華やかなイメージがある広告業界。
そんな広告業界で平均年収が高い企業はどこでしょうか。今回は高年収企業をランキング形式でお伝えします。
また、昨今の広告業界の働き方改革や業界動向を取り巻く状況についてもまとめています。広告業界へ転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
広告業界の平均年収ランキングを発表!
第4位 サイバーエージェント 779万円
- 設立 1998年
- 売上高 3106億円
- 営業利益 367億円
- 従業員数 連結2260名
- 本社所在地 東京都渋谷区道玄坂1-12-1
もともとネット広告を専業にしていたサイバーエージェントですが、昨今はゲーム事業や、テレビ朝日と組んだ無料動画配信サービズ「Abema TV」も展開しています。
社員の平均年齢も低く、若手を積極的に子会社社長や役員に抜擢することでも有名です。
第3位 アサツーディ・ケイ 827万円
- 設立 1956年
- 売上高 3526億円
- 営業利益 55億円
- 従業員数 連結1,871名
- 本社所在地 東京都港区虎ノ門1-23-1虎ノ門ヒルズ森タワー
売上高国内4位の広告代理店です。「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」といったアニメ関連の広告に強みを持っています。
17年末に英WPP(英大手)との提携関係を解消し、18年3月には上場廃止となりました。
現在は、数年で再上場するために、ベイン・キャピタル傘下で新たなビジネスモデルを構築中です。
第2位 博報堂DYホールディングス 1088万円
- 設立 1924年
- 売上高 1兆3350億円
- 経常利益 543億円
- 従業員数 連結18,837名
- 本社所在地 東京都港区赤坂5-3-1赤坂Bizタワー
売上高で国内2位の大手広告代理店です。特に自動車産業に強いです。
近年は、制作業務の内製化進め、利益率の引き上げを図ってきました。
デジタル人材の採用や働き方改革、データ購入などの投資も進めています。
第1位 電通 1248万円
- 設立 1901年
- 売上高 5兆1873億円
- 営業利益 1373億円
- 従業員数 連結60,064名
- 本社所在地 東京都港区東新橋1-8-1
国内最大の広告会社です。世界大手を目指し海外買収を本格化させています。直近では、英広告会社イージスグループを買収しました。
現在、売上総利益ベースで世界5位に位置します。
社員の過労死事件をきっかけに、18年までは成長よりも社内の業務効率化といった制度改革を優先する方針です。
広告業界の平均年収は?
広告業界大手3社の平均年収:951万円
平均年齢:38.5歳(大手4社の平均)
日本では、30代後半の平均給与は442万円なので、広告業界大手企業の平均給与は総じて高いといえるでしょう。
なお、広告業界全体の平均給与は、「529万円」となっています。業界全体で平均よりも高い給与が受け取れることがわかります。
広告業界の平均年齢、平均勤続年数は?【比較表】
ここまでは、年収をメインにお話してきました。しかし、転職の企業選びは年収だけが指標ではありません。
以下の表を参考に自分が目指す働き方ができる企業を選びましょう。
これといった正解はありませんが、一つの指標に囚われず複合的な視点で企業研究を行うことが大切です。
平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | |
電通 | 1,248万円 | 40.3歳 | 14.1年 |
博報堂DYホールディングス | 1088万円 | 40.2歳 | 14.7年 |
アサツーディ・ケイ | 827万円 | 41.7歳 | 13.4年 |
サイバーエージェント | 779万円 | 32.0歳 | 4.0年 |
【分析ポイントをご紹介】
- 平均年齢は?→同じ年収でも平均年齢が低い会社の方が生涯給与は高い
- 勤続年数は極端に低くないか?→早期退職者が多い会社ではないか?
広告業界の業界動向・トピックス
国内の媒体別広告費の推移
紙媒体といった既存メディアへの広告出稿は年々減少しています。
一方、ネット広告は毎年2桁増で急速な伸びを続けています。国内広告市場全体としては、緩やかな成長が続いています。
世界では、すでにネット広告費がテレビ広告費を抜きました。日本でも20年ごろにネット広告費がテレビ広告費を抜きそうです。
- 地上波テレビが広告費トップ
- 紙媒体の広告費は減少中
- ネット広告費が右肩上がり
広告業界で進んだ働き方改革の成果は?
元々「広告主のためなら、土日も徹夜もいとわずに何でもやる」というのが広告代理店の姿勢でした。
しかし、17年に社員の過労死事件が起きた電通では、働き方改革が進んでいます。
具体的には、かつての「モーレツ主義」で国内営業を展開することをやめ、70億円の費用をかけて、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、業務効率化を図っています。
さらに、システム導入にとどまらず、17年も18年も人員の増強を200~300人ずつ行いました。
その成果は、以下の表のとおりです。
2016年 | 2017年 | |
一人当たり年間総労働時間 | 2166時間 | 2031時間 |
有給取得率 | 56% | 64% |
1年間で1人あたり135時間の労働時間を短縮し、有給取得率は8%アップしました。改革を始めて1年の成果としては、十分大きいと言えるでしょう。
さらに電通の山本社長は、19年までに、社員一人当たりの総労働時間を1800時間にする目標を掲げています。この数字は「社員の残業時間をほぼゼロにする」ことを意味しており、業界内でも注目されています。
電通の改革によって、業界全体の意識も変化しつつあり、広告業界全体に働き方改革が進みそうです。
広告業界のデジタル化とは?
広告業界でもデジタル化の波がきています。ここで言う、「広告業界のデジタル化」とは以下の2点を指します。
- 広告メディアのデジタル化
- 広告コミュニケーションのデジタル化
- 広告メディアのデジタル化
業界トレンドでもお伝えしましたが、日本の広告費は地上波テレビがトップです。しかしテレビ広告費は伸び悩む一方、ネット媒体の広告費は右肩上がりです。
広告メディアがテレビや新聞・紙媒体からネットに移行しつつあります。
- 広告コミュニケーションのデジタル化
従来型の広告は、同じ時間・同じ場所・すべての人に同じものを見せるワンメッセージが当たり前でした。
しかし、現在はお客様一人一人に併せて広告をパーソナライズできる時代になっています。
具体的には、従来のテレビ広告は、消費者にとって必要のない商品情報に「付き合わされるもの」であったため、だれが見ても受け入れられるものが優れているとされていました。
一方で、web広告はターゲティングが可能で、その精度が高くなればなるほど、エンターテイメント性よりもターゲットが必要とする情報をピンポイントに紹介することで消費者に刺さる広告を打てるようになりました。
広告業界の本質である「生活者の情報の受け取り方を判断し、ふさわしい情報を伝え、広告主をサポートする」ことは変わりません。
しかし、広告の手法も媒体も変化が鮮明なため、今後は変化に対応する柔軟さが要求されそうです。
広告業界の売上高、経常利益ランキング!【おまけ】
売上高ランキングTOP3
第1位 電通 5兆1837億円
第2位 博報堂 1兆3350億円
第3位 アサツーディ・ケイ 3526億円
電通の強さが際立っています。電通は、マス4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)で他を圧倒しています。
経常利益ランキングTOP3
第1位 電通 1329億円
第2位 サイバーエージェント 353億円
第3位 博報堂 297億円
経常利益では博報堂を抑えて、サイバーエージェントが2位に入りました。
サイバーエージェントが他社に比べて、利益率が高い理由は以下の2点です。
- 業務が比較的システム化されていること
- 一時期、案件規模の大きいところを手厚くフォローし、クライアント数を絞ったため、1案件あたりの規模が大きいこと
おわりに
広告業界は、激務のイメージが強いですが、近年は働き方が変化しているようです。
また、従来の紙媒体の広告費の減少に歯止めがかからず、一方でネット広告費の伸びは顕著です。
ただし、ネット広告も万能ではありません。17年には、アドフラウドといった広告詐欺の問題も注目されました。
信頼できるネット広告を業界全体で作り上げていく必要がありそうです。