世界に誇る日本の自動車産業。しかし、自動車業界は激変の時を迎えています。
そんな自動車業界の年収はどうなっているのでしょうか。ランキング形式でお伝えします。
また年収ランキングの後には、大手自動車メーカー8社の平均年齢・平均勤続年数・残業時間・有給消化日数、さらに業界全体の動向や最新トピックスも紹介しています。
年収ランキングをきっかけに自動車業界の見識を深めていきましょう!
自動車業界の平均年収ランキングを発表!
第8位 ダイハツ 642万円
- 設立 1907年
- 売上高 1兆6903億円
- 営業利益 8338億円
- 従業員数 12,796名
- 本社所在地 大阪府池田市ダイハツ町1-1
日本の軽2強の一つです。スズキと軽自動車売り上げ首位を争っています。
2016年8月にトヨタの完全子会社になりました。トヨタやスバルの小型車生産を受託し、その比重は4割を占めています。
ダイハツの人気車種:トール、タント、ウェイク、ムーヴ
第7位 スバル 657万円
- 設立 1953年
- 売上高 3兆3259億円
- 営業利益 4108億円
- 従業員数 連結33,544人
- 本社所在地 東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル
航空機開発からスタートした会社です。現在は、安全技術にこだわりを持ち、運転支援システム「アイサイト」が人気です。
2005年にトヨタと資本提携しました。以後、軽自動車からSUV(スポーツ用多目的車)などの中型車にシフトしています。
スバルの人気車種:インプレッサ、レヴォーク、フォレスター
第6位 マツダ 681万円
- 設立 1920年
- 売上高 3兆2143億円
- 営業利益 1256億円
- 従業員数 連結43,349名
- 本社所在地 広島県安芸群府中町新地3-1
走りと環境性能を両立させた「スカイアクティブ」搭載車種が好評で、ブランド力が上昇中の企業です。販売店改装と正価販売を進めています。
17年から、トヨタとEV開発・北米合弁新工場を軸に資本提携を始めました。
マツダの人気車種:デミオ、CX-3、CX-5、
第5位 スズキ 717万円
- 設立 1920年
- 売上高 3兆7572億円
- 営業利益 3741億円
- 従業員数 連結67,151名
- 本社所在地 静岡県浜松市南区高塚町300
ダイハツと軽2強を争っています。2018年度上半期は、軽四輪車の売り上げが日本トップです。
インドではシェアを4割持っています。
独フォルクスワーゲンと提携解消の一方、トヨタと業務提携を始めました。
スズキの人気車種:ソリオ、スイフト、クロスビー
第4位 三菱自動車 744万円
- 設立 1970年
- 売上高 1兆9066億円
- 営業利益 5118億円
- 従業員数 連結30,507名
- 本社所在地 東京都港区芝5-33-8
国内では、PHEVと軽が中心です。00年のリコール不祥事・16年の燃料不正問題で、実質日産の傘下になりました。
主な生産拠点は日本とタイで、東南アジアの売り上げ比率が大きいです。
三菱自動車の人気車種:エクリプスクロス、デリカD5
第3位 本田技研工業 808万円
- 設立 1948年
- 売上高 13兆9992億円
- 営業利益 8407億円
- 従業員数 連結251,638名
- 本社所在地 東京都港区青山2-1-1
祖業の2輪車が世界シェア3割でダントツです。創業者の本田宗一郎ら、歴代トップは技術畑出身で技術主導の社風があります。
乗用車では、コンパクト車やミニバンが中心です。軽自動車の売り上げは国内3位ですが、N-BOXは2017年9月~2018年8月の間、12か月連続で首位を獲得しています。
ホンダの人気車種:フィット、フリード、ヴェゼル、N-BOX
第2位 日産自動車 818万円
- 設立 1933年
- 売上高 11兆7200億円
- 営業利益 7422億円
- 従業員数 連結138,99名
- 本社所在地 神奈川県横浜市西区高島1-1-1
90年代の経営危機で、仏ルノーの救済を受け、ゴーン現会長の改革で復活しました。
16年10月に三菱自動車を実質傘下に置き、日産・ルノー・三菱連合の世界販売台数がトップ3に浮上しています。
現在は、自動運転技術とEVに注力しています。日本国内では、「ノートe-POWER」が特に人気で、2018年の上半期売り上げトップに立ちました。
日産の人気車種:ノート、セレナ、エクストレイル、リーフ
第1位 トヨタ自動車 831万円
- 設立 1937年
- 売上高 27兆5971億円
- 営業利益 1兆9994億円
- 従業員数 連結373,272名
- 本社所在地 愛知県豊田市トヨタ町1
国内の登録車のシェア5割弱を占めます。日本では販売網の強さで他社を圧倒しています。
強みは、ハイブリッド車や燃料電池で「トヨタ生産方式」は世界的に評価されています。
トヨタの人気車種:アクア、プリウス、ヴォクシー、シエンタ
自動車業界の平均年収は?
大手自動車メーカー8社の平均年収:737万円
大手自動車メーカー8社の平均年齢:40.7歳
40代の平均給与は482万円なので、自動車業界大手企業の平均給与は総じて高いといえるでしょう。
なお、製造業の平均給与は「507万円」となっています。全体平均よりも高い給与水準であることが伺えます。
自動車業界大手各社の平均年齢、残業時間、有給日数は?【比較表あり】
ここまでは、年収をメインにお話してきました。
しかし、企業研究のポイントは年収だけではありません。以下の表を参考に自分が目指す働き方ができる企業を選びましょう。
これといった正解はありませんが、一つの指標に囚われず複合的な視点で企業研究を行うことが大切です。
平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 残業 (月平均) | 有給消化 (年平均) | |
トヨタ自動車 | 852万円 | 39.1歳 | 17.7年 | ― | ― |
日産自動車 | 816万円 | 43.1歳 | 19.5年 | 21.4時間 | 19.0日 |
本田技研工業 | 776万円 | 43.3歳 | ― | 17.1時間 | 19.0日 |
スズキ | 731万円 | 39.6歳 | 15.1年 | 25.6時間 | 13.5日 |
三菱自動車 | 719万円 | 40.8歳 | 16.2年 | 23.0時間 | ― |
マツダ | 684万円 | 39.8歳 | 16.8年 | 24.0時間 | 16.5日 |
スバル | 675万円 | 38.3歳 | 15.7年 | 27.8時間 | 17.3日 |
ダイハツ | 648万円 | 41.7歳 | 18.5年 | 27.2時間 | 18.3日 |
【分析ポイントをご紹介】
- 平均年齢は?→同じ年収でも平均年齢が低い会社の方が生涯給与は高い
- 残業時間は他社と比べてどうか?有給は取得できているか?→仕事とプライベートの両立
- 勤続年数は極端に低くないか?→早期退職者が多い会社ではないか?
自動車業界の業界動向や最新トピックスは?
自動車業界の動向は?
2017年の国内新車販売台数は2年連続で500万台を突破。しかし、国内の販売台数は近年頭打ち感も見られます。
国内シェアはトップのトヨタが30.7%、ホンダが次いで13.9%、スズキが12.9%と続きました。3位のスズキと4位のダイハツが回復傾向にあります。
また、昨年は、販売車種上位10車種の内、7車種を軽自動車が占める結果となりました。
3陣営に分かれた自動車業界
自動運転・電動化への対応で、各社の開発費・設備投資の負担が増加しています。
そのため現在の自動車業界では、1社だけで全ての技術を開発するのではなく、複数社で協力して取り組もうという業界全体の協力体制の動きがみられます。
日本国内でも「トヨタ」「日産」「ホンダ」の3陣営に再編されました。
①トヨタ陣営
【トヨタ・スズキ・ダイハツ・マツダ・スバル】
17年にマツダと資本提携。スズキと安全技術などの業務提携へ協議開始。
②日産陣営
【日産自動車・三菱自動車】
16年の燃費不正問題を背景に、三菱自動車が日産の傘下に。
③本田陣営
【本田技研工業】
今のところ自前主義を貫く。
不正問題が売り上げに与える影響
最近の自動車業界では、何かと不正問題が相次いでいる印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。以下に昨今の自動車業界の不正問題をまとめていました。
【昨今の自動車業界の不正問題】
- 2016年「燃費不正問題」
三菱自動車が軽自動車4車種で燃費試験時に、燃費を実際より良く見せるためにデータを改ざんする不正を行っていた問題です。
タイヤの抵抗や空気抵抗の数値を操作し、実際より燃費がよくなるように国土交通省に届けていました。
軽自動車の開発・生産で提携する日産の指摘で発覚しました。
この後、スズキでも同様の不正が発覚しました。
- 2017年9月「無資格の従業員による完成車検車問題」
日産が、新車の出荷前に必要な完成検査を、無資格の従業員が行っていた問題です。
この完成車検車は、国による出荷前検査をメーカー責任で代行する仕組みで、資格を持った「完成検査員」が検査することが定められていました。
国土交通省が抜き打ちで立ち入り検査して、判明しました。
この後、スズキ、スバルでも同様の問題が発覚しました。
- 2018年春以降「燃費・排ガスデータの書き換え問題」
日産とスバルが、完成車検査において、燃費・排ガスデータの書き換えを行っていた問題です。
国の保安基準より厳しく定める社内基準を満たしていなかったため、書き換えが常態化していたということです。
この後、マツダ、スズキでも同様の問題が発覚し、乗用車8社の半数が不適切な対応をしていたこととなりました。
この一連の問題の結果、三菱自動車は日産自動車の傘下に入ることになり、日産もスバルも売り上げが20~40%程度下落してしまいました。
デジタル化が進む自動車産業において、ルールを監督する方法を含め、制度自体が古くなっている可能性も高いです。
結局、2016年以降、乗用車8社のうち、一連の不正問題が全くなかったのは、トヨタ・ホンダ・ダイハツの3社にとどまっています。いち早く、日本の製造業の信頼を取り戻す必要があります。
カルロス・ゴーン氏の逮捕
2018年11月19日に日産自動車会長、三菱自動車会長、ルノーCEOのカルロス・ゴーン氏が東京地検特捜部によって逮捕される衝撃的なニュースがありました。
2018年12月現在では、有価証券報告書の虚偽記載、役員報酬の虚偽記載などの容疑がかかっている状況で、今後の動向が注目されています。
自動車業界への影響も少なくないことが予想されますので、日産をはじめ今後大手自動車メーカー各社の業績動向は詳しく見ておく必要があるでしょう。
自動車業界への転職をお考えの方は、無料で転職アドバイスをしてくれる転職エージェントから企業の最新の採用動向を聞いてみるのもおすすめです。
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自動車メーカーの売上高、営業利益、販売台数ランキング!【おまけ】
売上高ランキングTOP3
2017年度の売上高ランキングは、以下のようになりました。
第1位 トヨタ自動車 27兆5971億円
第2位 本田技研工業 13兆9992億円
第3位 日産自動車 11兆7200億円
各社とも為替レートの影響で2016年からは、売上高が減少に転じましたが、順位は変わらず、トヨタが圧倒的な売上高を誇っています。
営業利益ランキングTOP3
2017年度の営業利益ランキングは以下のようになっています。
第1位 トヨタ自動車 1兆9943億円
第2位 本田技研工業 8407億円
第3位 日産自動車 7422億円
2位の本田技研に2倍以上の差をつけて、トヨタがトップにランクインしています。トヨタの安定感が分かりますね。
世界の自動車業界販売台数ランキング!【番外編】
2017年の世界販売台数は、TOP3は以下になります。
第1位 フォルクスワーゲン(VW) 1,074(万台)
第2位 ルノー・日産・三菱アライアンス 1,060(万台)
第3位 トヨタ自動車 1,038(万台)
ドイツのフォルクスワーゲンが2年連続の首位を守りました。
三菱自動車を2016年に加えた、仏ルノー・日産の3社連合が1000万台を突破して、前年の4位から2位に順位を上げました。
トヨタ自動車も世界3位ですが、販売台数は過去最高を更新しています。
一方の、米ゼネラルモーターズは4位となりシェアを落としました。
おわりに
自動車産業は日本の強みでしたが、次世代車でも主導権を握るためには、各社とも自前の技術だけでは限界があり、アメリカのIT企業との連携も必要となってきています。
自動車産業を見る上では、国内だけではなく世界全体の業界動向を掴んでおけると良いと思います。
年収アップを目指している人は、以下の記事も参考になります。ぜひご覧ください。