目立ちましたが、部署によっては取りずらい雰囲気にあるところもあるようです。
転職前後のギャップはある?
転職を決めた理由として、会社規模の大きさや新製品の多さなど安定した経営をしているから、という声が多く見られました。
給与に関してのギャップを感じている人は少ないようでした。
その反面、内資企業的風習が抜けていないことへのギャップはあるようです。
第一三共株式会社が属する製薬業界の動向、今後の課題は?
製薬業界の市場規模
製薬業界の市場規模は、国内では10兆5,141億円、世界では123兆4,880億円と市場規模は非常に大きいです。
国内の市場規模は、2005年から上昇傾向にあり、米国、中国、日本と世界的に見ると第3位の規模となっています。第3位と聞くと、好調に思えますが、実際はまだまだ海外企業と比べると敵わないのが現状となっています。
国内最大手の武田薬品工業が2016年の世界製薬企業ランキングでは17位、国内2位のアステラス製薬が20位、国内3位の第一三共が25位という結果になっています。
世界ランキングでトップ25位以内に、国内企業は3社しかランクインしていないことが分かります。
製薬業界では、莫大な費用と時間を要する研究開発費に対応するため、各社再編、統合、買収が繰り返されてきました。
例えば、過去には、2005年4月に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し、アステラス製薬が誕生しました。
2007年4月には三共と第一製薬が経営統合し、第一三共が誕生し、さらに第一三共は平成2008年、インドの後発薬大手ランバクシー・ラボラトリーズを子会社化しています。
製薬業界の動向・トピックス
これまで市場規模は拡大してきましたが、今後は縮小していくと考えられています。
国内では高齢化の影響で社会保障給費における医療費が年々増加していくと予想されます。
そこには2つの要因が考えられます。
- 薬価の引き下げ
- ジェネリック医薬品の普及
2018年4月の薬価改定では、製薬業界平均で7.4%の引き下げが行われ、厚生労働省は2019年10月に薬価を引き下げる方針をまとめました。
また、日本政府は平成30年度から平成32年度末までの時期に、ジェネリック医薬品のシェアを80%以上にするという新たな目標を掲げました。
コスト上昇による国内市場縮小に対する対策として、海外市場へと拡大を図る企業は今後増えていくと予想されます。
製薬業界大手の平均年収、売上高ランキング!第一三共は何位?
平均年収ランキングTOP3
第1位 ソレイジア・ファーマ製薬株式会社 1,576万円
第2位 シンバイオ製薬株式会社 1,195万円
第3位 第一三共株式会社 1,103万円
国内大手と言われる、武田薬品やアステラス製薬を上回り、平均年収ランキングでは第3位という結果になりました。
売上高ランキングTOP3
第1位 武田薬品工業株式会社 1兆7,705億円
第2位 アステラス製薬株式会社 1兆3,003億円
第3位 第一三共株式会社 9,601億円
平均年収ランキングでは、TOP3にランクインしていなかった武田薬品やアステラス製薬ですが売上高にはランクインしています。
しかし、平均年収ランキング、売上高ランキング共にTOP3にランクインしているのは第一三共だけです。
第一三共株式会社の中途採用情報まとめ!
中途の募集職種
第一三共株式会社公式HPでは、以下の職種で募集を行なっています。
・Senior Data Architect
・Senior Software Developer
・データサイエンティスト(創薬化学)
・信頼性保証 (ファーマコビジランス職、GCP監査職)
・バイオプロセス開発研究
・メディカルアフェアーズ (癌PM、シニアMSL、臨床研究担当<リウマチ領域>、MSL<血液癌領域>、臨床研究担当<循環器領域>)
・治験薬の品質保証(QA)業務担当者
・CMC薬事
・臨床開発職(癌スタディリーダー、アジア領域の癌スタディリーダー、M&S担当者)
・データサイエンス職(データマネジメント担当、データマネジメント CDISC担当)
具体的な仕事内容、募集条件は?
事業領域や部署によって同じ職種でも仕事内容や求められるスキルは大きく変わってきます。
ここでは、いくつかの職種の仕事内容や募集条件をご紹介します。詳細が気になる方は第一三共の公式HPをご覧ください。
職種①:開発職/バイオプロセス開発研究
仕事内容
研究所の実験データをもとに新薬の特徴(有効性や安全性)を引き出すための戦略を立案し、臨床試験(治験)で新薬効果を証明して国から医薬品としての承認を得ること。
募集条件
【必要な経験・スキル】
・バイオ医薬品のプロセス開発経験、パイロットスケールでの製造経験(※企業での製造プロセス開発経験を必須とする)
・バイオ医薬品のCMCに関するレギュレーション(ICH等)の知識
・バイオ医薬品のINDやNDAのCMCパートの作成経験(補助を含む)
・海外CMOへの技術移転や海外CROへの試験委託経験
・明るく元気がよくコミュニケーション能力が高く、リーダーシップを発揮できる人材
職種②:研究職/循環器領域
仕事内容
病気のメカニズムを解明し、革新的な新薬の候補を見つけ出すこと。
薬の有効成分を体内に取り込むための製剤化、大量生産のためのコストダウン、品質の向上法を研究し、新薬が世に出た後を見据えた工業化など。
募集条件
【必要な経験・スキル】
・医薬品企業またはCROにおいて臨床試験または臨床研究のオペレーションを担う部門に所属し、そこでの業務経験が5年以上
・循環器領域の基礎知識を有する(必須)(血栓領域の知識を有することが望ましい)
・ICHや日本の規制当局が公表しているGCPおよび臨床研究法に関わる法規制を理解している
・臨床試験または臨床研究の企画、オペレーション、およびCROマネジメントに関する知識・業務経験が豊富(最重要)
・CROおよび社内関係者とのコミュニケーション能力が高い(KOL対応の業務経験を有することが望ましい)
・大規模な臨床研究のサブ担当、もしくは小規模臨床研究の担当者(担当者1名のみ)の対応が可能
・英語で会話や議論ができる能力(目安としてTOEIC 700点以上)があれば望ましい
中途採用の選考フロー
第一三共の経験者採用は以下の選考フローで行われます。
【STEP 1】WEBプレエントリー 締め切り 3月下旬
▼
【STEP 2】エントリーシート 締め切り 3月下旬
▼
【STEP 3】説明会 3月上旬
▼
【STEP 4】面接 6月上旬
▼内々定 6月上旬
※なお、上記の選考フローは一般的な流れであり、個々の事情によって変動の可能性あり。
おわりに
第一三共株式会社の企業情報、採用情報などをまとめてきました。
国内でも大手の第一三共は売上高、平均年収共に国内トップクラスです。
転職する際には、数字的なことだけでなく、今回紹介した製薬業界全体の動向や口コミのような情報もしっかりチェックすることが重要です。
皆さんの転職活動が成就することを願っております。