転職が決まったら、同時並行で退職交渉を進めていく必要があります。
今の会社のメンバーと退職後も良好な関係を築けるようにぜひ円満退職をしたいところですね。
そこで、今回は円満退職のための退職スケジュールの立て方やトラブルが起きた際の対処方法をご紹介します。
転職先の内定が決まっても退職交渉が難航して入社が先送りになってしまう人も少なくありません。
同じ轍を踏まないように、余裕をもった退職準備を行なっていきましょう。
円満退職のための退職交渉スケジュール
一般的な退職までの流れをまとめます。
組織や業務の状況を踏まえながら、引き継ぎにどれ位の期間が必要なのかを考えて、早めのスケジュール調整をしておきましょう。
上司へ報告 | 退職日の調整 | 退職願の提出 | 引き継ぎ | 退職 | |
日程 | 2ヶ月前 | 1ヶ月半前 | 1ヶ月前 | 20日前 | 当日 |
①:退職意思を直属の上司へ報告
退職をする時には、まず直属の上司へ退職の意思を伝えましょう。
法律上は、退職2週間前までに退職の意思表示をすれば退職が認められています。
ただし、通常は企業の就業規則にのっとり、1ヶ月程度前に意思表示をするのが慣例です。
退職願をいきなり提出するのはトラブルの元ですので、転職を決めたら早めに上司へ報告をしておきましょう。
また、上司への報告は、デスク近くや立ち話はNGです。
予め上司のスケジュールを確認して、1対1で話せる場所を事前に抑えておきましょう。
直接声をかけるのが難しい場合は、事前にメール等で「個別でご相談させて頂きたいことがあるのですが、〇日の〇時から30分程度お時間頂けませんでしょうか。」と送って日程調整をしましょう。
【関連記事】退職の切り出し方!上司への伝え方マナーまとめ
②:退職日の調整
引き継ぎの期間やプロジェクト完了時期などを考慮にいれ、上司と退職日を調整します。ちなみに、退職日は、会社在籍最終日。最終出勤日は、最後の出勤日となります。
もし退職前に有給休暇が残っていれば、基本的に退職前に全て取得することができます。
有給を使用する権利はありますが、あまりに一方的に要望を押し通してしまうと円満退職が困難になってしまいます。
企業の繁忙期などは避けながら、上司と相談して退職日と最終出勤日を決めましょう。
自己都合退職ではなく、会社都合の場合も同様に有給消化が可能です。
③:退職願の提出
その後、正式に企業に退職意思を伝える「退職願」を提出します。
退職願は、企業に対して退職を願い出るための書類で、会社側も受理するかを決めることが出来ます。
一方、退職届は、自分の退職を通達する一方的な書類です。急な通告は会社と自分の間でトラブルを巻き起こす種になってしまいます。
円満退職を目指すのであれば、早い段階で「退職願」を企業へ提出しましょう。
④:業務の引き継ぎ・取引先の挨拶周り
雑な引き継ぎは、企業や後任担当に迷惑をかけてしまいます。
それだけではなく、退職後も前職から業務に関する質問や相談がかかってくることになり、自分の負担になります。
自分が辞めても業務が滞らないようにスムーズな引き継ぎを心掛けてください。
引き継ぎで後任に伝えるべきこと
- 業務の目的・社内での位置付け
- 業務の一連の流れ。優先順位、必要な事前準備。
- 不測の事態が起きた時の対処方法
- 過去のトラブル事例と対応方法
- 顧客、取引先リスト(人物像やコミュニケーションのコツなどもまとめると良い)
- 業務に使用するツール、書類の共有
- 業務を行う上で参考にしている書籍・サイト
- 退職後の自分の連絡先
また、取引先への挨拶周りは、後任と一緒に行くようにしましょう。
重要なのは、取引先の担当者と後任が良い関係を築けるようにサポートしてあげること。
自分の話ばかりするのではなく、「誠実な面が社内でも評価されている」「スピーディな対応で社内外から一目置かれている」など後任の魅力が伝わる口添えをしてあげましょう。
⑤:退職
退職日は、自分のデスク清掃や備品の返却を忘れずに行います。
以下に、退職時に企業へ返却するべきもの、また企業から受け取るものをまとめます。
退職日に返却するもの
- 健康保険被保険証
- セキュリティカード、身分証明書
- 名刺
- 鍵
- 社員証
- 貸与されているPCや事務用品
- 経費で購入した物品
- 資料やファイル、マニュアルなど
- 通勤定期
企業から受け取るもの
- 雇用保険被保険者証
雇用保険の失業給付受給手続きに必要。再就職する場合は、転職先へ提出。
- 離職票
雇用保険の失業給付受給手続きに必要。転職先が決まっていれば不要。
- 源泉徴収票
所得税の確定申告に必要。年内の再就職が決まっていれば不要。
- 年金手帳
転職先でも同様のものを使用。
退職交渉でよくあるトラブルと解決方法
ここでは、退職交渉でよくあるトラブルとその対処方法をご紹介します。
未然に問題を防げるようにそれぞれのパターンを事前に覚えておくと良いでしょう。
上司に引き止められたときの対処法【ケース別】
ケース①:なんとか考え直してくれと懇願してくる上司
あなたが企業に欠かせない優秀な人材だった場合や、採用難で人材補充が難しい場合などは「どうにか考え直してくれないか?」など情に訴えてくる上司と出会うかもしれません。
すがってくる上司には冷淡なようですが、情を断ち切ってあくまで退職意思が固いことを伝えましょう。
ケース②:改善提案してくる上司
現在の職場に不満がある場合、部署異動や給料アップなどの改善提案をしてくる上司もいるでしょう。
こうして提案に心が揺れ動く人も少なくありません。
しかし、冷静に考えれば退職という切り札を出してようやく改善の申し出があったということです。
提案を鵜呑みにして舞い上がるのではなく、自分の意思に従って最終判断を決めましょう。
退職願を受理してくれない時の4つの対処法
上記のような上司がいた場合、自分の気持ちが変わらなければ断固たる転職意思を伝えるべきです。
ですが、上司が退職願いを受け取ってくれない場合をどうしたらいいでしょうか。対応方法は以下の通りです。
対処法①:退職希望日と提出日を明記した退職願をコピーしておく
上司が退職願を企業や人事に上げてくれないケースがあります。
後から、「退職願をいつ出したのか」など会社とトラブルに発展しないように、退職願はコピーをしておきましょう。
その際は、希望退職日と提出日を明記しておくことを忘れずに。
対処法②:退職願の進捗確認はメールでやりとりしておく
上司に提出した退職願が正式に処理されているか、確認をとりましょう。
上司任せにするのではなく、自分から主体的に退職手続きを進めていくことが重要です。
口頭で確認だけではなく、メールも送付して証拠履歴を残しておきましょう。
対処法③:上司が取り次いでくれなければ、更に上の上司に相談
それでも上司が取り次いでくれなければ、更に上の上司へ直接相談に行きましょう。
対処法④:最終手段は、退職届を提出する
法律では、退職届の提出から2週間後に会社を辞めることができます。
ここまでの事態に発展しないように、退職時のやりとりは穏便に行うことが大切です。
まとめ
上司との退職交渉のタイミングで、退職手続きが難航してしまうケースが多いようです。
退職を切り出したが、引き止められた。
上司に慰留を懇願され、結局会社に残ることにした、という方も少なくありません。
もちろん本心でまたこの会社で頑張ろう!と思えているのであれば、転職活動を取りやめるという選択肢も良いでしょう。
しかし、単に情に流されてしまっているのであれば、再度自分の転職動機や目的を振り返ってみる必要があります。
退職後も継続的に付き合えるような良好な関係を築けるように、早めの退職準備をしてくださいね。