事故にあったり、災害にあったり、思いがけない災難にあることは誰にでも起こりうるものです。
そんなときのために、「保険」は存在します。
誰しも自分がそんな状況になるとは思っていませんが、その状況になって初めてありがたみを知ることになります。
何か不幸なことが怒ったときに助けてくれる、そんな「保険」を提供してくれる保険業界にはどんな企業があり、年収はいったい幾らくらいなのでしょうか。
今回は、保険業界の中で「損害保険業界」の年収ランキングと市場動向や職種、求められる能力などもご紹介いたします。
「保険営業は稼げる」と耳にしたことがある人も多いと思いますが、その実態はどうなのでしょうか?3メガ損保の気になる年収もチェックしてみましょう!
損害保険業界の平均年収ランキング!3メガ損保の年収は?
第3位 MS&ADインシュランスグループホールディングス株式会社 1,100万円
- 正味収入保険料 3兆4,469億円
- 純利益 1,540億円
- 従業員数 連結41,295名
- 本社 東京都中央区新川2丁目27番2号東京住友ツインビルディング西館
- 設立 2008年
2017年度の日本国内の正味収入保険料シェア率は33%と、損害保険事業の日本国内での保険シェアはNo.1です。
世界47の国と地域で事業を展開し、ASEANにおける損保シェアでも1位となっています。
グループ会社として「三井住友海上」「あいおいニッセイ同和損保」「三井ダイレクト損保」「三井住友海上あいおい生命」「三井住友海上プライマリー生命」があります。
第2位 SOMPOホールディングス株式会社 1,173万円
- 正味収入保険料 2兆8,547億円
- 純利益 1,398億円
- 従業員数 連結48,544名
- 本社 東京都新宿区西新宿1-26-1
- 設立 2010年
損害保険ジャパンと日本興亜損害保険の2つが統合して損保ジャパン日本興亜ホールディングスができ、2016年にSOMPOホールディングスへと改名しました。
近年では、介護・ヘルスケア事業にも力を入れ、グループの新たな事業の柱となっています。
海外へのネットワークに強みを持ち、そのネットワークは世界30カ国・地域、218都市にも及びます。
第1位 東京海上ホールディングス株式会社 1,390万円
- 正味収入保険料 3兆5,647億円
- 純利益 2,841億円
- 従業員数 連結39,191名
- 本社 東京都千代田区丸の内1-2-1
- 設立 1879年
国内最大手の損害保険会社の東京海上日動火災保険株式会社を子会社に持ちます。
グローバル化の拡大に積極的で、海外保険事業が2002年にはわずか3%だったのが、2017年には国内損害保険事業と並ぶ37%まで成長しました。
欧米を中心に海外型M&Aを進めています。
損害保険業界の年収は平均と比べて高い?低い?
- 40歳全体の平均年収・・・600万円
- 40歳時点での損害保険業界の平均年収・・・673万円
40歳時点でのホテル業界の年収は平均と比べて「73万円」も高いことがわかりました。
年収ランキング上位の3社は、全て年収1,000万円を超えており、業界の中でも飛び抜けて、高年収であることがわかります。
損害保険業界の平均年齢、勤続年数、残業時間は?
次に損害保険業界大手各社の平均年齢、平均勤続年数、残業時間を見ていきましょう。
年収だけを比較するのではなく、残業時間や平均年齢など複数の視点で企業分析をすることでより深い企業理解をすることができます。
平均年収 | 平均年齢 | 勤続年数 | |
東京海上ホールディングス株式会社 | 1,390万円 | 43.8歳 | 19.9年 |
SOMPOホールディングス株式会社 | 1,173万円 | 43.3歳 | 17.4年 |
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 | 1,100万円 | 47.5歳 | 22.4年 |
上記のどの指標を重視するかはそれぞれ違うでしょう。ここでは分析のポイントをいくつか紹介します。
1.平均年齢は何歳か・・・年収が多少低くても平均年齢が低ければ生涯給与は高い可能性がある。
2.有休消化日数は何日か・・・有休取得可能日数と実際の消化日数を比べることが大切。取得率が低ければ有休申請しづらい社風の可能性も。
3.残業時間は何時間か・・・いくら平均年収が高かったとしても残業時間が多く、体を壊してしまっては元も子もない。
損害保険業界の市場規模や動向は?今後の課題は?
損保業界の市場規模
損保業界の市場規模は、8兆2,438億円に登ります。(正味収入保険料、2017年度、日本損害保険協会)
損害保険業界の市場規模は、2006年度をピークに2010年度まで減少傾向にありましたが、2011年度以降には5年連続で増加し続けました。
2016年は2015年に比べてわずかに減少してしまいましたが、2010年度で6兆9,710億円だったのが2017年度には8兆2,438億円と、ここ数年の市場規模は拡大傾向にあります。
損害保険業界の動向・トピックス
ここでは損害補償業界の動向に影響を与えているポイントを紹介します。
そもそも3メガ損保って何?
「3メガ損保」とは、
- 東京海上ホールディングス株式会社
- MS&ADホールディングス株式会社
- SOMPOホールディングス株式会社
で構成される3つの国内大手グループを指します。
日本における損害保険の収入保険料の約9割を、この3つのグループ「3メガ損保」が占めています。
単体で見ると、それぞれにはメインの子会社が存在します。
メインの子会社は以下の通りです。
- 東京海上ホールディングス・・・東京海上日動火災
- SOMPOホールディングス・・・損保ジャパン日本興亜
- MS&ADホールディングス・・・あいおいニッセイ同和損保
損害保険会社の売上構成
保険会社の売上は、顧客から支払われる保険料収入とその保険料を運用した(株式のやり取りなど)資産運用利益の2つに大きく分けられます。
「自動車保険」「火災保険」「海上保険」「傷害保険」など複数の商品を扱い、その中でも自動車保険が保険料収入の役6割を占めています。
《保険料の保険種目別構成比》
自動車保険・・・定期的な保険金の受け取りの代わりに、自動車の対物事故や対人事故などの賠償責任の際の補償を支払う保険。すべての自動車・原動機付き自転車の保有者は必ず加入しなければならない自賠責保険と、上乗せとして加入してもしなくても良い任意保険があります。
火災保険・・・元々は建築物などの火災時の補償を行う保険だったが、近年では水害や盗難などよりカバーする範囲が広がりました。
傷害保険・・・ケガや死亡における経済的リスクを補償する保険。この場合の傷害とは、「急激」かつ「偶然」な外からの事故による、身体に負ったケガのことを指します。
海上保険・・・大きく分けて「貨物保険」と「船舶保険」の2つに分けられ、運搬中の海上危険に対して補償する保険。近年では物流全体をカバーする保険も生まれています。
新種保険・・・ノンマリン分野において火災保険、自動車保険、自賠責保険、傷害保険、積立保険以外の各種保険の総称。賠償責任保険、盗難保険、取引信用保険、信用保険、保証保険、ガラス保険、機械保険、建設工事保険など業種やリスクごとに細分化されています。
大手保険会社の海外進出
近年、日本の保険会社は海外事業の拡大を目指して海外企業とのM&Aを積極的に進めてきました。
例えば、東京海上ホールディングスは、2015年にアメリカにHCCを9,400億円で買収。
MS&ADインシュランスホールディングスは2016年にイギリスの大手アムリンを6,400億円で買収しました。それだけでなくスリランカの保険グループにも出資するなど、アジアのネットワークも広げています。
SOMPOホールディングスは、イギリスのキャノビアスを買収し、ブラジルやトルコのような新興国にも積極的に事業を広めています。
このように多くの企業が海外進出を果たすのには理由があります。
近年の若者の自動車離れや、人口減少による車を使用頻度が減少していくことが予想され、自動車保険は先細りになってしまいます。
それだけでなく、日本では地震などの自然災害とは切っても切り離せない関係にあり、火災保険を重視しすぎてしまうと収入が安定しなくなってしまうのです。
そのため、国内の多くの企業が海外市場に収入を得ようと積極的な展開を進めています。
業界動向を知るには、転職エージェントに相談するのもおすすめです。
損害保険業界で求められるスキル、資格は?
コミュニケーション力
損保業界の営業職においては欠かせない能力の一つです。
損害保険業界での営業は、お客様だけでなく代理店の人とも電話や直接会って会話をすることが基本なのでコミュケーション力は欠かせません。
損害保険の中には、自動車保険や火災保険などの様々な商品があるため、一人で全てに対応するのは困難です。
そのため、同僚や代理店の人とも助け合いながら仕事を進めていく必要があります。
保険の専門知識
自社の取り扱う保険商品の知識に加え、保険全般に関する知識が必要です。
なぜなら保険は、お客様にとって事故や災害が起きたときに助けてくれる信頼のおけるものでなくてはならないため、保険商品を扱うには大きな責任が伴います。
そのためにも、専門知識をつけた上でお客様にきちんと説明し、商品を販売することが求められます。
日本で損害保険に関わる仕事をするには、社団法人である日本損害保険協会が実施する「損保一般試験」というものに合格しなければなりません。
この「損保一般試験」は入社前ではなく、採用後に会社での指導を受けてから受験するのが一般的です。
損保業界で役立つ資格
損害保険業界の営業職の人が保有していると役立つ資格として、「フィナンシャルプランナー」があります。
例えば、2級FP(フィナンシャルプランナー)技能士、AFP(Affiliated Financial Planner)などがあります。
2級FP技能士はフィナンシャルプランナーの国家資格であり、AFPは日本FP協会が認定するフィナンシャルプランナーの上級資格にあたります。
法人営業などの相手の知識レベルが高い場合は、1級FP技能士のような高レベルの資格が必要になることもあります。
おわりに
今回は、損害保険業界の年収ランキングと動向や職種、求められる能力などをご紹介しました。
年収を見ると比較的高い損害保険業界ですが、それと同時に必要な資格や専門用語を覚えることが多いため決して楽な仕事ではありません。
自分と損害保険業界の仕事が合うかをもう一度考え見ましょう。
それから、自分に足りないものを身につけていけばきっと満足のいく結果が見えてくると思います。