「なぜ、現在の会社を辞めようと思ったのですか。」
「なぜ転職するのかお話しください。」
「前職への不満はありますか。」
転職面接で必ず聞かれる「退職理由」の聞き方の一例です。
退職理由は、転職面接に臨む前に必ず回答を用意しておきたいものです。しかし、応募者の方の中には「本当の退職理由はネガティブすぎて言いづらい。。」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、企業側がなぜ退職理由を聞くのか、応募者が注意すべきポイントをご説明します。
自分の退職理由を前向きに話すきっかけを得られると思います。
最後には回答例を5つご用意しました。
転職面接でなぜ退職理由を問われるのか
転職先企業の採用担当者は、応募者の何を見極めるために退職理由を尋ねるのでしょうか。
採用担当者が注目している点は以下の2点です。
- 転職後にすぐ辞めないか
- 応募社の人間性
転職後にすぐ辞めないか
面接官は、あなたが語る退職理由が自社にも当てはまるかどうかを見極めようとします。
例えば、あなたが残業を理由に転職活動を始めた場合、残業が多い会社ですと、自社でもすぐ辞めると判断されるでしょう。
また、人間関係が理由の場合でも、「上司の評価に納得できなかった。」「同僚と仲良くなれなかった。」といった他責の理由は、自社でも文句を言うと判断されるでしょう。
応募者の人間性
退職理由で、面接官は、あなたの仕事に対するスタンス・人間関係の築き方・社風にマッチするかも判断します。
仕事に対するスタンスで、受け身な姿勢・自分で努力して成長しようとしない姿勢はNGです。
例えば、「~と言われた」「~をしてくれない」といった受け身な理由や「やりたい仕事ができなかった」「タスク量が多かった」など、自発的に業務内容を改善しようとした跡が見られない理由はマイナス評価を受けるでしょう。
また、前職と同業他社への就職をお考えの場合、ある程度社風が似ている可能性もあります。
その場合「会社の雰囲気に合わなかった」という理由では、自社でも合わないと判断されてしまうかもしれません。
3つの退職理由の回答ポイント
では、どのような気持ちで退職理由を面接官に語ればいいのでしょうか。
以下の3点の気持ちを持って、面接に挑みましょう。
- 退職理由と志望動機を結び付ける
- 前向きな気持ちをもって話す
- 堂々とハキハキと話す
退職理由と志望動機を結びつける
今の仕事をやめようと思った理由がキャリアアップであれば、転職後の業務意欲が高いとみなされます。
「前職でどうしても挑戦できなかった企画業務ができる」といったように、退社理由と志望動機が結びついていると納得感があります。
前向きな気持ちを持って話す
たとえネガティブな退社理由で転職をしていても、転職面接では、「これから新たに挑戦したいこと」に焦点をあてて話しましょう。
入社したい意欲を感じさせるため「入社後のキャリアプラン」も語れると良いでしょう。
堂々とハキハキと話す
言いにくい退職理由だからこそ、ハキハキ話しましょう。
新しい会社で「一緒に働きたい」という熱い思いを伝えることができるからです。小さい声で早口で話してしまうと、面接官に隠しごとをしているように見えます。
転職面接でNGな3つの退職理由
退職理由で嘘をついてはいけませんが、言わない方が良いことはあります。特に面接官に嫌われてしまう退職理由が以下の3つです。
- 不満・愚痴・批判
- 給与体系や福利厚生
- 応募先と関連する事柄
それぞれ詳しく見ていきます
①:不満・愚痴・批判
転職活動をしている方のほとんどは、現職に対する不満をお持ちだと思います。しかし、面接官はあなたの愚痴を聞きたいわけがありません。
面接で会社を批判する応募者に対して、採用担当者が知りたいことは「その不満を解消するためにあなたが行動したこと」です。
最終的に、その不満が解消されるに至らなかった場合は、行動に結果が出ていないため、話さない方が良いでしょう。
②:給与体系や福利厚生
一般的に、面接の退職理由で給料や福利厚生を伝えるのはやめた方が良いでしょう。
「弊社より給料が高い会社はほかにもありますが、なぜ弊社を希望するのですか」と聞かれる可能性があります。
次の章で詳しく触れますが、給与を問題にするのならば、せめて「評価制度」を退職理由にしたいものです。
③:応募先と関連する事柄
退職理由では、応募先企業にも当てはまりそうな事柄は避けるべきです。
企業側のチェックポイントである、「すぐに辞めないか」に引っかかってしまうからです。
採用担当者側にとって自社は、退職理由(=あなたの一番の不満)が解決できる会社であってほしいものです。
面接官に好印象を与える!退職理由の回答例5選【理由別】
①待遇(残業、給料)に満足できなかった場合
給料が低いことを直接の退職理由にするのは、気が引けるものです。
そこで、給料が低いことを「評価制度」に変えて話すことで、ポジティブな理由になります。
私が5年間務めてきた会社は、年功序列の給与体系でした。
私は、過去5年で年間売り上げトップを2回経験しましたが、成果が給与額にほとんど反映されず、モチベーションの維持が大変な時期もありました。
そこで、貴社のように自分自身の営業の実力と実績を評価してもらえる会社で、営業として貢献したいと思い退職を選びました。
②社内の人間関係に満足できなかった場合
人間関係が良くなかったことを「社内で協力して仕事をする」や「チームワークを発揮する職場」と言い換えて話すと、前向きさが伝わります。
前職でも営業を行っていましたが、個人主義の風土があり、営業同士で協力して売り上げを向上を目指すことが難しい状況でした。
しかし、私は周囲を巻き込んで業務にあたることが得意です。
組織として営業成果を求めていく貴社で、チームとして目標達成に向けて努力してまいりたいと考え、退職を決意しました。
③会社の将来性に不安を持った場合
会社の将来が不安になった場合、安定性を求めた転職活動だと思われる可能性があります。
自分が今まで身につけたスキルを活かして、「今後何をしたいのか」をアピールするようにしましょう。
前職では、○○のマネジメントの担当者となり、△△といった資格を取得して業務に取り組んでいました。
しかし、経営方針の変化によって、プロジェクトが中止になってしまいました。
自分の力量が及ばず残念ですが、私自身は将来性がある事業だと強く思っております。
3年間のマネジメント業務で身につけた○○の知識を活かして、創業から一貫した経営理念を持った貴社の○○のような業務に貢献したいと考え、退職を決意しました。
④外部環境の変化(介護・育児・結婚)があった場合
退職に至った原因がすでに解決済みであることと、入社後に転職先の会社に貢献したいという思いをアピールするようにしましょう。
・介護(育児)で離職した場合
父が、認知症になり、介護が必要となり退職に至りました。
父は、当時静岡で一人暮らしをしており、1年程度仕事と介護を両立させていたのですが、徐々に両立が難しくなり退職しました。
現在は、父の東京の介護施設への入所が決まり、ご迷惑をおかけすることはありません。
また何かあった場合でも、東京には兄弟がおりますので、対応してくれます。
前職で養った○○の経験を活かして、貴社に貢献したいと考えます。
育児で退職した場合も、介護の部分を育児に変え、現在は業務に支障はないことを示しましょう。
・結婚で離職した場合
結婚を機に、夫の仕事場に合わせて転居が必要となりました。
前職の仕事も続けたかったのですが、新居からの通勤が困難であり、退職に至りました。
引っ越し後、家庭も落ち着き、主人も就業には賛成してくれているため、転職を決意しました。
前職で養った人事経験を活かし、貴社で貢献したいと考えます。
⑤体調を崩してしまった場合
すでに、病気が業務に支障をきたさないことをアピールしましょう。
療養の結果、現在は完治し、スキルアップのため○○の資格も取得しました。
前職で養った○○の経験と取得したスキルを活かして、御社で力を尽くしたいと考えます。
ここで完治と嘘をついてはいけません。まだ通院している場合は、入社後に困る場合があるためです。
「月に1回通院し、薬を服用しています。」などと、正直に伝えましょう。
おわりに
繰り返しになりますが、退職理由で大切なことは「前向きな姿勢」です。
転職先企業で何をしたいのかと、どのように貢献したいのかをイメージして、ポジティブな退職理由を用意して面接に臨みましょう。