終わらない残業、パワハラ、罵声、などブラック企業で働き続けるのは辛いものです。
しかし、今の会社がブラックだとわかっていながらも、「上司に切り出すのが怖い・・」「会社とトラブルになるのではないだろうか」と悩み、結局会社を辞められていないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「ブラック企業の辞め方マニュアル」をご紹介します。
もしあなたが心身共に疲弊仕切っている状態であれば、ぜひこちらの内容を参考にして、会社を辞める準備をしてください。
ブラック企業からの転職を考えるのであれば、体が元気なうちに少しずつ準備を始めることが大切です。
この記事でわかること
- ブラック企業の特徴
- ブラック企業の辞め方(5ステップで流れを紹介)
- 上司に退職を引き留められた時の対処法
- ブラック企業を辞める前に知っておきたいポイント
そもそもブラック企業ってどんな会社のこと?
ブラック企業に勤めている方の中には、ご自身がブラック企業に勤めているのかどうかが分からない方も一定数います。
新卒からブラック企業に入社した人は特に、会社に洗脳されている可能性もあります。
以下にあげるブラック企業の特徴に、ご自身の会社が当てはまっていれば「辞めて正解の会社」だと考えられます。
ここでは「辞めて正解の会社」を判断するために、ブラック企業の特徴を5個お伝えします。
- 長時間労働が常態化している
- 休日が少ない・有給がとれない
- 優秀な人が次々に会社を退職していく
- パワハラ・セクハラ上司が多い
- 精神論がまかり通る
特徴①長時間労働が常態化している
まず、ブラック企業の特徴として「長時間労働」が挙げられます。ブラック企業だと「今月の残業時間100時間突破しました」という会話を耳にすることもあるかもしれません。
国が定めている過労死ラインは「月80時間以上の残業」です。過労死ラインを越えた労働が続くようであれば、ブラック企業であると判断して良いでしょう。
また、ブラック企業の特徴として給与のシステムがあいまいで「残業時間が長いのに給料が少ない」という会社もあります。
「労働時間に見合った給料をもらえていない」と思えば、辞めて正解の会社です。
特徴②休日が少ない・有給がとれない
カレンダー通りに休日がとれていれば、1年間で120日前後の休日があることになります。
したがって「年間100日以下の休日」の会社は、休日が少ないと考えて良いでしょう。
また休日が取れていたとしても「土日に強制参加の会社イベントが多い」といった理由で、年間休日が80日以下の場合は、ブラック企業と十分認定できます。
また、ブラック企業は「有給が取れない」場合もあります。しかし有給休暇を取得できないのは、違法です。
労働基準法第39条では、企業側に「雇用開始から6か月以上勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して有給休暇を与える義務」を定めています。
もちろん繁忙期に有給休暇の取得を申し出るのは避けるべきですが、働き方改革が行われている中、普段から有給休暇を取れない会社はブラック度が高いでしょう。
特徴③優秀な人が次々に会社を退職していく
これもブラック企業あるあるです。
劣悪な労働環境で働いていると、会社を離れていく従業員は多いです。
ご自身の会社は、尊敬していた先輩や優しかった上司が次々と退職を決断していませんか。
自分が目指していた上司が会社を辞めたタイミングで、一度ご自身の会社がブラック企業かどうかを疑い、今後のキャリアプランを見直してみても良いかもしれません。
特徴④パワハラ・セクハラ上司が多い
最近は、パワハラ・セクハラに厳しい世の中になりました。
上司にパワハラ・セクハラが多いと感じたら、我慢し続けるのは辛いことでしょう。我慢の限界に達する前に、退職や転職を考えてみる必要があります。
厚労省がまとめた、パワハラの種類6つ
- 身体的攻撃(暴行・障害)
- 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
- 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
- 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
- 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
厚労省がまとめた、セクハラの種類2つ
- 対価型セクシャルハラスメント
労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否・抵抗)により、その労働者が客観的に見て不利益な配置転換(解雇・降格・減給など)といった不利益を受けること。 - 環境型セクシャルハラスメント
労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じること。
特徴⑤精神論がまかり通る
社長や上司の無理難題に対して「根性」「情熱」「やる気」といった精神論を重視する会社もブラック企業だと考えられます。
働くうえでモチベーションは大切ですが、あまりにも精神論を強く言う会社はブラック企業だと考えて良いでしょう。
精神論重視がつらいと感じれば、現職は辞めて正解の会社です。
ブラック企業の辞め方5ステップ
現職の会社がブラック企業だと思った場合、以下の5ステップで退職を進めてください。
①現職への不満(退職理由)を考える
まずご自身で「現職の会社の何が嫌なのか」を整理してみてください。
「なぜ辞めようと思っているのか」を整理することは、転職活動でも有効です。
「ブラック企業だからすぐ辞めたい」という気持ちは間違ってはいません。しかし、一度冷静になって退職理由を紙に書き出しておくことが大切です。
退職を考えたらノートに書いてみると良いこと4つ
- 現職で自分の力で改善できる点はないか
- 何が嫌なのか(給料・労働環境・人間関係など)
- 自分は何がしたいのか
- 転職先の候補を数社リストアップ
②退職後の予定を立てる
会社を辞めて次の会社を探す際は「退職してから転職活動をする」場合と「会社に在籍しながら転職活動をする」場合の2通りがあります。
「現在の貯金額」や「今のブラック企業に在籍しながら転職活動をする余裕があるか」を基準に考えてみてください。
転職活動と退職時期の比較は以下の記事に詳しくまとめてあります。
リンク
③直属の上司に相談する
退職の意思が固まったら、直属の上司に相談です。
直属の上司に言う前に、同僚に言うのはNGです。信頼していた同僚でも上司に告げ口をする可能性があります。
また直属の上司との関係性が良くないからと言って、直属の上司のさらに上の上司にいきなり話するのはマナー違反です。
直属の上司に対して「個人的な相談があってお時間をいただきたい」と言って、会議室などほかの社員がいない場所で相談しましょう。「熟慮した末の決断です」ときっぱりと言い、ご自身の退職の意思が固いことを上司に伝えることが大切です。
それでも上司が退職を引き留めてくる場合の対処法は、次の章に詳しくまとめました。
④退職願・退職届を書く
続いて、会社の就業規則に従って退職願や退職届を書きましょう。
法律上、労働者側は退職日の2週間前であれば、雇用者に対して退職届を提出して契約解除を申し出ることが可能です。
しかし、会社の就業規則には退職日の1~2か月前までに退職願を書いて、退職の意思を伝える必要があると定められている場合もあります。
退職届と退職願の違いについては以下で詳しくまとめてあります。
リンク
⑤後任に引き継ぐ
ブラック企業とはいえ、会社がつぶれるわけではありません。
退職者の方がやっていた仕事は、だれか後任に引き継がなくてはなりません。
現在の会社が嫌いかもしれませんが、引継いた後任にご自身と同じ苦しみを味わわせないためにも、引継ぎ資料は丁寧に作りたいものです。
⑤ブラック企業の証拠を集める
ブラック企業の退職が決まっても、ブラック企業に対して恨みが残るようでしたら、退職日までに訴えるための証拠を集めてみてください。退職後に社内の証拠を集めることは不可能です。
また自分一人でブラック企業に立ち向かうのは労力がかかるため、弁護士に相談してみると良いでしょう。
ブラック企業の上司に退職の引き留めをされた時の対処法
退職の手順③で上司に相談した時、上司によっては退職を引き留めてきます。
この章では、上司のタイプ別に対処法をまとめました。
上司①法的根拠を持ち出して脅迫してくる
ブラック企業の上司だと「今やめると、損害賠償請求をしてやる」「会社を辞めたことに伴う損失を給与から差し引く」といったタイプの上司もいるかもしれません。
しかし法律上、会社退職に伴う損害賠償請求は認められていません。
脅迫してくる上司を恐れる必要は全くありません。淡々と退職することが大切です。
上司②泣き落としてくる
人が少なく、労働環境が整っていない企業には「何とか考え直してくれ」「遺された部下たちの負担が大きくなる」と懇願してくる上司もいます。
そもそも一人の従業員が抜けて経営が成り立たなくなる企業には、未来がありません。
同情を求めてすがる上司には情を断ち切って、冷静に自らの道を歩むことが大切です。
上司③熱血指導してくる
体育会系色の強いブラック企業だと「今まで一緒に頑張ってきたじゃないか」「道半ばであきらめて逃げ出すのか」と言ってくる上司もいるでしょう。
面と向かって熱い言葉を言われると、心が動かされるかもしれません。
しかし上司としては「人が減ること」を危惧しているだけです。このタイプも冷静に対処することが大切です。
上司④改善策を示してくる
「不満があるなら改める」と言って改善策を示してくる上司もいるでしょう。
このタイプに対しては、あらかじめ退職理由の本音と建前を使い分けることが大切になります。
例えば「新たに挑戦したいことができた」と言えば、現職での改善は無理です。改善策を示してくれそうな上司であれば、建前としての退職理由を用意しておくことが大切です。
もちろん「改善策を示してもらえれば、現職にとどまってもいい」と思っているならば、自分自身との対話になります。自社のブラック企業度合いによるでしょう。
ブラック企業を辞める前に知っておくべきこと
ブラック企業を辞める時に、労働者の権利を主張することが可能です。
有給休暇を消費しよう
ブラック企業で働いていた方は、有給を使う暇がなかったと思います。
先程も触れましたが、労働基準法第39条では企業側に「雇用開始から6か月以上勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して有給休暇を与える義務」を定めています。
勤続年数にもよりますが、10日間以上の有給休暇が付与されているはずです。
ご自身の有給休暇の残り日数は、給与明細に記載されています。退職の意思を伝える時に、有給を使用したい旨も一緒に伝えてください。
退職後は失業給付金を受け取ろう
次の転職先が決まる前にブラック企業を退職した方は、雇用保険(失業保険)を活用しましょう。お近くのハローワークで手続き可能です。
自己都合の退職になるため、勤続年数に応じて90日~150日間の失業給付金を受け取ることになります。また1日の失業給付金は、収入・年齢・勤続年数によって異なりますが、平均6500~7500円程度です。
ただし自己都合の退職の場合、退職してから3か月間は失業給付金を受け取ることができません。ご注意ください。
リンク(雇用保険関連の記事)
未払い残業代は請求しよう
会社在籍中に、タイムカード・給与明細・就業規則といった証拠を集めておくことで、退職後に未払い残業代を請求することができます。
ただ、ブラック企業側にも弁護士がついている場合があります。多少の費用はかかってしまいますが、弁護士に相談して確実に残業代を手に入れたほうが良いでしょう。
パワハラ・過労に対する慰謝料を請求しよう
パワハラや労働環境のせいで、体調を崩してしまった場合、慰謝料を請求することができます。
証拠となり得るのは「医師の診断書」「パワハラの実態を示すボイスレコーダー」「(精神的に追い込まれていたことを示す)メモや日記」などです。
ご自身で証拠が集まったと思ったら、こちらもプロである弁護士に相談してみてください。
転職先で再びブラック企業に入らないために
「辞めて正解のブラック企業をうまく辞められた」と思っても、転職先が再びブラック企業だと大変です。
ブラック企業には、求人票・四季報・インターネット・面接などで見分ける方法が多数存在します。
転職先はホワイト企業を選択できるよう、慎重な転職活動を行ってくださいね。
ブラック企業の見分け方については以下のページで詳しくまとめてあります。