退職を会社に伝えるのって勇気が必要ですよね。
過酷な職場環境や上司との関係がうまくいかないことで、退職を考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな中、最近「退職代行」と呼ばれるサービスが話題になっているのをご存知でしょうか?
今回は、この「退職代行サービス」の実態に迫ってみました。
「退職代行って何?誰が何をしてくれるの?」
「退職代行に違法性はない?何かデメリットがあるんじゃない?」
といった退職代行に関する疑問にお答えしていきます。それでは、早速みていきましょう。
退職代行って何?どんな仕組み?
そもそも退職代行サービスとは何?
退職代行サービスとは、自分の代わりに会社に退職する旨を伝達してもらうことができ、その後の退職に関する連絡の中継までをしてくれるサービスのことです。
ブラック企業など職場環境に問題のある会社では、退職したいのに上司が無理矢理に引き留めてくるなど、従業員の退職を妨害してくるところもあります。
このような劣悪・過酷な環境に悩まされている人にとっては非常にありがたいサービスかもしれません。
退職代行サービスの仕組み
まず、退職代行を依頼する人は、退職代行サービスを運営している会社に問い合わせます。
弁護士事務所や民間企業が退職代行サービスを展開していますが、その多くがLINEやメールでの問い合わせにも対応しています。
そのため、退職の相談は非常にしやすいでしょう。
その後、運営会社に対して料金を支払ったのちに、運営会社の担当者の方が退職の旨を会社に伝え、その後のやりとりも中継してくれることになります。
会社によっては、退職後の転職サポートをしてくれるところもあるようです。
退職代行に違法性はない?
そもそも、退職代行サービスに違法性はないのでしょうか。
結論から言うと、現在存在しているサービスについては違法性はないようです。
しかし、以下の点に注意が必要で、弁護士による退職代行と民間企業による退職代行では、代行してもらえる範囲が異なります。
依頼主から報酬をもらい、会社と金銭的な交渉ができるのは、原則として弁護士のみです。
弁護士以外の人が示談交渉を行うことは「非弁行為」として禁止されています。
もし、非弁行為を行うと、2年以下の懲役、または300万円以下の罰金に科せられる可能性があります。
そのため、民間企業の退職代行サービスの業務範囲は「当事者に代わって会社に退職意思を伝えるだけ」になります。
一方で、弁護士事務所による退職代行サービスの業務範囲は「退職金はどの程度か」や「有給は」などの会社との交渉までが可能になります。
退職代行サービスが広がった背景とは
退職に関する相談件数は、年間4万件
2017年のデータでは、会社を辞めたいのに辞められないなどの退職に関する相談件数が4万件程度あり、解雇に関する相談件数を上回りました。
総合労働相談件数は年間で100万件以上あり、1位は「いじめ・いやがらせ」について、2位が「自己都合退職」についてです。
また、自己都合退職についての相談件数も、平成20年ごろから年々増加しています。
こうした背景をもとに、退職代行サービスが普及したと考えられます。
若者を中心に利用拡大。その理由は?
若者の退職に焦点を当てれば、中小企業の新卒の有効求人倍率は10倍弱であり、1人の学生を10の企業が奪い合っている構図になっています。
中小企業では人手不足が非常に深刻になっており、従業員数も大規模ではないため、若者一人の退職が大きな影響を及ぼします。
そのような背景のもと、企業による退職希望者の強引な引き留めなどが行われ、結果として、退職代行サービスの普及につながったのではないかという見方はできるかもしれません。
退職代行サービスのメリット・デメリットは?
メリット
①:会社と連絡を取る必要がなく、精神的負担がなくなる
退職を上司などに告げたり、退職が決まった後にも諸々の手続きのために会社に行ったりするって非常に心が疲れますよね。
退職後の備品の返却等も郵送対応が可能になるので、基本的には一切会社と連絡を取る必要がなくなります。
会社によっては職場の人間関係が非常に複雑な場合もありますので、企業と連絡をとる必要がなくなることで助かる人もいるのではないでしょうか。
②:運営会社によっては当日中に対応してくれる
退職代行サービスの運営会社によっては、相談した当日に即日対応してくれる会社もあります。
また、LINE等でも相談が可能で、深夜の時間帯に相談ができる会社もあります。
③:「訴える」などの脅しをされている場合も安心できる
優良な退職代行サービスを運営している会社であれば、基本的には弁護士が顧問を勤めています。
そのため、「訴える」「損害賠償を請求する」などの脅し受けている場合にも対応してもらうことができます。
基本的には、実際にそういった脅しを実行してくる会社はほとんどないようですが、専門家がいればもしもの時も安心できます。
④:残業代の回収や有給休暇の消化の交渉をしてもらえる
非弁行為の禁止により、弁護士以外は会社と交渉することができません。
しかし、弁護士に退職代行を依頼すれば、残業代の回収や有給休暇の消化などについて交渉してもらうことが可能です。
100%全て回収できるかは保証されませんが、自分本人で交渉するようも精神的負担も楽ですし、専門家に交渉してもらえば安心できます。
デメリット
①:費用がかかる
まず1点目には、本来かかるはずでなかった費用がかかることが挙げられるでしょう。
相場としては3〜15万円程度かかります。
②:職場の人との良好な関係性の維持が難しい
退職代行サービスを利用すると、前触れもなく突然退職することになります。
そうすると、上司や職場の同僚などに、あなたがこれまで担当していた業務などが配分されることになります。
挨拶なく、引き継ぎもなく退職されてしまってはあまりいい気はしないでしょう。
そのため、退職後に良好な人間関係を維持することは難しくなります。
しかし、そもそも退職代行サービスを利用したくなるような職場環境だと思いますので、その後関係を重視しないようであれば問題はないでしょう。
③:悪質な退職代行サービス会社に依頼するとトラブルになる可能性がある
悪質な退職代行サービスを利用してしまうと、「退職できなかったのに費用を請求された」「非弁行為を行われた」などのトラブルに巻き込まれる可能性が発生します。
退職代行サービスを利用する場合には、評判の良い運営会社または弁護士事務所に依頼するようにしましょう。
退職代行サービスの種類まとめ、各社の利用料金は?
退職代行サービスは大きく「弁護士によるサービス」と「民間企業によるサービス」の2つに分けられます。
弁護士の退職代行サービス
内容・特徴
弁護士による退職代行サービスでは「会社と直接交渉」をしてもらうことができます。
未払い残業代や給与の請求、退職金の交渉もしてもらうことができるので、全てを安心して依頼することが可能です。
退職に関して、会社から「訴える」などの脅しを受けている場合には、交渉可能な弁護士に依頼することで安心感が高まります。
しかし、平日の通常営業日にしか対応していないところが大半なようです。
料金
基本のベース料金はやはり民間企業よりも少し割高で、5万円前後になっています。
加えて、未払い残業代や退職金の交渉を行ってもらった場合には、成功報酬で20%程度が定められている場合があります。
民間企業の退職代行サービス
代表的な会社・サービス
「SARABA」「辞めるんです」「退職代行コンシェルジュ」「EXIT」「リスタート」などが有名な退職代行サービスを提供しています。
内容・特徴
各社、代行してもらえる範囲には大差がありません。
しかし、返金保証や相談対応時間帯、価格帯がそれぞれ違いますので、利用を検討されている場合にはチェックしてみてください。
料金
料金相場は弁護士事務所の退職代行サービスよりも少し安く、3〜5万円程度となっています。
パート・アルバイトの場合の方が、正社員よりも安く設定されています。
非弁行為の禁止により、民間企業では「会社との交渉」ができませんので、追加の成果報酬等はないようです。
おわりに
今回は、退職代行サービスの普及の背景や仕組みについて解説してきました。
快適な職場環境にいらっしゃる方には想像がつきづらいかもしれませんが、退職に関しての悩みは年々増加しているようです。
退職代行サービスの値段は決して安いものではありませんが、もし劣悪・過酷な職場から退職できずに悩んでいるのでしたら、利用をご検討されてはいかがでしょうか。