転職などで退職をする際には、社内のメンバーだけではなく、これまでお世話になった取引先・得意先の会社へ挨拶をする必要があります。
自分は会社を離れることになっても、企業間の取引はその後も続きます。
そのため、担当が変わっても円満な関係が続くように自分の都合だけではなく、クライアント企業と後任担当者の双方に配慮をすることが大切です。
本記事では、社外取引先への退職の挨拶のマナーや注意点、挨拶メールの例文等をご説明します。
これから引き継ぎ準備を進める予定の方は、ぜひ参考になさってください。
退職の挨拶はいつ行う?メール・電話・訪問、どう伝えるのがベスト?
社外の会社へ退職の挨拶するのにベストなタイミングと理想の連絡手段をご紹介します。
退職日の2〜3週間前には挨拶を済まそう!有給消化の場合は注意が必要
取引先への挨拶は、退職予定日の2〜3週間前までに行うと良いでしょう。
後任へ引き継ぎ後に何か問題が発生した場合などを考えて、余裕を持ったスケジューリングをしてください。
また、退職前に有給休暇を消化する場合には、消化後の退職日ではなく、最終出社予定日の2〜3週間前までに挨拶をするようにしましょう。
直接訪問がベスト!難しければメールと電話でもOK
基本的には、挨拶は、後任と一緒に先方を直接訪問するのがベストです。
しかし、遠方エリアのクライアントがいたり、顧客数が多い場合には、メールと電話で挨拶をしてもOK。
メールだけだと相手が読み流してしまう可能性などもあるので、メールと電話はセットで行うようにすると良いでしょう。
ただし、その場合もとくに懇意になっていた会社は出来るだけアポをとって直接挨拶と後任の紹介を行うのがおすすめです。
社外への挨拶では何を伝えるべき?
初めての退職だと挨拶といっても何を伝えれば分からない人もいると思います。
得意先や協力会社などへの挨拶では、以下の3つの点を伝えるようにしましょう。
①退職予定日
退職日が決まっていれば予定日を、有給消化する際は最終出社日を伝えます。
訪問のお願いをする場合は、先方や後任の日程都合もありますので、なるべく早めに連絡をして退職日前にアポ設定できるよう調整しましょう。
②後任担当の紹介
退職によって担当者が変わるタイミングは、顧客との関係性を維持できるかどうかが重要です。
取引先企業と後任担当者を知るあなたが、関係構築をサポートできるように引き継ぎをしっかりと行いましょう。
具体的な後任への引き継ぎのコツは記事後半でご説明しています。
③お礼の言葉
お世話になった顧客へ、これまでの感謝の気持ちを伝えるのも大事です。
とくにメールで挨拶を行う時には、ビジネステンプレート的な文章になってしまいがちです。
出来れば、その企業・担当者との個別エピソード等を交えながらお礼を伝えられると、先方にも良い印象を与えることができます。
得意先への退職挨拶の注意点!会社に迷惑をかけないための3つのマナー
退職の挨拶では、避けるべき話題などもあります。あなたと先方企業との関係は終わりますが、今後も自社の取引先であることは変わりません。
以下の挨拶マナーを守って、後腐れのない引き継ぎを心がけてください。
①:転職後の連絡先などプライベートな情報は伝えない
どれだけ仲が良い会社、担当者であったとしても転職先の企業名や連絡先などプライベートな情報は伝えないのがマナーです。
あくまで会社のお客様であり、ビジネス上の付き合いであることを忘れないでください。
②:コンプライアンスに抵触するようなことは言わない
自社の社内事情や顧客情報など、会社内で知り得た情報を言うのはNGです。
会社を辞める時には、仕事に対する気持ちが緩んでしまいがちですが、漏らした内容によっては現職の会社と訴訟問題にも発展しかねません。
コンプライアンスは最後まで守りましょう。
③:退職理由は「一身上の都合」が基本
退職挨拶の際に、退職理由を聞かれることは少なくありません。
たとえ退職の理由がネガティブなものであったとしても、そのまま伝えるのは避けましょう。
仕事が辛いから、パワハラやモラハラがあった、など内容次第では、会社の評判を大きく落とす事態に発展します。
場合によっては、それが理由で取引が終了することもあります。そうなっては大問題ですよね。
退職理由を聞かれたら、基本的には一身上の都合と伝えるのがマナーです。
ただし、妊娠・出産や結婚などおめでたい前向きな理由である場合は、素直に伝えても良いでしょう。
④:メールの場合は、一斉送信ではなく個別送信の方が丁寧
挨拶メールを送る際は、BCCなどで一斉送信するのではなく、1社ずつ個別で送る方が丁寧な印象を与えることができます。
何度も繰り返しになりますが、退職時には顧客との関係性を壊さず円滑に引き継ぎを行ってください。
一斉メールが必ずしもダメというわけではありませんが、受け取り側の気持ちを考えると自分宛てに届いたメールの方が気持ちの良い挨拶となるでしょう。
上手な後任への引き継ぎ方法!顧客と良好な関係を続けるポイント
後任担当者への引き継ぎも退職前にやっておくべき重要事項です。
あなたの退職後も、顧客と後任が良い関係を続けていくためにただ後任を紹介するだけではなく、企業と後任双方へ配慮をすることが大切です。
後任へ顧客情報の共有をしっかりと行う
まず、後任担当者に顧客情報の共有をしっかりと行いましょう。
これまでの取引回数や取引内容などの定量的な情報だけではなく、先方担当者の人柄やタイプ、取引先への満足度など定性的な情報まで、漏れなく伝えることが大事です。
トラブルなく、後任がスムーズに顧客とやりとりするためにあなたの情報共有が肝になります。
一緒に訪問する時は仲介人であるという意識を忘れない
後任と一緒にクライアントを訪問して挨拶する場合には、自分の話ばかりをするのではなく、後任と顧客の関係性構築を意識しましょう。
例えば、後任の社内での良い評判や人柄をお客様に紹介したりすると良いと思います。
お客様から「次の担当は頼りなさそう」と思われてしまっては、引き継ぎがうまくいったとはいえません。
単に窓口が変わったことを伝えるのではなく、担当が変わっても顧客が安心できるような気遣いをするのが引き継ぎ挨拶の目的です。
取引先への退職挨拶メールの例文
挨拶メールの例文を、2パターンご紹介します。
退職報告後に後任と一緒に挨拶にいくケースと後任が1人で挨拶するケースで、それぞれ紹介します。
退職報告後、後任と一緒に取引先に挨拶する時のメール
お世話になっている取引先には、後任と一緒に挨拶に行くほうが良いでしょう。
・件名
退職のご挨拶(株式会社○○、氏名)
・本文
○○株式会社
××様
お世話になっております。
株式会社○○、○○部の(氏名)です。
私事で恐縮ですが、この度一身上の都合で退職することになり、●月●日●曜日をもって退職することになりました。
××様には、在職中、大変お世話になりましたことを、心より御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。
本来であれば、直接ご挨拶をさせていただくべきところ、メールでのご連絡となってしまい申し訳ありません。
後任は、同じ部署の○○という者が務めさせていただきます。
お時間をいただけるようでしたら、後任の○○とご挨拶に伺わせていただきたく存じます。
下記日程のうち、ご都合のよろしいお時間はありますでしょうか。
・●月●日●曜日 ●時~●時
・●月●日●曜日 午前中
・●月●日●曜日 終日
お忙しい中恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
貴社にご迷惑をおかけすることのないよう、十分に配慮いたしますので、今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。
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署名
退職報告後、後任が単独で挨拶に行く時のメール
あなたと後任が一緒になってご挨拶に伺わない場合は、このように書きます。
・件名
退職のご挨拶(株式会社○○、氏名)
・本文
○○株式会社
××様
お世話になっております。
株式会社○○、○○部の(氏名)です。
私事で恐縮ですが、この度一身上の都合で退職することになり、●月●日●曜日をもって退職することになりました。
××様には、在職中、大変お世話になりましたことを、心より御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。
本来であれば、直接ご挨拶をさせていただくべきところ、メールでの急なご連絡となってしまい申し訳ありません。
後任は、同じ部署の○○という者が務めさせていただきます。
改めて○○がご挨拶に伺いますので、変わらぬご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
末筆ではございますが、貴社のご発展と××様のますますのご活躍を心からお祈り申し上げます。
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署名
退職後も会社が円滑な取引をできるように余裕を持って準備をしよう
取引先への退職挨拶は、これからも円満な関係が続けることが目的です。
退職時には、引き継ぎなどでバタバタとすると思いますが、お客さまへの挨拶は重要です。
後回しにならないように、余裕を持ったスケジュールを組むようにしてください。
また、社内の引き継ぎは何から始めればいい?という方は、以下の記事を参考にしてください。