転職活動では、応募先企業から希望年収を聞かれることがあります。
マイナビ転職が実施したアンケートによると、転職中に希望年収を聞かれたという求職者は、約6割いました。つまり、半数以上の会社から質問されるもの、として選考に臨む必要があるのです。
もちろん、年収は高ければ高いほど良いというのが本音だと思いますが、とはいっても企業が設定している基準と大きくかけ離れてしまうのは考えもの。
給与・年収に関する質問は、非常にセンシティブです。伝え方を間違えれば、それまでの履歴・面接での評価が一変し、最悪の場合、最終面接後にお見送りなんてことにもなりかねません。
今回は、転職活動で希望年収を聞かれた際の履歴書や面接での答え方のコツをご紹介します。
希望年収の回答はえてしてマイナスイメージを与えないように、と考えがちですが、企業が質問をしてくれるということは、「給与交渉の余地がある」ということです。
採用担当者の心証を損ねず、上手に答えることができれば、年収アップの可能性もおおいにありえます。ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
企業が希望年収を聞く理由
正しい答え方を知るには、まず企業がどういう意図で質問をしているか理解する必要があります。
一般的に希望年収は、履歴書、1次面接、最終面接、最終面接後の条件面談などで聞かれるケースが多いです。質問の意図は大きく以下の2つです。
①企業が提示している給与水準と合っているか
そもそも会社の採用予算は決まっていて、年収レンジも〇〇万円〜〇〇万円と定められています。
もちろん、会社が本当に求めている人材であれば、当初想定していた年収レンジを超えてでも取りに行きたいということはありませんが、そのようなケースは稀です。
どれだけ優秀な人材であったとしても、現実的に支給が難しければ、お見送りになる可能性が高いといえるでしょう。
焦って企業の想定年収とかけ離れた数字を口走らないように、予め求人票に記載されている年収レンジを確認しておくようにしましょう。
②客観的に市場価値を理解できているか
もう1つが、求職者が自身の市場価値をどのように捉えているのかを知るためです。
ある意味、希望年収は自己評価ともいえます。自分がその会社で発揮できる実力を正しく認識していれば、筋の通った主張になるはずです。
とある転職エージェントによると、求職者の中には、「自分の価値は部長ができることです」と役職名で答えてしまう人がいたというエピソードがありますが、これは自分を客観的に評価できていない証拠といえます。
自分のスキル・実力を正しく認識し、転職先業界・職種・年齢の平均年収を知っておくことが重要です。
ただし、未経験業界・未経験職種にチャレンジする場合、前職の何が活かせるのか、何が強みになるのかわからないという方もいると思います。
その場合、一人で悩むのではなく、転職エージェントなどの第三者から客観的な意見をもらうことをおすすめします。
転職で希望年収を伝える際のポイント
転職選考で希望年収を伝える際は、いくつかのポイントを抑えておく必要があります。
ポイントは以下の4つです。
- 待遇面ばかり気にしていると思われないようにする
- 金額だけではなく根拠・理由とセットで伝える
- 謙虚な姿勢で譲歩の意思もあることを示す
- 現年収の内訳を把握しておく
それぞれ詳しく解説していきます。
待遇面ばかり気にしていると思われないようにする
選考段階で給与・ボーナス・残業代などの待遇面ばかり気にしている、と思われてしまうのはNG。
給与に関して話す際は、少なくとも仕事に対する熱意や成果へのコミットを述べた後に伝えるようにしましょう。
金額だけではなく根拠・理由とセットで伝える
単に希望金額だけを伝えるのではなく、理由をセットで伝えましょう。
例えば、前職の〇〇の経験を御社の〇〇事業の成長に活かせると考えている、企業が求めているスキル・能力に合致している、など「なぜその金額なのか」を客観的に説明しましょう。
謙虚な姿勢で譲歩の意思もあることを示す
企業からすると、求職者が入社後にどれほどの価値を発揮してくれるのか未知数です。そんな中、この給与でないと入社できませんというスタンスでは、人事からするとイメージがよくありません。
希望はするが、貴社の規定に従いますという姿勢がスタンダードです。
例えば、
- 「実績・経験を評価してもらった上で、貴社の相場の額を頂ければと思います」
- 「〇〇円を希望していますが、未経験なのでこの額にこだわるわけではありません。入社後の実績に応じて、給与に反映して頂ければ幸いです。」
といった伝え方ができると良いでしょう
現年収の内訳を把握しておく
面接時には、希望年収と同時に現在の年収に関して聞かれることがあります。
その際に言葉に詰まってしまうと、現年収をごまかしているのかな?と不審がられてしまいます。
自ら積極的に開示する必要はありませんが、質問された時にスムーズに答えられるように現在の「基本給・残業代・インセンティブ・ボーナス」は事前に把握しておきましょう。
さらに詳しく給与交渉のコツが知りたい方は、以下の記事が参考になります。
転職活動の希望年収に対する答え方【例文付き】
希望年収は、履歴書で記載を求められるケースと面接で聞かれるケースの2パターンがあります。
それぞれ例文をご紹介しますので、ご参考になさってください。
履歴書の場合
履歴書の希望年収欄には、具体的な金額を提示しないようにしましょう。本当に希望相当の実力があったとしても書類選考の段階では、企業も評価のしようがありません。
逆に年収重視の転職とみられて、場合によってはマイナスイメージになってしまいます。
記入する際は、
- 貴社規定に従います
- 応相談
などに留めておきましょう。
面接の場合
面接時は、前述したポイントを抑えて謙虚な姿勢で伝えることを意識してください。
現在の年収は〇〇円で、希望年収は、〇〇円です。前職の〇〇の経験は貴社でも活かせるかと思っておりますが、とはいえ、最初は学ぶことが多くなると思うので、こちらの金額にこだわるわけではありません。
入社後の実績を評価して頂き、適宜給与に反映して頂ければ幸いです。
採用担当者にマイナスイメージを与えるNG例
最後に、採用担当者に悪印象を抱かせてしまう希望年収の回答例をご紹介します。
以下の事例に当てはまらないように注意してください。
身の丈に合っていない金額を提示する
自分のスキル・経験や業界の平均年収から大幅にズレた金額は避けましょう。
本当にそれだけの金額に匹敵するポテンシャルを持っていればいいですが、往々にして身の丈にあっていないと感じられることがほとんどです。
採用担当者からすると、「自分の実力を客観的に評価できていないな」と思われてしまいます。
未経験にも関わらず前職の給与を基準にしている
未経験業界・職種への転職の場合、前職の給与を持ち出し、同等かそれ以上でもらいたいといった主張は避けるのが無難です。
働く業界や職種が違えば、活かせる知識やスキルも異なりますので、前職の年収とは切り離して考えましょう。
相手の顔色を伺うような態度で話す
人が受け取る情報の内、言語情報が与える影響よりも非言語情報が与える影響の方が圧倒的に大きいというメラビアンの法則をご存知の方もいると思います。
同じ情報内容であっても、語り手の口調や表情、姿勢によって、相手が受け取る印象は異なります。
とくに年収について話している時におどおどしたり、顔色を伺ったりしていると「自信がないのかな?」「何か隠していることがあるのでは?」と思われてしまいます。
年収が気になるのは誰しも一緒ですので、変に恐縮せず、自分の主張をハッキリと伝えましょう。
年収アップを目指すなら転職エージェントの活用もおすすめ
希望年収を聞かれた際の回答のポイントはお分かりいただけましたでしょうか。
もしこれを読んでも自分で給与交渉できる自信がない、うまく希望年収を伝えられる自信がないという人は、転職エージェントの力を借りるのがおすすめです。
転職エージェント経由で応募すれば、企業との給与交渉は全て転職のプロであるエージェントが代行してくれます。
興味がある方はぜひ以下の記事を参考に自分に合った転職エージェントを探してみてください。