転職の面接で「自己PRをお願いします」と言われたら、何を話しますか?
どれだけ自分の評価を高められる自己PRを作るかが、転職面接の合否を分けます。
そのため、しっかりと面接準備をして当日の面接に臨むことが必要です。
しかしそうは言っても、
- 「急に聞かれてもうまく答えられない」
- 「自己PRって自己紹介や長所と何が違うの?」
- 「どんなふうに準備すればいいのか分からない」
- 「1分で自己PRをする場合のコツを知りたい」
といった方も多いと思います。
そこで今回は、面接官が自己PRに求めていることや自己PRのポイント・注意点をお伝えします。
また、自己PRの作り方が分からない方向けに3ステップでの作成方法や事務職・営業職・SE職の職種別自己PR例文もご用意しました。
よろしければ、参考にしてください。
転職面接の自己PRと自己紹介・長所の違いは?
転職の面接では、様々な角度から応募者のスキルや経験が見極められます。したがって、企業側もいろいろな質問を投げかけてきます。
この章では、よく混同される自己PRと自己紹介や長所との違いをお伝えします。
自己PRと自己紹介との違い
面接の冒頭で、面接官から自己紹介を求められることがあります。
この時は、挨拶と氏名や簡単な自分の経歴を伝える程度で十分です。
仕事内容への質問や志望動機といった質問は、自己紹介を終えてからしっかりと聞いてもらえます。
自己紹介では、長々と自己PRをすることなく簡潔にあなたの人となりが分かる程度でまとめましょう。
自己PRと長所との違い
自己PRを聞かれた後に、長所を聞かれることもあります。
これらはどちらも、応募者自身の良いところを企業にアピールする点では同じです。
しかし内容は変えたほうが、企業側によりあなたを知ってもらうチャンスが増えて良いでしょう。
自己PRでは主に、仕事における自分の強みとして、これまでの経験を踏まえて具体的なエピソードとともに話すものです。
一方の長所では「人柄」を聞かれていると考えてください。
あなたの性格上の魅力をベースに考えます。仕事で毎日一緒に過ごすメンバーとなる応募先企業に対し、あなた自身がどのような人物かイメージできる情報を盛り込むと良いでしょう。
友人・同僚・家族から「あなたの○○なところが良いところだね」「○○な性格だね」と言われた経験を振り返ると考えやすいでしょう。
【関連記事】転職の面接で伝えるべき長所・短所の見つけ方と回答例
人事が面接で自己PRを聞く目的は?
自己PRを作る前に、面接官が自己PRで期待していることを理解し、企業側の意図を認識しておくと良いでしょう。
企業が自己PRを聞く目的は何?
企業は、自己PRを通して「応募者が入社後に活躍しそうか」を判断しています。
自社で働いたことのない転職希望者が入社後に活躍できるかを判断するポイントは、次の2点によります。
- スキルや経験があっているか
- 社風に合っているか
①スキルや経験が合っているか
即戦力人材を求める中途採用では、「応募者のスキルや経験が求めている水準か」が確認されます。
求人票に記載されていた募集要件を満たしているか、または募集要件を超える経験をしてきたかがチェック項目です。
自身の仕事に対する取り組み方や、これまでのキャリアを通して身につけたスキルをアピールすることが必要になります。
②社風に合っているか
どんなに能力が高い人でも、企業文化や企業風土にマッチしなかった場合、本来の能力を発揮出来ないこともあります。
したがって、仕事に対する価値観や姿勢が社風とあっているかが確認されます。
中途入社の人材に長く活躍してもらうため、自己PRを通しても企業との適性が見極められるのです。
面接官が求めている自己PRとは
自己PRに盛り込むべき内容は次の3つです。
- 今までどんな経験をしてどのようなスキルがあるか
- 仕事に対してどのような価値観を持っているか
- 応募先の企業ではどのように働きたいか
これら3つを伝えるためには、あなたのキャリアの棚卸しと自己分析が必要になります。
採用担当者に刺さる自己PRの作り方3ステップ
企業に応募するときの自己PRの作り方を3ステップに分けてご説明します。
ステップ①:今までどんな経験をしてどのようなスキルがあるか
今までの経験として、キャリアの整理を行いましょう。
キャリアの整理では、これまでのキャリアを一つ一つ詳細に具体的に棚卸ししましょう。一つの仕事を通じて、自分がどのように成長して、会社にはどんな貢献ができたかを整理していくのがポイントになります。
キャリアの整理をするために適した自分への問い
- どんな業界でどんな業務を担当した?
- そこで果たした役割や成果・実績は?
- 結果を得るために自分なりに工夫したことは?
- その経験・体験によって得られた学びは?
ステップ②:仕事に対してどのような価値観を持っているか
続いて自分の個性やこだわり、仕事に対する姿勢を発掘するための自己分析が必要になります。自分の性格だからこそ与えられた、仕事への貢献を導き出すことがポイントになります。
自分の特性の分析ができる自分への問い
- 仕事に役立っている自分の長所は?
- 人付き合いでの自分のポジションは?
- 周りからどんな人だと言われることが多い?
- 仕事をする上で心掛けていることや大切にしていることは?
また資格や特技、自己啓発について振り返ってみることも大切です。
仕事のために受講した講習はもちろん、趣味が高じて身に着いた技能や資格があればすべて書き出しましょう。
なぜそれが好きなのか、なぜ資格を取得したのかの背景も整理しておきましょう。
常に学習を怠らない前向きな意欲がアピールできるはずです。
資格や特技・自己啓発を振り返ることができる自分への問い
- 保有している免許や資格は?
- 誰にも負けない技能や趣味は?
- それらを身につけた理由は?
- 自己啓発(転職先企業)のために勉強した、勉強中のことは?
ステップ③:応募先の企業でどのように働きたいか
ステップ①と②で振り返った自分像をもとに、応募先企業との接点を探します。
応募先企業がどんな人材を求めているかを押さえ、それにあった自分をアピールすればよいのです。
そして、応募先企業が知りたいことは「応募者がどんな形で貢献してくれるのか」です。
したがって「自分の強みを活かして、転職先でどのように活躍したいと考えているか」を最後にまとめると良いでしょう。
魅力的な自己PRの伝え方!3つのポイントまとめ
次に自己PRを面接官に伝える時のコツについてお話していきます。
自己PRで大切なのは以下の3点です。
- 企業側の求める人物像を理解する
- 具体的なエピソードを説明に交える
- 客観的な評価を取り入れる
良い自己PRのポイント①:企業の求める人物像を理解する
アピールポイントを絞るときに、必ず考慮しなければならないことが「企業側のニーズ」です。
企業側が欲しい人材を理解するためのヒントは、企業のホームページや求人票にあります。
隅々まで目を通し、応募先企業で活躍する人材の特徴を満たした応募者であることを伝えましょう。
良い自己PRのポイント②:具体的なエピソードを説明に交える
例えば「コミュニケーション能力が強みです」と述べただけでは、他の応募者と比較してどんなコミュニケーション能力に強みがあるのか伝わりません。
したがって「初対面のお客様とでもすぐに打ち解けることができる」「お客様から自分を指名してもらう回数が社内トップクラス」といった、事例を交えることで説得力が増します。
数値化できる経験があれば、具体的な数字を用いて伝えるとインパクトを与えられるでしょう。
良い自己PRのポイント③客観的な評価を取り入れる
あなた自身が「これが私の強みです」と伝えるだけでなく「周りの人からも○○だと言われた」といったエピソードも伝えられれば、より信憑性が高まります。
上司や同僚から仕事ぶりについて評価されたことを思い出してみましょう。
こんな自己PRはNG!面接で気をつけるべき注意点2つ
面接官の印象をより良くするための注意点についても2点お伝えします。
- アピールポイントは1つに絞る
- 履歴書や職務経歴書との整合性に気を付ける
具体的に見ていきます。
注意点①アピールポイントは1つに絞る
自己PRでは、できるだけ自分をよく見せようとして、たくさんの強みをアピールしてしまいがちです。
しかし、短い面接の時間で多くの強みを述べられても、面接官にとって「結局この人は何ができるのか」あいまいになってしまう場合も多いです。
したがって、アピールポイントは1つ、多くとも2つにまとめるようにしましょう。
そのほうが面接官に「本当に伝えたい強み」「本当に知ってほしい強み」を印象付けることができます。
注意点②履歴書や職務経歴書との整合性に気を付ける
書類選考の時に提出した職務経歴書に記載した自己PRに沿った内容を話しましょう。
基本的に面接は、職務経歴書をもとに進められるためです。提出書類の内容と矛盾があると印象が悪くなっています。
ただし、職務経歴書に書いた自己PRを暗記して話せばいいということではありません。面接では、職務経歴書の内容をさらに深く具体的に述べることが大切になります。
自己PRを1分間にまとめて話すコツ
数ある転職面接の中には、自己PRに制限時間を設ける企業もあります。
自己PRの回答時間で一番多いのは、1分です。
「1分で話しなさい」との指示があった場合は、その制限時間内に必ず自分のアピールポイントをまとめる必要があります。
面接前に1分自己PRの指示があれば、事前に練習もできますが、面接会場でいきなり言われることもあります。
面接当日に慌てないためにも、1分用の自己PRを準備しておいた方が良いでしょう。
1分の話は文字数にすると300文字程度だと言われています。
そのため、テキストで1分用の自己PRを準備する場合は300文字程度を目安に準備しておくと良いでしょう。
どうしても300文字では収まらないという場合は、400文字以内であれば、話すスピードを速くして1分で話すことは可能です。
しかし、早口になりすぎると面接官に内容が伝わりにくくなってしまうため、録音した自分の自己PRを聞いてみるといった方法で練習し、適度な分量にすることを心掛けてください。
自己PRの回答例を職種別に紹介!
ここでは、1分の分量で事務職と営業職とSE職をまとめてみました。
事務職の自己PR
前職の営業事務で経験した業務内容は、主に受発注管理と請求書作成です。お客様と営業の間に入って日程調整することが多く、日々社内外の方々とコミュニケーションを取って働いていました。特に私は、相手が求めることは何かを常に考えたコミュニケーションを大事にしていました。その結果、「急な変更にもかかわらず、納品されて助かった」「次回も御社にお願いしたい」との言葉を多くいただき、やりがいを感じておりました。
貴社の業務で必要な知識をいち早く習得し、調整力やコミュニケーション能力を活かして、貴社のお客様の満足度のさらなる向上に貢献したいと考えております。
営業職の自己PR
前職では、8年間賃貸物件販売の営業をしてきました。お客様にとって人生で数回の大きな買い物となる住宅の営業で成果をあげるために、セールストークはもちろん、住宅の素材・ローンのことといったお客様から寄せられる幅広い疑問や質問に答えられるよう努力してきました。これまでに取得した資格は、宅建・二級建築士・ファイナンシャルプランナー2級などと多岐にわたります。
最近は徐々に管理職の仕事を任されるようになりましたが、まだまだ自分の知識を広げたいと考えております。そこで、貴社では前職で培った知識や経験を活かし、今まで以上に自己研鑽を重ね、貴社の売り上げ向上に努めたいと考えております。
SE職の自己PR
私は努力を惜しまないことを大切にする人間です。前職では、大規模ネットワークの構築・運用・保守を経験しました。当初私に与えられた仕事は下流工程だけでした。しかし、自分の仕事をいち早く終わらせ、就業後も残って勉強を続けた結果、徐々に仕事の幅が広がりました。また、会社の資格取得支援を活用しCCNPも取得しました。現在は、5年以内に設計に携われるようになることと、CCIEを取得することを目標に置き、ネットワークエンジニアのプロフェッショナルを目指しています。今後も学び続ける姿勢を大切にし、貴社でより上流の工程に挑戦し、チームを牽引できるPLやPMへとキャリアアップしたいと考えています。
自己PR以外に転職の面接で聞かれる質問は?
転職面接では、自己PR以外にも聞かれる定番質問がたくさんあります。
自己PRの用意が終わったら、次の質問に対する回答も準備してみてはどうでしょうか。
- 退職理由を教えてください
- 当社を志望した理由は何ですか?
- 今後のキャリアプランを教えてください
- 最後に何か質問はありますか?
【関連記事】転職面接で採用担当を安心させる退職理由の伝え方
おわりに
転職において面接は合否が決まる大切な場です。その中でも自己PRは「あなたが何をできるか」をアピールできる絶好のチャンスです。
企業側にあなたの人となりや身につけたスキルをアピールして、内定獲得につなげてください。応援しています。