転職活動中には、無事に内定を承諾したものの「やっぱり内定を辞退したい」という気持ちになることもあることでしょう。
「より志望度が高い企業から内定をもらった」「もう一度別の業界で転職活動をしようと思った」など理由は様々だと思います。
しかし、せっかく内定を頂いた企業へ辞退連絡をするのは気がひけるものです。内定承諾後に内定辞退をするには、企業へどのように伝えればいいでしょうか。
この記事では、内定受諾後に内定を断るときのマナーと電話・メール・手紙それぞれの伝え方や書き方の例文をご紹介しています。
内定をくれた企業とトラブルになることを防ぐためにも、マナーを守って辞退連絡を進めましょう。
また、転職エージェントを通して転職活動を行った場合の、エージェント経由での辞退方法もご説明してあります。
皆さまの方のご状況に合わせて、この記事をご活用ください。
転職で内定承諾後の辞退は可能?
受諾後の辞退は法律的には可能
転職者には「就業の自由」が与えられているため、内定承諾後に辞退することは可能です。
ただし、内定先企業も転職者の方が内定受諾してくれたと同時に入社準備を進めています。
内定先企業の都合も考慮に入れて、辞退を決めた段階で、できる限り早く企業側に連絡を取ってください。
転職予定企業から損害賠償請求される?
内定を辞退することは労働者の自由であるため、会社側にやむを得ない事情を丁寧に説明すれば、損害賠償を請求されることは基本的には少ないです。
労働契約の解約について定めた民法によると、労働者はいつでも会社側に対して労働契約の解約の申し入れができ、解約の意思を伝えてから2週間後には契約を解消できます。
したがって、出社日の2週間前までであれば、大きなトラブルに発展する可能性は小さいと思われます。
また、出社日の1週間前であっても「離れて暮らす親が倒れてしまい、地元に戻らなければならなくなった」といった、事前に予知できないやむを得ない家庭の事情等があれば、内定辞退を認めてくれる企業もあります。
しかし、あまりにも常識の範囲から外れた態度・理由で内定辞退したようなケースでは、企業から損害賠償を請求されることもありますので注意してください。
転職で内定承諾を辞退するときの3つのマナー
内定承諾後の辞退は、採用担当者や内定先企業を気遣った丁寧な対応が必要不可欠です。辞退の際には、次の3点のマナーを守りましょう。
- できるだけ早く採用担当者に伝える
- まずは企業へ電話で連絡をする
- 辞退理由を簡潔に伝える
マナー①:できるだけ早く採用担当者に伝える
前の章でも述べましたが、大事なことなので2回言います。
トラブルを避けるためにも、辞退すると決めた段階ですぐに採用担当へ連絡をしましょう。
これまで面接や選考の時間を作ってくれた企業に対して、内定辞退の連絡が遅れることは社会人としてNGです。
マナー②:まずは電話で連絡をする
内定先企業への連絡手段としては「電話」がオススメです。速やかに心からのお詫びの言葉を直接伝えてください。
「直接辞退を伝えるのは気が引ける」という方もいるかもしれません。しかし、大事な連絡だからこそ電話で謝る必要があります。
まず電話で謝罪した後に、もう一度メールや手紙で企業へ謝罪の気持ちを伝えると丁寧です。
マナー③:辞退の旨を簡潔に伝える
電話連絡の時には、内定通知に対するお礼を述べたうえで、簡潔に辞退の理由を伝えましょう。
必要以上に理由を細かく話す必要はありません。あまり話すとトラブルの元になることもあります。
また、たとえ本当であったとしても「別の第一志望の企業から内定をいただいた」といった、内定先企業の気分を害すような理由は伝えないようにしましょう。
転職で内定承諾した後の辞退の伝え方【例文あり】
内定を頂いた会社にはまず電話で謝罪して、その後にメールか手紙でもう一度謝罪の意を伝えるようにしましょう。
①電話で内定辞退を伝える際の例文
お世話になっております。
先日御社の内定の通知をいただきました(氏名)と申します。
採用担当の××様はいらっしゃいますでしょうか。
~採用担当者に代わる~
この度は、内定のご連絡をいただきまして、誠にありがとうございます。
大変身勝手で申し訳ないのですが、諸般の事情(家族の反対・ほかにやりたいことができた)で内定を辞退させていただきたくお電話いたしました。
一度内定を承諾しながら、辞退を申し上げるなどと多大なご迷惑をおかけして申し訳ございません。
本来ならば、直接お詫びに伺うべきところですが、お電話でのご連絡となってしまったことを重ねてお詫び申し上げます。
何卒、お許しいただきたくお願い申し上げます。
②電話後にメールで内定辞退の謝罪をする際の例文
電話で内定辞退を謝罪した後に、改めてメールでも内定辞退の謝罪をすると丁寧です。
<件名>
内定辞退のご連絡(氏名)
<本文>
株式会社○○ 人事部
××様
お世話になっております。
先日貴社の内定の通知をいただきました(氏名)です。
この度は、貴社の採用内定をいただき、内定承諾をさせていただき大変光栄でした。
誠にありがとうございました。
先ほどお電話でもお伝えいたしましたが、いろいろと考えて悩んだ結果、
大変非常識ではありますが、今回の内定を辞退させていただきたく思います。
貴社の皆様には、貴重なお時間をいただいて、選考をしていただいたにも関わらず、
このような結果になってしまい大変申し訳ございません。
最後になりますが、今後とも貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。
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署名
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③担当者が不在で、メールで内定辞退を伝える際の例文
<件名>
内定辞退のご連絡(氏名)
<本文>
株式会社○○ 人事部
××様
お世話になっております。先日貴社の内定の通知をいただきました(氏名)です。
先程お電話をいたしましたが、ご多忙のようでしたのでメールにて失礼いたします。
この度は、貴社の採用内定をいただき、内定承諾をさせていただき大変光栄でした。
誠にありがとうございました。
このような嬉しいお知らせをいただきながら、また内定を承諾しながら、大変非常識なことで誠に恐縮なのですが、検討の結果、貴社の内定を辞退させていただきたくご連絡差し上げました。
貴社の皆様には、貴重なお時間をいただいて、履歴書や職務経歴書に目を通してていただき、また面接でもご対応をしていただいきありがとうございました。
一度内定を承諾しながら、辞退を申し上げるなどと多大なご迷惑をおかけして申し訳ございません。
本来ならば、直接お詫びに伺うべきところですが、お電話でのご連絡となってしまったことを重ねてお詫び申し上げます。
何卒、お許しいただきたくお願い申し上げます。
面接をご担当いただいた××様を始め、採用に関わってくださった皆様には、心より感謝しております。
最後になりますが、今後とも貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。
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署名
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③手紙で内定辞退を伝える際の例文
内定受諾をした企業が伝統的な日系企業であったり、礼儀に厳しい会社だった場合は電話連絡の後に手紙を書いておいた方が丁寧です。
「縦書き」・「白の便箋」・「丁寧な字」・「修正液を使用しない」といった手紙のマナーを守って、誠意を伝えましょう。
拝啓
○○の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
先日はお忙しい中、お電話でご対応いただきまして誠にありがとうございました。
この度は、誠に勝手ながら貴社の内定を辞退させていただきたく存じます。本当にご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
転職活動に際して最後まで悩みましたが、自信の適性を考慮して慎重に検討した結果、貴社を辞退させていただく決意をいたしました。
貴社の皆様には貴重なお時間を割いて、履歴書や職務経歴書に目を通していただき、また面接でもご対応いただいたにも関わらず、内定のお話を辞退させていただくのは心苦しい限りですが、何卒ご容赦ください。
改めて、転職活動を通して大変お世話になりましたことを心より感謝申し上げます。
末筆ながら、貴社の益々の発展をお祈り申し上げます。
敬具
平成●年●月●日
(氏名)
○○株式会社 人事部 ××××様
転職エージェント経由で内定承諾後に辞退する3ステップ
エージェント経由で内定を得た時でも、内定受諾後にやっぱり辞退したいと思うことはあるでしょう。エージェント経由で内定辞退をする際は、次の3ステップで辞退してください。
①電話・メールで転職エージェントへ辞退の旨を伝える
内定を断ると決めたら、後回しにせずにすぐに担当エージェントに伝えることが大切です。
「内定受諾後に断ると担当してくれたエージェントに申し訳ない」という気持ちから、メールだけで連絡を済ませる方もいらっしゃいますが、このような大事な連絡は電話でするのが大人のマナーです。
転職エージェントも、これまで数々の転職希望者を見てきているため、受諾後の内定辞退でも誠意をもって伝えればしっかりと理解してくれるでしょう。
②内定辞退の理由と謝罪の気持ちを伝える
「内定受諾後の辞退でも法律上は問題ない」という思いで、横柄に断ってはいけません。
転職活動のサポートをしてくれたエージェントに対して、辞退理由と謝罪の気持ちは最低限伝えましょう。
この電話で、エージェントと今後の転職活動の方向性を話し合うことになります。転職活動を続けるための内定辞退なのか、他社にお世話になると決めた内定辞退なのかを明確に言うことが必要です。
③内定を受諾した企業には直接連絡しない
内定受諾後の辞退が申し訳ないという思いから、内定をくれた会社に直接連絡して謝罪する方もいますが、それはNGです。
応募時からエージェントを介して転職先企業と連絡を取っていたことを思い出し、最後までエージェントに対応してもらいましょう。
応募者の方の判断で直接連絡をすることは、転職先企業にとっても転職エージェント側にとっても好ましくありません。
内定承諾前に必ず確認しておくべきこと【トラブルになる前に】
内定承諾後に辞退をしたい理由は様々かと思います。また、自分の気持ちに反してまでその企業に入社しなければならないということはありませんので、内定後の辞退は仕方のないことでしょう。
しかし、内定承諾後の辞退はないに越したことはありません。内定承諾=入社の意思決定となるように、承諾前に予めきちんと確認しておくべき項目をおさらいしておきましょう。
次の3点は応募先企業に最低限確認してください。
- 入社予定日
- 業務内容
- 給料や待遇
①入社予定日
面接時に企業側と調整した入社日に問題がないかを確認します。
特に会社に在籍しながら転職活動を進めた方は、退職日が正式に決まってから入社日を決定することが大切です。
面接で採用担当者と相談した日程での入社が難しくなった場合は、入社日の変更を申し出てから内定を承諾してください。
②業務内容
内定承諾の前に、内定承諾書に記載された業務内容の確認は必須です。
求人票に記載されていた内容や、面接時に面接官から聞いた仕事内容と相違がないかをチェックします。
転職活動後に「業務内容が思っていたものと違った」という理由での早期退職にならないためにも慎重に確認してください。
少しでも疑問や不安が残るようであれば、内定承諾前に必ず人事担当者へ確認を取りましょう。
③給料や待遇
自分が求める年収水準に達しているかを確認しましょう。
残業代の計算方法、家賃補助、各種手当といった給与以外の項目にも目を通すことを忘れないでください。
何か疑問に思う点があれば、採用担当者にすぐに問い合わせます。具体的な数字を教えてくれるはずです。
おわりに
一度は「内定受諾」した会社の内定を辞退するときは、申し訳ない気持ちも大きいと思います。
しかし、どんな事情があるにせよ、企業との約束を反故にしたという点は変わりません。
一度はお世話になると決めた会社だからこそ、企業には心から謝罪の気持ちを伝えて、誠実な対応を心がけてください。