未経験業界や職種へのキャリアチェンジを考える転職者がぶつかりがちな壁があります。
「深い志望動機の書き方が分からなくて、履歴書が進まない!」「志望動機を話し始めた途端に、面接の雲行きが怪しくなった…」
そう、志望動機の壁です。
転職の面接では、実務経験が問われることが多いです。そのため、異業種や異職種からの転職は、ハンデになってしまうこともありえます。
そこで今回は、未経験の仕事に挑戦する時に、企業の方を納得させられる志望動機の作り方をご紹介します。
「なぜ、この業界への転職を志したのですか」「当社で活かせるあなたの経験を教えてください」「未経験のハンデを乗り越えるために、意識していることや実践していることはありますか」
といった質問にも対応できる、志望動機の作り方を4ステップで解説します。
未経験業界の転職でありがちな志望動機のNG例
まずは、未経験の方にありがちな志望動機の例文をご紹介します。
下記の2つの太字部分に注目してください。
私はこれまで、MRとしてキャリアを積んできました。
しかし最近になって、友人が働いている広告業界への興味もわいてきました。
詳しい業務の内容までは分かりませんが、必要な知識を教えていただければできるようになると思います。
やる気だけは誰にも負けません。精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします。
なぜこの志望動機が良くないのでしょうか。
- 「仕事を教えてください」という受け身の姿勢が出ている
企業は、中途採用では即戦力を求めているため、主体的に行動する人が必要です。
- 転職では「やる気」があって当然
意欲や熱意だけをアピールして、採用がもらえるほど転職は甘くありません。これまでの業務の経験が、どのように新たな仕事に活かすことができるかを話す必要があります。
未経験業界・職種の志望動機の書き方は4ポイント
それでは、どのような志望動機を作ればいいでしょうか。志望動機で盛り込むと良い内容は、4点あります。
- 異業種に転職しようと思ったきっかけ
- 前職の経験と応募先企業で活かせるスキルの共通項
- 転職の本気度
- 人間性・社会人基礎
それぞれ解説していきます。
ポイント①:異業種に転職するきっかけを整理しよう
転職を志した理由が存在するはずです。退職する会社の悪口は言わず、「業界」「職種」「企業」への興味と自分が企業とマッチしていることを伝えましょう。
キャリアを重視する転職では、やる気だけではNGです。あなたご自身の「転職理由」と「企業・業界・職種のどこに魅力を感じたか」を結びつけることが大切になります。
ポイント②:前職の経験と応募先企業で活かせるスキルの共通項を探そう
どのような職種であったとしても、仕事をする上で共通するスキルがあるはずです。以下のような共通スキルを前職での具体例と共にアピールしてはいかがですか。
- 持続力
例)自らのスキルアップのため、業務時間以外に月10時間の勉強時間を3年間確保してきました。その結果、○○と○○の資格を取得しております。
- 課題解決力
例)長年の課題を、SNSの活用を提案して実践したところ、売り上げが前年比120%に向上しました。
- 調整力
例)8名のチーム長を任されたときには、チーム員の意見や社内外の関連部署とのコミュニケーションを大切にし、トラブルを未然に防ぐことができました。
ポイント③:転職の本気度を伝えよう
未経験というハンデを克服し、会社に貢献するための努力と前向きさを伝える必要があります。
「教えてもらう」のような受け身の姿勢はNGです。新たな職種のために、「現在、勉強していること」「いつまでにどの程度の資格取得を目指しているか」を伝えると良いでしょう。
また、企業側は「やっぱり前の職種が良かった」という理由からの早期退職を恐れています。
転職の本気度を伝えるために、「入社後のプラン」も考えておきましょう。どのような経験を積んで、目標達成に向けて挑戦し、会社に貢献するのかをまとめておきましょう。
ポイント④:人間性や社会人基礎をアピールしよう
未経験でもよい場合は、応募者個人の性格も評価されます。異職種へ飛び込みやすいとされる下記のような人間性はアピールできます。
- 積極的な姿勢
・新しいことを学ぶことが好き
・新たな環境で活躍するための努力を大切にする
- 新たな職場への適応力
・人見知りしない性格で、新しい環境でもすぐに打ち解けられる
・貴社のサービスを熟知しており、貴社の一員として貢献できるetc
- 社会人としての基礎
当たり前のことですが、ビジネスメール、来客対応、電話対応、パソコンスキルなども中途採用では大切です。普段の業務や新人研修を思いだして、アピールすることもできます。
- 体力
どうしてもアピールすることがなければ、毎日の業務に耐えられるかという視点で健康面をアピールすることも可能です。
未経験職種/業界の志望動機【例文一覧】
実際どのような志望動機を書けばよいでしょうか。例文をご紹介します。一般事務、プログラマー、人事、営業の場合をご用意しました。
一般事務を目指す場合
前職では営業をしておりましたが、伝票処理や他店舗との連携といった裏方と呼ばれる仕事も担当しておりました。
それを続けているうちに、事務を本業としてやっていきたいと考えるようになりました。
貴社の事務職は、受付業務も兼ねているため、電話応対や来客対応で、これまでの経験が活かせると思います。
また、前職の裏方業務でWordやExcelを使用した作業も行ってきました。伝票処理といったエクセル処理やデータベースの作成が可能です。
現在は、さらなるステップアップに向け、MOS資格の取得に向けて勉強中です。
営業を経験しているため、営業の方のことを思ったサポートで、貴社の営業を支援したいと考えております。
プログラマーやエンジニアを目指す場合
大学で学んだ知識を活かし、お客様の要望に合わせて、システムを作ることに魅力を感じSE職を志望しました。
社内で新しく運用を始めたスマホアプリのトラブルの際に、外部のエンジニアの方が一緒になって解決をしてくれた経験で、自分もシステム構築に携わりたいとの思いが強くなり、勉強を始めました。
これまでの営業で培った、コミュニケーション能力と新しいものに積極的に挑戦する姿勢は、SEでも役立つと思います。
エンジニアの仕事は未経験ではありますが、大学ではJavaを学習済みで、現在、独学でJavaを再び学んでおります。少しでも早く、お客様の求めるシステムを作れるように、勉強を重ねステップアップしていきたいと考えております。
人事を目指す場合
飲食店の店長として、新人育成に関するマニュアルを作り直したところ、新人スタッフのモチベーションが上がり、新人スタッフ退職率0%を達成した経験で、人の成長を支える人事の仕事に興味を持ちました。
店長としての3年間で、店舗の人材育成や労務環境改善を行った経験は、貴社の人事としての採用・教育業務でも役立つと思います。
現在は、一日でも早く人事として戦力になるために、社会保険労務士の資格取得に向け勉強中です。
人材育成に力を入れている貴社の人事部門で、「人」のモチベーションに関わる仕事に取り組みたいと思っております。
営業を目指す場合
これまでは、総務をしてきましたが、自分の努力が数字となって表れ、会社に貢献することが出来る点に魅力を感じ、営業職を志望しました。
前職の総務では、他部門との密なコミュニケーションを大切にし、部門間の連携を積極的に図ってきました。
総務で培った、相手の細やかな気持ちを読み取る力は、営業職でも活かすことができると思います。
貴社の新規開拓営業でも、お客様のニーズを捉えて、貴社の力になりたいと考えております。
志望動機と退職理由やキャリアプランの整合性が大切
未経験で転職をする場合、特に本気度が確認されます。
ここで言う本気度とは、「応募者がどれだけ深く自己分析をし、どれだけ自社に入りたいと思っているか」になります。
企業側は、この本気度を「退職理由」や「キャリアプラン」を合わせて聞くことにより、判断しようとします。
せっかく素敵な志望動機ができても、「なぜ辞めたか」と「今後何をしたいか」があいまいでは、採用が遠ざかってしまいます。
自分の志望動機と退職理由が一貫しているか、心配な人は一度他の人に聞いてもらうと良いでしょう。