転職活動が上手くいって企業から内定をもらったとしても、内定先がブラック企業では転職したくないですよね。
口コミサイトをみると「残業が多い」「ノルマが厳しい」などのコメントが寄せられている、しかしネットの情報をどこまで信用すればいいのか分からない。。
逆にネットでは良い評判が立っているけど、面接を繰り返す中でブラック企業なのではないかと疑問を持ち始めた。。
転職者の悩みには様々なケースがあると思います。
実際「ブラック企業に入りたくない」と思っていながらも、ブラック企業の見分け方を把握している転職希望者はごく一部なのではないでしょうか。
自分にとって条件が良く、働きやすいホワイト企業に巡り合うためには、ブラック企業の特徴や見分け方を知って、事前に回避することが大切だと言えるでしょう。
今回の記事では、明確な定義がないブラック企業の共通点をまとめて紹介します。
また、転職サイトの求人票・四季報等を活用したブラック企業の判別方法をお伝えします。
POINT
- ブラック企業に共通する特徴が分かる
- ブラック企業の見分け方が分かる
- ブラック企業に入ってしまったときのベストな対応方法が分かる
ブラック企業の定義や共通する特徴は?
ブラック企業に定義なし
読者の方はブラック企業と聞いて、どのような企業をご想像されますか?実は、「ブラック企業」という言葉には正確な定義はありません。
働く人によって、何をブラックととらえるか、その価値観は人それぞれです。
例えば、スキルアップできる環境であれば、残業時間はいくら長くても気にならないという人にとっては、残業時間が多い会社=ブラック企業ということにはなりません。
とはいえ、一般的に「ブラック企業」と呼ばれる会社に共通する特徴は存在します。
そこで今回は、世間でブラック企業と呼ばれる器用に共通する特徴として次の項目で9点をご紹介します。
ブラック企業に共通する特徴9選
今回ご紹介するブラック企業の共通点は、次の9個です。
- 入社3年以内の離職率が異様に高い
- 採用活動が常時活発に行われている
- 達成困難なノルマを課せられる
- 深夜まで続く残業時間
- 就業規則等のルールが未整備
- セクハラ・パワハラ・モラハラが横行している
- 精神論が浸透している
- 自主退職に追い込む雇用主
- 辞めさせてくれない雇用主
それぞれ詳しく見ていきます。
①入社3年以内の離職率が異様に高い
ブラック企業では、過酷な労働条件で働かされることが多いため、早期離職率が高くなる傾向にあります。
ただし、会社によっては離職率を公表していないところもあります。そのような場合は、次のご紹介するその企業の採用活動に着目してみると良いでしょう。
②採用活動が異様に活発
毎年大量の新入社員を採用していたり、常時採用活動を行っている場合は、ブラック企業の可能性があります。
もちろん、事業が順調に成長し、健全な意味で人手が足りていないというケースもあるでしょう。
しかし、せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまうため、常に人不足で採用活動を行わなければならないといケースもあることを認識しておきましょう。
離職率が高いことの裏返しであり、このような会社は従業員を「使い捨て」にする傾向があるため、入社後に過酷な労働をさせられる可能性もあります。
③達成困難なノルマを課せられる
ノルマが厳しい会社もブラック企業の典型でしょう。
会社からノルマが設定されていること自体は問題ではありませんが、現実的に達成が難しいノルマを課せられ、「達成できないと減給」「上司から怒声を浴びせられる」などの会社はブラックの可能性が高いです。
従業員によっては、なんとかノルマを達成しようとサービス残業も辞さずに働くという悪循環に陥る場合もあります。
不安な感じた方は、転職前にノルマ達成率や現実的な目標数値を聞いておくと良いでしょう。
④非常に長い残業時間
残業時間は、ブラック企業を図る指標として最も頻繁に使われます。
労働基準法で定められた労働時間の原則は1日8時間、週40時間です。労使間で36(サブロク)協定を締結した時に初めて、この上限を超えることが可能になります。
36協定・・・時間外・休日労働に関する協定届。1日8時間・週40時間を超えて労働をさせる場合や休日労働をさせる場合に労働組合と労使者の間で締結しなければいけない。
ただし、36協定を結んだあとでも1か月45時間を超える残業は基本的に認められません。
過重労働による労災認定の基準は「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる」ことです。
月の残業時間が80時間を超える企業はブラック企業と呼んでもいいかもしれません。
ただし、会社が公表している残業時間が本当の残業時間とは限りません。サービス残業が常態化している企業もあるため注意が必要です。
⑤就業規則等のルールが未整備
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する場合は、就業規則を作る必要があります。
しかし、法律で定められていながらも就業規則・賃金既定のルールが整備されていない会社は要注意です。
企業によっては、一度残業や給料に関するルールを作ることで、従業員に思い通りに働いてもらえなくなることから規則を作っていない悪質なケースもあるようです。
ルールが整備されていない場合、会社の業績次第では賃金未払いが常態化する可能性もあります。入社前に就業規則の存在有無を確認しておきましょう。
⑥セクハラ・パワハラ・モラハラが横行
近年は特にセクハラ・パワハラ・モラハラに対して世間の目が厳しくなってきています。
今でも上司によるこのような行為が横行している企業は、会社全体で法令順守意識が低く、ブラック企業の典型とも言えるでしょう。
⑦精神論が浸透
精神論が社員全員に浸透していることは、必ずしも悪いことではありません。しかし、ブラック企業と呼ばれる企業では異常な精神論がまかり通っていることも多いです。
⑧自主退職に追い込む雇用主
会社側が従業員を解雇した場合、会社側は自社のイメージダウンや場合によっては助成金の支給停止などのデメリットがあります。
そのため、会社側が従業員を辞めさせたい場合でも、退職願の提出を求め、強制的に自主退職扱いにする場合があります。
万が一、不当な自己都合退職を迫られた場合、安易に承諾せずに断ることが賢明でしょう。
⑨会社を辞めさせてくれない
自主退職に追い込む場合と反対で、会社を退職したいときに退職させてくれないという点もブラック企業の一つの特徴です。
ブラック企業の場合、社員が会社を辞めたいと訴えても、執拗に社員の退職を食い止めようとする傾向があります。
会社としては社員に辞められるとまた新たな採用活動を行う必要があるからです。
本当にひどい事例だと、辞める場合は損害賠償請求をすると言って脅してくることもあるようです。
一度入社してしまうとなかなか逃れられなくなるので、入社前の見極めが必要になります。
ブラック企業の見分け方13点【ケース別で説明】
今回は、「求人票・四季報・会社ホームページ・口コミサイトを活用したブラック企業の判別方法」「面接時や内定獲得後に実践できるブラック企業の見分け方」をお伝えします。
応募前の段階であれば、求人票・四季報・会社ホームページの項目を、現在選考中の場合は、面接中・内定後の項目を、転職先を決める段階であれば口コミサイトの項目をご覧ください。
いろいろな判断方法をお伝えしますが、根本的な考え方としては、前述したブラック企業の特徴を満たさない会社を探すことになります。
詳しく解説していきます。
転職サイト・求人票を活用した見分け方
転職情報サイトでもブラック企業かどうかを判断することが可能です。求人票では次の5点に着目してみてください。
- 高すぎる給与や振れ幅の大きい給与体系
- あいまいな残業時間
- 極端に低い応募ハードル
- 成果主義・実力主義を全面に出した求人キャッチコピー
- 長い掲載期間
それぞれ、どんな求人が危険かを詳しく見ていきます。
①高すぎる給与や振れ幅が大きい給与体系
同業他社に比べて顕著に給与が高い場合や、給与に大きな幅がある場合(例:年収300万~750万)は注意が必要です。
上記のような会社は、固定給として安定した給料が入ってくるのではなく、成果連動給で厳しく高いノルマをこなした場合に初めて高給になる場合や、みなし残業手当が年収に含まれている場合があります。
ノルマが達成できないときには総じて給与が低かったり、労働時間に対して少ない給料しか貰えなかったりすることがありますのでチェックしておきましょう。
転職サイトや求人票に記載されているモデル年収通りの年収がもらえるとは限らないため、面接時に面接官と労働条件をすり合わせることは大切です。
また、年俸制や裁量労働制をとっている会社も、時給換算した時の給与が低くなりやすい傾向にあるため注意してください。
②あいまいな残業時間
募集要項に残業時間の規定がない会社は要注意です。
「残業なし」でも実労働時間が長い場合もあります。また、「残業あり」だけのあいまいな書き方もチェックが必要です。
ホワイトな会社であれば、ちゃんとした残業規則が存在するものです。
③極端に低い応募ハードル
応募条件の欄に、例えば「学歴不問」「年齢不問」「業務経験不問」「未経験者歓迎」「第二新卒歓迎」といった文字が立て続けに並んでいる場合は注意が必要です。
一見、応募条件が緩く、転職可能性が高い求人に見えますが、ともすると、離職率が高いため「とりあえず新しい人が入ってくれれば誰でもいい」という募集である可能性もあります。
誰でも歓迎だから、と目の前のキャッチコピーに飛びつくのではなく、その募集背景まで確かめた上で入社を決めるようにしましょう。
④成果主義・実力主義を全面に出した求人キャッチコピー
成果主義・実力主義といったやりがいを前面に押し出すような主張は、ブラック企業のよくある求人募集の典型例です。
高いノルマを課して、達成できなければ給料は一切上がらない仕組みになっており、会社側は、社員を正当に評価せず、低賃金で働かせることを目的としていることもあります。
また、会社独自のキャッチコピーを作って社員を洗脳している会社は、ブラック企業の可能性があります。
特に「夢」や「根性」といった抽象的なワードを多用している会社は、精神論を重視する可能性も高く注意が必要と言えるでしょう。
若手登用という言葉も、30代~40代の中堅社員が会社を辞めてしまうため、仕方なく若手から重要なポジションに配置されるという可能性があります。
全ての会社が一概にそうとは言えませんが、求人募集のキャッチや文章にも注目しておくと良いと思います。
⑤長い掲載期間
求人広告の掲載期間は、求人サイトとの契約時に決まっています。
しかしながら、募集期間の長い企業や、いつ見ても掲載されている企業は注意が必要です。追加料金を払って求人広告を出し続けている可能性が高いからです。
予定していた募集人数に届かなかったり、新たな離職者が出たりして常に人材不足である場合が考えられます。
会社四季報を活用した見分け方
会社四季報を使って、ブラック企業かどうかの見極めをする方法もあります。有効な指標は「離職率」です。
離職率
「3年後離職率」と「離職率」に着目してみてください。
3年後離職率とは、3年前に新卒で入社した社員が3年間でどの程度辞めたかを表します。3年後離職率の平均は30%ですので、30%を超える企業には注意してください。
離職率とは、会社全体で1年間に退職する社員数です。リストラが行われていない場合、5%を超えると高い水準になります。
離職率を大々的に打ち出している会社は多くありませんので、気になったら会社四季報を見て、自分で調べてみましょう。
会社ホームページを使った見分け方
実際に応募する場合は、応募企業のホームページを見ますよね。各会社のホームページでもブラック企業の可能性を探ることができます。
次の3つの視点からホームページを見てみてください。
- 同族経営企業かどうか
- 会社の業績推移
- HPがそもそも存在しない
それぞれ危険な兆候と見分け方のポイントをご説明します。
①同族経営企業かどうか
同族経営とは、特定の親族が支配・運営する組織を指します。同族経営には、組織内の統制が強くなる傾向があります。
しかし、会社によっては今の社長が息子に会社を引き継いだ途端に経営が悪化する可能性や、オーナー社長の鶴の一声で会社の方針が全て覆る可能性もあり、会社中で働くものは大変かもしれません。
同族経営=ブラック企業というわけではありませんが、同族経営だからこそ起きうるトラブル可能性は知っておいた方がいいでしょう。
②会社の業績推移が右肩下がりだと危険サイン
応募先企業が健全な経営を実践しているかどうか知っておくことは転職前の最低限の準備事項と言えるでしょう。
会社の業績が低迷している場合、なんとか業績を回復させようと社員に残業やサービスを課さなければならない事態や、場合によっては給料未払いの問題なども発生する可能性があります。
③HPがそもそも存在しない
そもそも企業ホームページが存在しない場合や、あったとしても陳腐なHPの場合は注意をした方がいいでしょう。
パソコンやスマホで情報を検索することが当たり前になったこのご時世にHPを作っていないということは、積極的に自社の情報を開示したくない事情がある場合が考えられます。
面接の場での見分け方
会社に応募後、書類選考を通過した後に面接がありますが、面接中にもブラック企業かどうかを判断するコツがあります。
次の3点に着目して面接に行ってみてください。
- 仕事内容の説明
- 労働条件の説明
- 面接時間
①仕事内容の説明が曖昧な場合は注意
中途の面接では、即戦力として働いてもらうためにも、どのような仕事を任せたいかの説明の時間があります。
しかし、具体的な仕事内容を教えてもらえない場合、詳しく説明してもらい場合は、意図的に企業側が見せたくない部分を隠している可能性があります。
説明があいまいだと感じた場合、うやむやにせずに面接官にハッキリと質問しましょう。
②労働条件の説明は要チェック
長時間労働が当たり前となっているブラック企業では、労働条件に関する情報を求職者に積極的に開示しない傾向もみられます。
具体的な労働条件の説明がない会社が全てブラック企業というわけではないですが、残業時間について質問した時の反応が悪かったり、労働条件について話すことを少しでも渋っていたらブラック企業の可能性を疑ってみる必要もあるでしょう。
③面接時間が極端に短い場合や長すぎる場合は注意
とりあえず働いてくれれば誰でもよいという会社であれば、最低限の質疑応答だけ終えたら、すぐに内定ということがあります。
通常の面接は30分~1時間かけて行うことが普通ですが、極端に面接時間が短いと思った場合は注意してみましょう。
内定後の契約書類を使った見分け方
面接を無事通過し、内定を獲得した途端に本性が現れる会社もあります。内定後に最もチェックするべきポイントは「雇用契約書」の内容です。
雇用契約書の内容が薄い
雇用契約書の記載項目が極端に少ない場合は注意が必要です。内定後の雇用契約書は求職者と企業がその後の働き方について定めた大事な書類。
その書類の記載項目が少なかったり、記載内容が曖昧だったりする場合は疑いの目を持った方が良いでしょう。
例えば、試用期間が極端に長すぎるケースなどがありえます。
試用期間の間は従業員は非正規雇用という扱いになり、企業側は「自由にクビを切る」権利があります。
通常、試用期間は会社と労働者お互いが自分に合った会社かどうかを見極めるために作られた機会です。
しかし、本来の試用期間の目的から逸脱して「いつでも従業員のクビを切れる期間」として明らかに長すぎる試用期間を設定するブラック企業がいるのも事実です。
こうした書面上の取り決めは明確にしないと後々に会社とのトラブルの種になりますので注意しましょう。
口コミサイトの活用もおすすめ【補足】
内定をもらって、いよいよ新しい会社に入る前に、口コミサイトも確認しておきましょう。
もちろん、口コミサイトにはネガティブな内容が集まりやすい傾向にあるため、すべての内容を鵜呑みにするのは危険です。
しかし、転職先が本当にブラック企業の場合、他の同業他社に比べて圧倒的に悪い口コミが書かれているケースもあります。
ブラック企業を見分けるための一つのツールとして使ってみると良いでしょう。
ブラック企業に入ってしまった時の対処法は?
ブラック企業で働くことは精神的にも肉体的にも辛いものです。もし、自分が入った会社ブラック企業だった場合は、次の2つの手段をとることをオススメします。
- 出来るだけ早く退職する
- 未払いの残業代を請求する
それぞれ詳しくご説明します。
対処法①:出来るだけ早く退職する
ブラック企業で働くことのメリットはありません。苦しい思いをするだけです。早めに辞めることが得策です。
なかなか辞められない会社の場合、いくつかの手段があります。
一つは、次の転職先を見つけてしまうことです。
会社に在籍しながら転職活動を行い、他社の内定が出た時点で退職の意思を告げましょう。
次の転職先が決まっている状況であれば、ブラック企業の上司相手にも対等な気持ちで交渉に臨めるはずです。
しかし、ブラック企業で働いているとどうしても転職活動のための時間を十分に確保するのは難しいと思います。
そうした方は、企業側からオファーをもらえる転職サイトのスカウト機能を活用したり、面接調整等の手続きを代行してくれる転職エージェントなどのサービスを使ってみても良いと思いますよ。
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もし本当に今すぐ辞めたいという場合は、実家に帰らなくてはならないといった等やむをえない理由を考えて退職の意思を伝えましょう。
心身に支障が出てからでは遅いです。もう無理と思ったらその環境からいち早く逃れることが先決です。
未払いの残業代を請求する
サービス残業に苦しんでいる方は、弁護士に頼めば残業代を請求できる可能性があります。
残業代を請求するためには、タイムカードやパソコンのログイン時間といった、何らかの証拠に基づいて、自分自身の労働時間を立証する必要があります。
証拠が無さそうな場合には、働いている内から何かしらの手立てをとっておきましょう。具体的なアドバイスが欲しい方は弁護士に相談してみましょう。
おわりに
自分のキャリアチェンジのために大切な転職活動。転職した先がブラック企業だったということは避けたいですよね。
だからこそ、事前にブラック企業かどうかを見極めることが必要です。
今回ご紹介したブラック企業の見分け方を参考に、応募先企業を調べてみてください。
ホワイト企業から内定を勝ち取って、皆さんの転職が上手くいくことを応援しています。
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