今回は、鉄道業界各社の平均年収・ランキングを発表します!
鉄道・電車というと、私の身近にあって馴染み深いものだと思いますが、実際に業界で働く場合の年収はどれくらいかご存知でしょうか?
今回は業界の平均年収ランキングトップ5社をご紹介します。また、鉄道業界への転職を考えている方へ向けて、近年の業界動向や今後の課題、売上・営業利益ランキングもご説明します。
転職において、各企業についてHP等から個々に情報を得ることも大切ですが、企業間の情報をまとめて比較することは業界研究にもつながるため必須の作業です。
また、JRと私鉄では年収や売上がどう違うのか、それぞれが抱えた課題やその解決法の違いにも目を向けつつ読んでいただければと思います。
鉄道業界の平均年収ランキング!TOP5を発表
ここでは鉄道業界の平均年収ランキングトップ5と各社の基本情報をご紹介していきます。トップ5は全て私鉄が独占する結果となっています。
第5位 東京急行電鉄株式会社 754万円
- 売上高 1兆1,173億円
- 営業利益 779億円
- 総営業距離 195km
- 旅客輸送人キロ 21,195
- 売上高に占める鉄軌道事業の割合 87%
- 従業員数 4,402名
- 本社 東京都渋谷区南平台町5-6
- 設立年 1922年
東京急行電鉄株式会社は、交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業を展開している東急グループの中核企業です。
東横線、目黒線、田園都市線、大井町線、池上線、東急多摩川線、世田谷線、こどもの国線などの路線を運営しています。
第4位 近鉄グループホールディングス 792万円
- 売上高 1兆2,227億円
- 営業利益 646億円
- 総営業距離 501km
- 旅客輸送人キロ 10,908
- 売上高に占める鉄軌道事業の割合 13%
- 従業員数 30,597名
- 本社 大阪市天王寺区上本町6丁目1番55号
- 設立年 1944年
近鉄グループホールディングスは、鉄道、バス・タクシー、物流、海運といった運輸事業に加え、不動産事業、ホテル・レジャー事業、美術館等の文化事業を展開している会社です。
子会社である近畿日本鉄道は、大阪・京都・奈良・三重・愛知の二府三県にまたがって路線を営業しており、その総営業キロ程は私鉄最長を誇っています。
第3位 西武ホールディングス 793万円
- 売上高 5,306億円
- 営業利益 642億円
- 総営業距離 176km
- 旅客輸送人キロ 8,773
- 売上高に占める鉄軌道事業の割合 19%
- 従業員数 311名
- 本社 埼玉県所沢市くすのき台一丁目11番地の1
- 設立年 2006年
西武ホールディングスは、都市交通・沿革事業、ホテル・レジャー事業、不動産事業、建設事業、ハワイ事業などを展開している会社です。
子会社である西武鉄道は、西武池袋線や西武新宿線をはじめとし東京都北西部から埼玉県南西部にかけて路線を有しています。
第2位 相鉄ホールディングス 887万円
- 売上高 2,605億円
- 営業利益 312億円
- 総営業距離 35km
- 旅客輸送人キロ 2,564
- 売上高に占める鉄軌道事業の割合 13%
- 従業員数 10,633名
- 本社 横浜市西区北幸2-9-14
- 設立年 1917年
相鉄ホールディングスは、運輸事業、流通事業、不動産事業、ホテル事業などを展開しています。
子会社である相模鉄道は、横浜〜海老名間(本線)24.6kmと二俣川〜湘南台(いずみ野線)11.3kmの計35.9kmの旅客線と、相模国分〜厚木間(厚木線)2.2kmの貨物船の合計38.1kmの相鉄線を営業しています。
第1位 阪急阪神ホールディングス 931万円
- 売上高 7,602億円
- 営業利益 1,052億円
- 総営業距離 192km
- 旅客輸送人キロ 11,396
- 売上高に占める鉄軌道事業の割合 18%
- 従業員数 22,152名
- 本社 大阪府大阪市北区芝田1-16-1
- 設立年 1907年
阪急阪神ホールディングスは、都市交通事業、不動産事業、エンタテインメント・コミュニケーション事業、旅行事業、国際輸送事業、ホテル事業などを展開しています。
大阪梅田と神戸、宝塚、京都を結ぶ阪急電鉄と、大阪と神戸を結ぶ阪神電気鉄道の2社を中心に、関西圏の路線を有しています。
鉄道業界の年収を業界平均と比較
業界全体の40歳モデル年収のと鉄道業界の平均年収を比べてみます。
- 40歳全体の平均年収・・・600万円
- 40歳時点での鉄道業界の平均年収・・・597万円
鉄道業界の平均年収は、全業界の平均値に近い結果となりました。
また、年収上位の鉄道会社は、平均値よりも100万円〜400万円程度高いことが分かります。
鉄道業界の平均年齢・勤続年数・残業時間・有給消化率
次に鉄道業界年収ランキング上位企業の平均年齢、平均勤続年数、残業時間、有給日数を見ていきましょう。
ここでは、年収だけを比較するのではなく、残業時間や平均年齢など複数の視点で企業分析をすることでより深い企業理解をすることができます。
平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 残業時間(月) | 有給休暇消化率 | |
阪神阪急HD | 931万円 | 42.3歳 | – | 27.1時間 | 31.5% |
相鉄HD | 887万円 | – | – | – | – |
西武HD | 793万円 | 39.1歳 | 14.6年 | 21.4時間 | 77.1% |
近鉄HD | 792万円 | 46.3歳 | 0.8年 | 20.7時間 | 44.0% |
東京急行電鉄 | 754万円 | 40.5歳 | 18.5年 | 33.1時間 | 61.1% |
上記のどの指標を重視するかは人それぞれ違うでしょう。ここでは分析のポイントをいくつか紹介します。
1.平均年齢は何歳か・・・年収が多少低くても平均年齢が低ければ生涯給与は高い可能性がある。
2.有休消化率はどのくらいか・・・有休取得可能日数だけでなく実際の消化日数を比べることが大切。取得率が低ければ有休申請しづらい社風の可能性も。
3.残業時間は何時間か・・・いくら平均年収が高かったとしても残業時間が多く、体を壊してしまっては元も子もない。
鉄道業界の市場規模と今後の課題
次は、鉄道業界全体の市場の動きを確認してみましょう。
市場規模
鉄道業界の市場規模は、JRが4兆4,333億円、私鉄が7兆9,676億円と巨大なマーケットを誇ります。
JRと私鉄で市場規模はこれだけ変わってくるのは驚きですね。
今後は、国内の総人口減少が進み、鉄道の輸送人員は減少することが予想されます。
鉄道各社はその対策として、「観光列車の導入」「新幹線の開業」「高速鉄道の輸出」などなどに着手し、次の一手に乗り出しています。
転職希望者が押さえておくべきトピックス
観光列車
JR九州の「ななつ星in九州」が先駆けとなり、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」やJR東日本の「トランスイート四季島」をはじめとした豪華観光列車が続々と登場しています。
また、私鉄でも、引退したシニア層のニーズを上手くつかんだ列車が開発されています。
新幹線
私鉄は新幹線を営業していませんが、JRでは新幹線収入が全運輸収入に占める割合は大きく、新幹線を主体としているJR東海では80%以上を、JR西日本では半分以上を占めている状態です。
JR東海では、2027年新たにリニア中央新幹線・品川-名古屋間の開業を予定しています。
非鉄道事業
実は、私鉄各社の多くは非鉄道事業が売上高の大部分を占めています。
沿線の宅地開発や不動産、ターミナル駅の百貨店や沿線のスーパーマーケットなどの流通事業、ホテル運営など、経営の多角化をさらに進めています。
鉄道事業が主体のJRも鉄道事業の方の成長の頭打ちを見越し、JR西日本やJR九州を中心として、非鉄道事業の拡充に力を入れ始めています。
今後の課題
地方の人口減少
前述のとおり、国内全体の人口減少の問題に対して対策を講じている鉄道業界ですが、地方の人口減少は直近の問題としてさらに深刻になります。
首都圏においては人口増加が続いていることから、JR東日本は成長を遂げているものの、JR北海道やJR四国は、沿線人口の減少により輸送人員を十分に確保できない状態に陥っています。その上、非鉄道事業の成長機会も乏しいため、早急な対策を迫られています。
道・県や沿線自治体と連携して鉄道の負担を肩代わりしてもらう、あるいは鉄道からバスへの転換を進めていくなどの改革をする等の必要がでてくると思われます。
鉄道業界の売上高・営業利益ランキング
売上高ランキング
鉄道業界の売上高ランキングをご紹介します。
- 東日本旅客鉄道(JR東日本) 2兆9,501億円
- 東海旅客鉄道(JR東海) 1兆8,220億円
- 西日本旅客鉄道(JR西日本) 1兆5,004億円
- 近鉄ホールディングス 1兆2,227億円
- 東京急行電鉄 1兆1,386億円
売上高ランキング1位にはJR東日本がきています。
トップ3をJRが占めており、JR各社の企業規模の大きさが伺えます。私鉄首位には近鉄ホールディングスがきています。
営業利益ランキング
鉄道業界の営業利益ランキングをご紹介します。
- 東海旅客鉄道(JR東海) 6,620億円
- 東日本旅客鉄道(JR東日本) 4,812億円
- 西日本旅客鉄道(JR西日本) 1,913億円
- 阪急阪神ホールディングス 1,052億円
- 東京メトロ 971億円
営業利益ランキング1位にはJR東海がきています。こちらのランキングでもトップ3はJRが占めていて、私鉄よりも圧倒的に大きな営業利益をあげていることが分かります。
私鉄首位には阪急阪神ホールディングスがランクインしました。
売上、営業利益ともにトップ3を独占するJRですが、前述の平均年収ランキングには全くランクインしていませんでした。これはJRはもともと国営企業であり従業員数が桁違いに多いために、年収が低めになってしまうからだと思われます。
鉄道業界の今後の動向を見逃さずにチェックしよう
鉄道業界の平均年収ランキングに加え、各企業の紹介や業界動向、売上高・営業利益ランキング等をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
売上高や営業利益ではJRが強い一方で、平均年収ランキングでは上位を私鉄が独占していることや、鉄道業界の動向と抱えている課題などが分かっていただけたはずです。
鉄道業界に転職を考えている方は、各企業のHPなどからより詳細かつ最新の情報をチェックしてみてください。