転職活動の選考で最も苦労するのが、面接だと思います。
しかし、転職活動が初めての方の中には、「転職面接が近づいてきてるのに、面接対策してなくて不安」「そもそも面接の流れって?」「面接マナーや質問の答え方、逆質問の仕方を知りたい」など、分からないことばかりという方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、転職の面接対策で必要なこと全てまとめました。面接の流れから、服装や髪形のマナー、さらには定番質問の回答例と逆質問まで網羅しています。
面接対策を進めている方は、自分の準備に抜け漏れがないかの確認に使ってみてください。また、最後には忙しい方向けの面接直前対策もまとめましたのでぜひ参考にしてください。
転職の面接対策①:事前準備
転職面接は、準備が非常に大切になってきます。
30~45分の面接時間であなたのアピールを完了させ、応募先企業に採用したいと思わせる必要があるためです。
面接準備をしないとどうなる?
転職の面接準備をしなかった失敗例として、以下のような例があります。
- 緊張して、何もアピールできない可能性がある。
どのような人でも、本当に入りたい企業の面接のときは緊張するものです。
緊張した結果、上手く話せなかったり、話が長くなり言いたいことが採用担当者に伝わらなかったりして、何もアピールできないまま終わってしまうことがあります。「これだけは伝えたい」ということを用意しておくことが大切になります。
- 「自社に興味がない」と判断される。
採用担当者から志望動機を深く追及されたときや、ふいに応募先企業のサービスを知っているか聞かれたときに答えられなくなり、担当からの印象が悪くなってしまいます
「時間をかけて面接先企業の情報を調べてきた」という応募者の姿勢が見られていることを理解しておきましょう。
転職の面接準備はどれくらい時間をかければいい?
多くの企業の採用担当者は「応募者がどれくらいの時間をかけて面接準備を行ってきたか」にも着目しながら、話を聞いています。
というのも、準備に時間をかけて、用意周到に面接に備える人はそれだけ応募先企業への関心や熱意を持っていると判断できるからです。
転職は大事なキャリアチェンジのタイミング。最低半日は面接準備に時間を割くのが理想的です。どうしても現職の仕事もあって忙しという場合は、1日1時間面接対策に時間を割くようにしてみてください。毎日の積み重ねで本番の面接を乗り切る作戦です。
ただし、これはあくまでも目安です。求職者によって準備に必要な時間は変わってきます。
例えば、応募先企業が属している業界の知識がほとんどない場合は、業界研究から時間がかかるでしょう。また、話すのが得意ではない方は、模擬面接を何度か経験しておくと良いでしょう。
転職の面接対策②:面接の流れ5ステップ
基本的に転職面接は、5ステップで進行します。もちろん企業によって異なりますが王道の面接の流れを以下で紹介します。
- 自己紹介・現職について
- 転職の理由・志望動機について
- 入社後について
- 諸条件について
- 逆質問
自己紹介・現職について
面接会場に入って着席したら、面接官から「自己紹介」や「現在の職種についての説明」を求められる場合が多いです。
ポイントとしては、「簡潔にまとめる」ことです。面接の序盤からたくさんのことを言おうとすると、話が長くなってしまい、面接官からの印象が悪くなってしまう危険があります。
代表的な質問例
- 自己紹介をお願いします。
- 今までの職歴・経歴を教えてください。
転職の理由・志望動機について
職歴や前職の仕事内容について一通り質問が終わると、「退職理由」や「志望動機」を質問されます。
この質問に対する答えで、前職の批判や愚痴を言わないように注意しましょう。人事担当はあなたの愚痴が聞きたいわけではありません。
「前の仕事が嫌だから」といった後ろ向きな理由ではなく「もっとこんなことがしたい・こうなりたい」といった前向きな発言をしてください。
また、志望理由では「勢い」や「興味」での転職はマイナス印象です。あなたのキャリアプランに基づいた転職活動であることを伝える必要があります。
今までのキャリアで得たことと、それを踏まえて応募先企業や応募職種を志した理由を準備しておきましょう。
代表的な質問例
- 退職(転職)理由を教えてください。
- 弊社と同業の会社がたくさんある中で、弊社を志望する理由は何ですか?
- この職種を志望した理由は何ですか?
入社後について
続いて「入社してあなたがどうしたいか」が問われます。あなたの経験・知識・スキルをもとに、どのように転職先企業で活かしたいかがコツになります。
中途採用では、即戦力人材が求められているため、あなたの意欲や熱意だけでなく、会社に貢献したい意識を強く伝えるようにしましょう。
転職活動に対する自分の軸をしっかりと持ち、面接が進行しても前半と後半で言っていることが食い違うことのないようにしたいところです。
代表的な質問例
- これまでのあなたの業務経験を踏まえ、自己PRをしてください。
- 当社でやりたいこと・挑戦したいことを教えてください。
- この職種で働くうえで、あなたが大切にしている価値観は何ですか?
入社日・勤務条件について確認
一通り応募者への質問が終わったところで、面接官から諸条件の確認が行われます。
具体的には、入社日・勤務地・勤務時間といった就業条件や給与の確認などが中心です。
ここで注意点は、あまり強くわがままを言わないことになります。エージェントを活用している人は、提示された給料が希望給与と開きがある場合、転職エージェントの担当者に交渉をお願いしましょう。
代表的な質問例
- 現在の年収・希望年収はどれくらいでしょうか?
- 残業や休日出勤は、どの程度であれば許容できますか?
- いつから入社可能ですか?
逆質問
面接の最後には「何か質問はありますか?」と、応募者から面接官に質問する機会があります。いわゆる逆質問です。
面接中に疑問が生じれば、ここで確認してしまいましょう。また、こちら側からの質問で企業理解の深さや意欲の高さをアピールすることも十分可能です。転職面接の準備段階で、いくつか質問を考えておきたいものです。
転職の面接対策③:服装・髪型マナー
面接の流れを一通り抑えたうえで、服装や髪形といった身だしなみに関わるマナーをご説明します。
転職面接は、最初の5分で合否が決定することもあります。身だしなみで落とされてしまうことがないよう、ご確認ください。
服装・髪型に共通するポイントは「清潔感があること」と「TPOをわきまえていること」の2つです。服装と髪型についてそれぞれ詳しくお話していきます。
服装
男性の場合
- スーツ
黒・ネイビー・ダークグレーで、無地で明るすぎないものを選びましょう。新卒の時のリクルートスーツは、若すぎる印象になるため避けます。
- ワイシャツ
白無地が基本です。
- ネクタイ
ネクタイの色は「スーツの色」に合わせます。転職中も基本的なビジネスマナーを守り、柄も派手なものは避け、シンプルなチェックや無地のものを使用しましょう。
- ベルト
スーツに合う革製のものを選びましょう。黒や茶色といった、革靴の色に合わせると良いとされています。
- 靴下
黒もしくは濃紺など、無地のものを選びましょう。
- 靴
レザー(革)のビジネスシューズ着用が基本です。黒色・こげ茶色の革靴にしましょう。転職面接前に革靴を磨くことをお忘れなく。
- 時計
転職活動中は、カジュアルなものは避け、ビジネスで使えるシルバーや革ベルトのものを使いましょう。普段はスマホを時計代わりにする人でも、面接時には腕時計を着用する方が無難です。
- カバン
履歴書や職務経歴書を持って行く時のために、A4サイズの書類が入るビジネスカバンを使います。色や素材は自由ですが、ボロボロなカバンは避けましょう。
女性の場合
- スーツ
黒・ネイビー・グレーが一般的です。転職面接では、派手過ぎず、シンプルなデザインのスーツを選択しましょう。新卒の面接で使用した、リクルートスーツは推奨されていません。
- ボトムス
ジャケットのボトムに合わせるのは、ひざ丈のタイトスカートか、セミタイトのスカートもしくはパンツが合わせやすくて良いでしょう。
- インナー
インナー(シャツ・ブラウス)の色は、特に白でなくてはいけない等の決まりはありません。過剰なデザインのものや、カジュアルなものを避けて選んでください。
- ストッキング
ナチュラルストッキングが良いでしょう。装飾入りのストッキングは避けます。
- 靴
装飾がシンプルな黒系のパンプスにしましょう。
- 時計
転職中は、あまり目立ちすぎないものを選びましょう。
- カバン
A4サイズの書類が入るビジネスバックが良いでしょう。トートバックやリュックは使わないようにします。
- 香水
においの強さにもよりますが好き嫌いが分かれます。可能であれば、使わないようにしましょう。
髪型
転職にかぎらず、ビジネスの場では、清潔感のある髪型が大前提です。フケや寝ぐせには注意しましょう。
髪の毛の色は、暗めの茶髪はそこまで問題ではありません。しかし、生え際と毛先の色が違っている場合は染め直しが必要でしょう。
男性の場合
前髪が目にかかるような髪型は印象が良くありません。スタイリング剤を使用して、髪形を整えておく必要があります。
女性の場合
髪の毛が肩よりも長い場合は、下ろしたスタイルで問題ありません。ただし、サイドの髪が落ちてくる場合は、ハーフアップやまとめ髪にしておきましょう。明るい印象になります。
転職の面接対策④:受付・入室・退室マナー
続いて、面接会場について、入室から退室までのマナーをご説明します。
転職の面接対策というと、面接中の質問の受け答えが中心になりがちですが、以下の転職活動マナーも押さえておきましょう。
15分前に会場到着
面接会場へは、開始時間に十分間に合うように余裕をもって向かいましょう。
当日は電車やバスの遅延が発生する場合や、最寄り駅から面接会場に行くまでの道で迷う可能性があります。
時間厳守が基本ですが、万が一遅刻しそうな場合は、必ず電話で採用担当者へ連絡を入れて到着予定時刻を伝えます。
また、コートなどの上着を着ているときは、面接会場の建物に入る前に脱いで、カバンを持っていない方の腕にかけておきます。携帯電話やスマートフォンの電源も、建物に入る前に切っておきましょう。
5~10分前に受付
面接会場に早く着いたからと言って、早く受付をすればいいというわけでもありません。早く到着しすぎると、企業側の面接準備が終わっていない場合があるためです。
5~10分前に受付で、「●時より△△様と面接の約束をしております、○○と申します。」と丁寧に要件を告げましょう。
受付がなかったり、受付に人がいなかったりする場合は、エントランスに備え付けの電話やインターホンを使用して、面接に来た旨を伝えます。
転職面接のときは、面接官だけでなく受付担当者に対しても気を抜かずに接します。建物に入ったときから、評価が始まっていると考えておきましょう。
控室・面接室に通されたら
面接が始まる前に、一度控室に通す会社もあります。その場合は、入り口に近い下座に座って待ちます。
最初から面接室に通されて、面接官を待つ場合も、入り口から見て下座に座るのが基本です。カバンはテーブルではなく椅子の横に立てかけておきます。面接官が来たら、椅子から立ち上がって氏名を名乗りましょう。
面接会場は当然ですが、控室でも飲食や携帯電話の使用はマナー違反です。ほかの面接者がいても会話せず、静かに待機しましょう。
あいさつ
面接室に入るときには、ノックを3回します。「お入りください」と言われたら、扉を開けて扉の方を向いてドアを閉めます。後ろ手で扉を閉めないように注意してください。
入室時には、「○○と申します。本日はお忙しい中、面接をしていただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」とあいさつをして、35度くらいのお辞儀をします。
一言添えて着席
用意された椅子の前か左側に立って、座る前に面接官へ一礼します。面接官から「どうぞ」「おかけください」と勧められたら、「失礼します」と言ってから着席します。カバンは足元か椅子の横に置きます。
面接官に渡す書類があるときは、提出を求められたら立ち上がって「よろしくお願いいたします」と一言添えて手渡します。書類を封筒に入れている場合は、封筒から取り出して渡します。
椅子には深く腰掛けません。椅子の背もたれと背中の間に少し隙間ができるくらいの位置に腰掛けましょう。着席中は背筋を伸ばし、男性は手を軽く握って太ももへ置き、女性は膝の上で手を重ねます。
退室
転職面接が終わると一息つきたくなりますが、退出時のマナーも大切です。
面接が終了したら、「本日はお忙しい中、貴重なお時間を頂きましてありがとうございました」とお礼を述べて、面接官の目を見て一礼します。
退室をする前は、ドアの前で「失礼いたします」と一礼して、部屋の外へ出てドアを閉めます。ドアノブに手を添えて静かに閉めるように心がけます。
建物を出るまでが面接
面接室を出た後、建物を出るまではエントリー企業で働く社員の人の目があります。緊張感を持った行動を続けましょう。
建物の入り口で抜いたコートは、建物を出てから着るようにしましょう。メールチェックや通話を行いたい場合も、建物を出て少し離れた場所で行うことをオススメします。
面接では「どこで誰が見ているか分からない」という意識を強く持つことが大切です。「廊下ですれ違った人にはお辞儀をする」「エレベーターで降りる人がいたらドアを開けておく」といった好印象な行動を心掛けましょう。
転職の面接対策⑤:よくある質問と回答例
仕事内容に関する質問と回答例
どんな「思い」をもって「行動」して仕事に取り組んできたかと、その行動の「結果」と「学び」を数字を使いながら端的に語ると良いです。
質問「前職では何をしていましたか?」
私は、○○社で5年間、スーツの販売の仕事をしておりました。新卒の方からご年配の方まで、幅広い層のお客様それぞれに、複数の商品の中からお似合いの品を選び、提案することが求められる仕事です。私が常に心掛けていたことは、お客様にその日の買い物をより良くする品に出会っていただくようなご提案をすることです。具体的には、お客様のご要望のサイズの品を出すときに、自分のお勧めの品も加えて出すようにしてきました。こうして、ご提案の品を気に入ってくださったお客様が、もう一度お店にいらっしゃったときには、とてもやりがいを感じました。毎日一人でもリピーターを増やそうと思い努力を続けたかいもあって、5年間で100名以上のリピーターのお客様ができました。
この次に来る質問
- そのお仕事の中で、最も記憶に残っている経験は?
- 提案の際にあなたが工夫していることを教えてください。
退職理由に関する質問と回答例
「自分のやりたいことが応募先企業で出来る」ということを伝えるようにします。
質問 なぜ転職するのかお話しください。
私は、「○○という商品を主力商品として製造する企業で、社長や同僚の方と同じ目標をもって仕事をしていきたい」と考えて転職を決めました。今働いている会社でも、○○の製造担当の課長を担っており満足しています。しかし、現職場は○○は主力ではなく、いずれ部門自体を縮小する計画があると社長に言われました。この話を聞いたことをきっかけに、自分の将来に不安を感じ、○○の製造を本業とし、現在も○○の製造で成長を続けている企業の求人を探すようになりました。
次に来る質問
- 前職への不満はありますか。
- なぜ○○の製造に、現在の会社を辞めるほど愛着があるのですか。
志望動機に関する質問と回答例
自分の今までの経験やスキルで、応募先企業でも活用できるものは具体的に伝えます。
また、自分の求めていることと応募先企業が求めていることが一致しているということも示せるとさらに良いでしょう。
質問 当社を志望理由は何ですか?
現職で日常的に使っている、Word、Excel、PowerPointのパソコンスキルが生かせることと、仕事の範囲を広げられそうだと思ったからです。私は4年間、○○社で営業事務をしていますが、資料作成や帳簿を作成する業務だけでなく、もっと営業の方のフォローをし、より売上に貢献できるような仕事をしたいと感じていました。貴社では、営業の方と一緒に受注を取りに行くような人材を求められていると知り、是非貴社で働きたいと思うようになりました。
次に来る質問
- 現職の普段の業務と、そこでのWord、Excel、PowerPointの使用頻度を教えてください。
- あなただからこそできる「営業の方のフォロー」は何ですか?
「何か質問はありますか?」逆質問にふさわしい質問は?
ここでは、あくまでも一般的に良いとされている逆質問をお伝えします。
逆質問の作り方のコツは2点あります。
一つは、企業理解の深さをアピールする質問です。企業のホームページを読み込み、企業に関する情報を集めているうちに、疑問に思うことが出てくるはずです。反対に、ホームページを見ればわかってしまうような質問は、企業研究不足が露呈してしまします。
もう一つは、ご自分の意欲をアピールする質問です。自分が応募先企業で挑戦したいことを交えた質問を行います。
代表的な逆質問
- 貴社で結果を残している人とそうでない方の違いは何だとお考えですか?
- 事業内容について、○○とホームページには書いてありましたが、実際に○○になっているのでしょうか。
- 私は入社後に、貴社で○○のような経験を積むことで、将来的に△△のような業務に挑戦したいのですが、そのチャンスはありますか。
転職の面接対策をしていない場合の対処法
ここまで、万全な転職の面接対策をご紹介してきました。しかし、中には普段の業務が忙しくて転職活動の面接対策に時間を割けないという方もいると思います。
そんな方用に、「面接に向かう電車の中で準備ができる分量の準備」をお伝えします。
最低限次の3つの確認はしておきましょう。
- 志望動機
- 自己PR
- 応募企業のホームページ
面接では「なぜここで働きたいのか」は確実に問われます。応募先企業に興味を持った理由から、入社したいと思うに至った理由まで整理しておきましょう。
その上で、自己PRの内容を確認し、自分が応募先企業で活躍できる人材であることをアピールしましょう。今までの業務で得たスキルを応募先企業でどのように活かしたいかを考えておきましょう。
また、この志望動機と自己PRを整理して満足せず、実際にスムーズに話せるところまでイメージトレーニングを繰り返します。
これらに加えて、転職活動では、応募先企業のホームページを見て、企業の方針やサービス内容・ビジネスモデルなど会社情報を複数の視点から調べておくことが重要です。
企業の情報を頭に入れておくことで、面接官との会話が弾みやすくなります。
おわりに
面接に苦手意識があったとしても、転職面接は対策次第で通過率を上げることが可能です。
面接でよく聞かれることとに対する答えを用意し、企業理解を深めておきましょう。面接が不安な方は、転職エージェントサービスの利用もおすすめです。
みなさんの転職活動が成功することを祈っております。