「小1の壁」という言葉をご存知ですか。共働き世帯の増加やワーキングマザーの増加によって、近年社会問題になっている言葉です。
子どもが小学校1年生に入ったタイミングで、仕事と育児の両立が難しくなることを壁に見立てて「小1の壁」と呼ばれています。
小1の壁を乗り越えるために、いろいろと対策を練っているワーママも多いことでしょう。
この記事ではまず「小1の壁」という言葉を初めて聞いた方向けに、小1の壁の定義をご説明します。
続いて、ワーママが小1の壁を感じた瞬間とワーママが小1の壁を乗り越えるための対策をご説明します。
この記事でわかること
- 小1の壁の定義がわかる!
- ワーママが直面する小1の壁の具体例が8つわかる!
- 小1の壁を乗り越えるための8つの対策がわかる!
共働き世帯が感じる「小1の壁」って何?
小1の壁とは、子どもが小学校へ進学したタイミングで保育園時代よりも、仕事と子育ての両立をしづらくなることをさす造語です。
親の仕事、子どもの成長度合い、環境の変化といった要因で仕事の継続が難しくなり、退職したり働き方を変えたりするママも多くいます。
小1の壁は共働き家庭の悩みで社会問題化しているため、2014年には政府も対策に乗り出しました。
次からは、先輩ママが小1の壁を感じた瞬間をみていきましょう。
ワーママが小1の壁を感じる8つの瞬間
この章では、まずワーママが小一の壁を感じる瞬間を8つご紹介します。
①学童保育の時間は保育園より短い
これが、最大の小1の壁です。学童の保育時間は17~18時までのところが多く、延長保育を申請すれば19時頃まで預かってもらえた保育園時代よりも、子どもの帰宅時間が早くなります。
また、共働き世帯の増加により学童保育の利用者は2015年に100万人を超え、学童保育の数が追い付かず、学童保育でも申し込んだが入れない待機児童が発生しています。
学童保育の待機児童は「もう一つの待機児童問題」とも呼ばれています。
②時短勤務が終わる会社が多い
小1の壁①のように、子どもの帰宅時間は早くなるにもかかわらず、会社の時短勤務制度は「未就学児まで」となっている場合が多いです。
そもそも法律で「短時間勤務」が義務になっているのは3歳までなので、小学校進学後に時短を認めてくれる企業が少ないのは仕方ないことかもしれません。
親の側にも子供が小学生になるにあたり変化があり、小1の壁となって両立が難しくなります。
また、職場によっては「小1の壁」を知らない上司も多く「小学校に進学した=育児が楽になった」と思われてしまう方もいるようです。
③親がフォローする物事が増える
小学校に進学すると子どもが家でこなすタスクが増えます。毎日の宿題のフォローや、忘れ物をせずに学校に行くためのフォローが必要です。
親と子供のコミュニケーションの取り方が小学校進学前と大きく変わるため、精神的な負担に感じる方もいらっしゃるようです。
④行事・PTAで平日に仕事を休むことが増える
保育園時代の保護者参加の集まりは休日に実施されることが多いですが、小学校のPTAや保護者会は基本平日に開催されます。
PTA以外にも担任との面談、授業参観といった学校行事により、平日に会社を休んで学校に足を運ぶ回数が増加します。
学校に行く時間は1時間でも、「学校に1時間行くために有給休暇が1日なくなってしまう」という事態になり、ワーキングマザーを苦しめる一つの要因となっているようです。
⑤夏休み・春休みはお弁当が必要になる
共働き家庭で小学校が夏休み・春休みを迎えたときは、学童保育に行くお子さんが多いです。
しかし、休暇期間の学童保育に給食はなく、親が弁当を用意する必要があります。
また「1か月以上にわたる長い夏休みをずっと学童保育に預けっぱなしでいいのか」という悩みを持つ方も多いです。
⑥朝の登校や下校が子ども一人になる
保育園のころまでは、親の出勤時間に合わせて子どもを保育園に連れていき、帰りはお迎えをしていました。
しかし、小学校になると親の通勤時間に比べて子どもの通学時間が遅いこともあり、子どもの通学時間より早く親が家を出る場合もあります。
5歳、6歳の子供が1人で登校・下校するのを不安に感じる方が多いです。
⑦子供の様子が見えにくくなる
保育園のころは、送迎時に毎日先生に会って子どもの様子を教えてもらえました。しかし、小学校に入ると連絡事項は減り、子どもの日々の様子は見えにくくなります。
いつでも保育士さんに育児の困りごとを相談できていたころに比べると、小学校は担任の先生とのコミュニケーション機会が減ります。子どもの相談をする機会が圧倒的に少なく、育児に孤独を感じる場合もあるようです。
また小学校に入ると、子どもにも「子供たちだけの世界」が増え、子ども同士のぶつかり合いやケンカも増加します。子ども同士のトラブルがあって学校に呼ばれたり、心配事が続くことも「小1の壁」を感じることもあります。
⑧学級閉鎖などで急に休みになることがある
インフルエンザの流行といった理由で学級閉鎖になると、自分の子供が元気でも学童に入れてもらえない場合が多いです。
子どもが家にいるため、仕事を休んで一日中子どもの面倒を見る必要が生じます。
急なお休みがあることもあり、保育園時代に比べて仕事を休む日が増える親がほとんどです。
小1の壁の乗り越え方は?先輩ママから学ぶ対策8選
小1の壁に直面しながらも、仕事と育児の両立に成功しているワーママはどのような対策をして小1の壁を乗り越えたのでしょうか。
この章では、小1の壁に対するママの8つの対策をまとめてみました。
対策①学童保育の預かり時間を事前に確認する
まずは学童保育の預かり時間を調べて、子供の迎えが間に合うかどうかを確認しましょう。
学校の学童のお迎えが間に合わない場合は、民間の学童保育を活用することも視野に入れてください。民間だと20時近くまで預かってもらえる学童保育があります。
対策②子どもに合わせて就業時間を見直す
朝の登校をフォローするためには、フレックス勤務や在宅勤務・リモートワークを使って、子どもの登校をフォローした後に、9時~10時ころから仕事を始められるような体制を整えると良いでしょう。
また母と父で勤務時間を変え、どちらかが登校を、もう一方が帰宅後をフォローできる体制ができるといいです。
会社に有休を1時間単位で取得できる制度があれば、積極的に活用していきましょう。
対策③適度に子どもの自立を促す
小学校に入りたてのお子さんの「宿題のチェック」「明日の用意」などは、フォローが必要でしょう。
しかしいつまでも親が準備したり、忘れ物の確認をしたりすると、子どもは「ママが見てくれるから大丈夫」と思い、自分で責任をもって準備をしなくなりがちです。
子ども自身が自分で学校の準備ができるように、フォローを控えていく姿勢も必要になります。
対策④PTAはできるところで協力する
PTAでメインの役員になってしまうと、基本的に平日に行われるPTA活動のために、毎月1回は会社を休まなければならず大変です。
そこでオススメは、ピンポイントで「サポート役員」をやることです。できる範囲で協力する姿勢を示し、メインの役員が免除してもらえるようにしましょう。
対策⑤保育園時代から情報収集をする
保育園の時からの早めの情報収集も大切です。
まず保育園の5歳児クラスの春か夏には、学童保育のリサーチをしておきましょう。特に民営の施設には様々な種類があって運営方針や費用は、それぞれの学童で大きく違います。
第1希望の学童に入れない可能性もあるため、複数の学童保育をリストアップするのがポイントです。
秋には、子どもと一緒に学童保育の見学に行きましょう。学童保育だけでは不十分だと感じた場合は、ファミリーサポートとの併用の検討を始めてください。
また保育園時代と同じように働けなくなる場合は、早めに職場に相談することが大切です。
対策⑥登下校の練習をする
小1の壁対策⑤で親の準備はお伝えしました。3月には子どもも小学校進学の準備が必要です。
お子さんと一緒に、登校時間と同じ時間に登校のシミュレーションをしてください。
「横断歩道で左右を確認する」「不審な人に声をかけられてもついていかない」といった、安全に一人で歩くための心構えを一緒に練習するのです。
小学校進学後は、もう赤ちゃんではありません。4月に子どもが1人で学校に行けるようになっていると、親としてはずいぶん楽になります。
対策⑦転職をする
育児と仕事を両立させるために、今の職場を退職して転職をするというのも選択肢の一つになります。
実際にスリール株式会社が行った調査によると、「小1の壁が原因で転職を考えた人」は35.4%、「小1の壁が原因で、転職など働き方を変更した人」は24.4%になります。
小1の壁対策として四人に一人は、残業や転勤がなく、育休の制度が整っている会社への転職を行っているのです。
一度子育てを重視した働き方をして、子育てが落ち着いてから、キャリアアップのための転職をしても十分だという考え方もあります。
対策⑧引っ越す
子育てをしながら共働きを続けるためには、引っ越して家と職場と学校を近くする対策と有効です。
引っ越しには初期投資がかかってしまいますが、小1の壁では時間の確保ができなくて困る親が多いです。一度「引っ越し」という選択肢を考慮しても良いかもしれません。
小1の壁に備えて早めに準備をしておきましょう
共働き世帯の増加によって、小1の壁は社会問題になっています。ワーキングマザーの大変さを理解してくれる企業側も増え、徐々に制度が整いつつあります。
とはいえ、小1の壁を乗り越えるためには会社の制度以外にも対策が必要になります。
この記事の小1の壁対策のうち、1つでもお役に立てれば幸いです。皆さんの育児と仕事の両立がうまくいくことを応援しています。