転職の給与交渉のタイミング、難しいですよね。
特に、年収や待遇を転職の軸にしていた方は、給与交渉をしたいけどやり方が分からないという人も多いと思います。
実際に、給与交渉をすることで自分の希望が認められることもあり、給与交渉は転職活動において大事なスキルの一つとなってきています。
この記事では、内定承諾後に給与交渉をし、あなたの転職活動がより有意義になる心構えをまとめました。
年収アップに向けて、給与交渉の流れ・コツ・注意点をお話します。
また、給与交渉における転職エージェントの活用方法とメールでの給与交渉の例文もご用意しました。
ぜひご活用ください。
転職内定承諾後の給与交渉は可能?
結論から言うと、内定承諾後にも給与交渉は可能です。
もちろん理想は、内定を得た段階で応募者の希望通りの就労条件が提示されていることです。
しかし、応募者の希望条件と企業側の提示条件に乖離がある場合、生活に関わる給料の話ですから、話し合いを行う必要があります。
ただし、ここで注意していただきたいことがあります。
企業側から内定通知をもらって有利な立場になったとたんに、手のひらを返して高圧的な態度をとったり、面接時の希望年収を撤回して、内定後に高い金額で交渉したりする行為は絶対にしてはいけません。
あくまでも、入社したいという気持ちの強さは示しつつ「もっとこうしてほしい」という謙虚な伝え方が重要です。
内定後の給与交渉の流れ【5ステップで解説】
転職先との内定交渉を自分で行う場合、どのような流れで給与交渉が行われるのかをイメージしておくことが大切です。今回は条件交渉を5ステップでお伝えします。
- 労働条件を確認しよう
- 内定保留の意思を伝えよう
- 採用担当者との面談を設けてもらおう
- 交渉に対する返答を受け取ろう
- 内定受諾に向けて自分自身と対話しよう
ステップ①労働条件を確認しよう
内定通知がメールか電話、郵送等で届くタイミングで、各種労働条件も企業側から提示されます。
雇用条件通知書といった書面で提示されると、決定事項のようにも感じますが、まだ交渉の余地はあります。
転職の軸を振り返って譲れない条件があれば、希望を伝えていきましょう。
労働条件の通知を受け取ったときには、まず求人票に記載された募集要項と同じ内容であることを確認してください。
選考過程で説明を受けたことも考慮して、間違いがないことをご自身の目で確かめましょう。
書面に記載されている内容をチェックせずに受諾して、企業側と認識の違いが生まれた場合は、応募者側に責任があります。
内定受諾=「労働条件に同意」とみなされるので慎重に確認してください。
労働条件通知書のチェックポイント
- 労働契約期間
- 賃金について(計算方法、支払い時期)
- 就業場所
- 業務内容
- 始業時間や就業時間、休日、休暇、残業時間の有無
- 退職に関する事項
ステップ②内定保留の意思を伝えよう
内定通知を受けてから、企業側への返事は原則24時間以内に行うのがマナーです。
24時間以内に決められず、返事を待ってほしい場合は、企業側に「内定保留」の意思を伝える必要があります。
一般的には、一週間以内であれば企業側も待ってくれます。「家族と相談する時間をほしい」といった当たり障りのない理由を添えて伝えましょう。
ただし、内定保留は「辞退する可能性がある」と企業側も判断します。保留したことが原因で、内定を覆す企業もあることは知っておきましょう。
一度の内定保留で結果を覆されるような企業とは縁がなかったと考え「自分は条件交渉をするんだ」という強い気持ちをもって、内定保留の意思を伝えてください。
譲れない条件がある場合に妥協して、内定承諾をすると後悔につながります。
ステップ③採用担当者との面談を設けてもらおう
内定保留の依頼をしてから1日~2日経過したタイミングで、「ご相談したいことがある」と言って面談の機会を設けてもらえないか電話します。
ただし、電話口では希望条件を伝えるのではなく、「アポを取って直接交渉する機会を手に入れること」を目的としましょう。
実際に採用担当者との面談の機会を手に入れたら、譲れない条件を交渉してみます。
先方の採用担当者を説得するのではなく、あくまでも相談するというスタンスを保つことを意識すると良い結果につながりやすいです。
年収を交渉する場合の伝えるポイント3個
- 提示された年収で合意が難しいという意向を示す。
- 自分の希望年収を提示する。
- 交渉事項への返答の期限を決めてもらう。
自分にとって内定受諾のネックになっていることと、何が加われば前向きな返答になるのかを伝えます。「先方から返事が来ない」という事態を避けるため、返答期限を決めてもらうのも大切。
ステップ④交渉に対する返答を受け取ろう
企業側が指定した期日までには、給与交渉に対する調整結果が通知されるはずです。
提示した条件が認められれば、めでたく内定承諾です。しかし、企業側が応じてくれないケースもあるでしょう。
提示した条件に満たない場合は、妥協する必要はありません。
企業側も応募者の希望年収に添えないと決めた段階で、内定辞退の可能性は分かっています。
「我慢して入社したものの短期間で離職」となると、企業側にも迷惑ですし、応募者の方の経歴上も良いことではありません。
「内定を出してくれたのに悪いな」という気持ちを抑え、自分自身と対話してください。
ステップ⑤内定受諾に向けて自分自身と対話しよう
どうしても迷う場合は、次の4項目を自分に問いかけてください。
①求める年収の最低基準は超えているか
転職開始時に設定した年収の最低基準をクリアできない場合、転職を決めた後に満足度が下がります。
収入水準は、ライフスタイルに関わってくるものなので安易な妥協は禁物です。家族とも相談する必要があるでしょう。
②情熱を傾けられる仕事か
転職先で働くご自身の姿をイメージしてください。
熱意をもって働くことができる内容と思えれば、良い会社から内定をもらったと考えていいでしょう。
③一緒に働く人とは馬が合いそうか
転職先を訪問した時の第一印象を思い出してみてください。第一印象でネガティブな印象を持っているならば、慎重な判断が必要です。
退職の原因は人間関係がもとになることも多いからです。面接官や社員の人に対する「違和感」や「なんとなく話しにくい」といったフィーリングを大切にしてください。
④転職先のデメリットは許容範囲内か
転職先で100%希望が満たされることは不可能です。
どこかで妥協する必要があります。絶対に譲れない条件と、許容できる条件を分けて考え、内定受諾が今後のキャリアでプラスになるかを考えてみてください。
給料アップを実現させる給与交渉の2つのコツ
給与交渉に臨むにあたって鍵となるのは「企業研究」と「希望年収の根拠」です。それぞれ詳しく解説します。
コツ①十分に企業研究する
企業研究と言っても、多くの時間はいりません。内定保留中の企業が、給与交渉に対して寛容な会社なのか、あまり認めてくれない会社なのかを知るだけです。
これは会社のホームページの社員インタビューや求人票の企業の特徴欄を見て、企業風土を考えれば大丈夫です。
例えば、自由闊達の社風であると分かれば、給与交渉の余地はあると考えます。
コツ②希望額に根拠を持たせる
企業研究が終わったら、適正な希望額を算出します。企業情報と自分の市場価値を比較する必要があります。
企業情報を調べる際には、業界研究もセットで行ってみてください。業界を知ることで、業界の景気動向が分かります。
業界の流れが分かれば、企業情報・業界情報・自分自身の市場価値の3つの観点から希望額を算出することができます。
給与交渉では、「良く調べて適正な額を提示している応募者だ」と思わせることが非常に重要です。
悪い希望額の伝え方
- 未経験ですが、前職では600万円だったので600万円以上でお願いします。
未経験にもかかわらず、前職の企業が基準となっています。転職先の会社における自分のスキルの価値を考える必要があります。
- 誰にも負けないやる気があります。〇万円でお願いします。
「やる気」「意欲」は年収を上げる根拠にはなりません。あくまでも応募者の方の能力が重要です。
内定取り消しを避けるための給与交渉の3つの注意点【絶対NG】
採用担当者の心証を悪くしてしまわないよう、注意点が3点あります。
- 年収を第一目的にしない。
- 説得しようとしない。
- 切り出すタイミングを間違えない。
それぞれ詳しくご説明します。
注意点①年収を第一目的にしない
転職の目的が「給与・待遇のアップ」の方もいらっしゃるとは思いますが、給与交渉の場では、その軸を前面に押し出さないようにご注意ください。
あくまでも「仕事を通じて転職先企業に貢献したい」という気持ちを忘れずに、「自分のスキルや経験に対して適正な評価をしてほしい」という思いを伝えてください。
貪欲に給料アップを目指すことは悪いことではないですが、転職先を選ぶ最後の決め手が「年収・給料・待遇」という姿勢は印象が良くありません。
注意点②説得しようとしない
大前提として、人事の方に対してお願いする姿勢はNGです。
何とか説得して希望を通そうとするのではなく「相談する」という気持ちを大切にしてください。
コツ①と②でもお伝えしたように、業界・企業の情報を収集し、適正な金額を根拠をもって伝えましょう。
注意点③切り出すタイミングを間違えない
この記事のように内定通知をもらった後が給与交渉のベストなタイミングです。1次面接から給与の話をするのは避けましょう。
また、逆質問の場面で給与交渉をしようとすると「待遇が良ければどこでも行く応募者だ」という印象を与えてしまいます。
給与交渉で転職エージェントを有効活用するメリット
自分で給与交渉をするのが怖いと感じた方は、転職エージェントを使用してみてはどうでしょうか。
次の2点のメリットがあります。
採用担当者の印象を考えず、希望する給料を言える
転職エージェントのキャリアコンサルタントは、給与交渉にも慣れた転職サポートのプロです。採用担当者側の印象を損ねることなく、希望を伝えてくれます。
転職エージェントに給与交渉を依頼する場合は、「最低限〇万円欲しい」「可能であれば〇万円以上ほしい」という希望金額を専属の担当者に伝えておくことが大事です。
自分の市場価値に見合った客観的な給与水準が分かる
あなた自身で、転職を希望する会社やその業界の給料水準を調べなくても、担当者が年収ラインを提示してくれます。
あなたの知識とスキルをもとに、適正な市場価値を第三者の視点から判断してくれるのです。
もし利用を検討している方は、転職支援実績No.1のリクルートエージェントなどの大手エージェントがおすすめです。
リクルートエージェントの公式HPはこちら転職時の給与交渉メール例文とそのコツ【内定後】
企業の中には、内定通知後に条件をすり合わせる「オファー面談」を実施してくれない会社もあります。
その場合は、メールにて給与交渉を行う必要があります。
メールよりも直接話した方が応募者の方の真剣さが伝わるため、メールは最終手段ですが、この章ではメールでの給与交渉の例文とコツをご紹介します。
給与交渉のためのメールテンプレート
具体的なスキルや経験とその価値を記載して、希望年収を伝えることが必要です。
件名
給与に関するご相談(氏名)
本文
株式会社○○
人事部 ×××× 様
お世話になっております。
●月●日に面接をしていただいた(氏名)です。
この度は、貴社のSE職にて内定通知をいただき、誠にありがとうございます。
貴社の一員として働くことを非常に楽しみに思っておりますが、1点ご相談したいことがあります。
条件面において、ご提示の「月収45万円」を「月収50万円」としてご検討していただけないでしょうか。
前職では、社内の30人規模のシステム開発案件のプロジェクトマネージャーとして成果をあげ、各種プログラミング言語の経験もあります。
今回貴社求人の「システム開発プロジェクトマネージャー」業務においても、これらの経験を活かし、貴社に十分貢献できると考えております。
誠に勝手なお願いではありますが、ご検討いただきたくご相談いたしました。
本来であれば直接お伺いしてご相談すべきところを、メールにてお伝えする失礼をお許しください。
何卒、よろしくお願いいたします。
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(氏名)
〒123-4567
東京都渋谷区○○1-2-3
TEL(携帯):080-××××ー××××
email:××××××××@×××.com
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給与交渉メールを転職先に送るときの3つのコツ
メールでも、直接交渉する場合と基本的な考え方は変わりませんが、メールの場合は特に次の3点を意識してください。
- 自分自身の市場価値をアピールする。
- 転職先の会社に貢献できる理由を述べる。
- 具体的な希望金額を提示する。
コツ①自分自身の市場価値をアピールする。
面接のときに伝えたことと被るかもしれませんが、自分の今までの具体的な実績やスキルをアピールする必要があります。特に「〇%アップ」といった具体的な数字があると信憑性が高まります。
この時、転職先の会社でも役立つ自分の実績を述べるようにしてください。
コツ②転職先の会社に貢献できる理由を述べる。
会社側に、自分が転職することによるメリットを伝える必要があります。
会社側が中途採用で望んでいることを考え、それに合わせた内容を盛り込む必要があります。
また、転職先の会社は「給料を上げてもいいが、その分当社に貢献してほしい」と考えています。
したがって、給与交渉をするということは「自分自身の転職後の成果に対するハードルを上げている」ことも自覚しておいてください。
コツ③具体的な希望金額を提示する。
給与交渉で大幅な給与アップを目指すことは難しいかもしれませんが、「自分自身が納得できる金額」をメールに盛り込む必要があります。
採用担当者の印象を気にするあまり、控えめな金額を伝えて後悔することのないようにしてください。
おわりに
内定通知後に給与交渉をすることは可能です。情報収集を念入りにして、自分自身の市場価値を知ることが年収アップの近道です。
是非、転職先の採用担当者に不快感を与えないように、根拠をもって希望給与について相談してみてください。
内定後から入社までの手続きを知りたい人は、以下も参考にしてください。
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